File25.5榊田編 反逆
俺は榊田敏孝。自分の所属している組織に反旗を翻している男だ。
俺の所属しているヤクザ組織、武蔵野会ははっきり言って外道だ。
何せ、今まで誓いを結んできたヤクザ組織、藤松会を裏切り、仁義の欠片もない半グレ組織に協力を仰いだ。
言うなれば、現会長の本堂は、悪魔に魂を売ったのだ。
俺は今、本堂に怒っている。
「会長!なぜ貴方は半グレ組織と協力したんですか!?」
「全く、こないだも言ったであろう。それは、武蔵野会が裏社会のトップ、いわば王になるためにやった事だ」
「だからといって、あんな組織と手を組むなんて…」
「とはいえ、今のところ武蔵野会での犠牲者は少ないだろう」
「ですが、その犠牲者の中に、幹部候補の十文字がいたでしょうが!俺は、十文字を孤児の頃から育てていた!たとえ貴方の操り人形にするために育てた訳じゃない!」
「煩い男だ。ウチには、最強戦力が2つあるのは知っているだろう?」
「それはわかるが…」
「藤松会を潰すために、チーム絵札を利用し、藤松会が無くなったら、そいつらの手でチーム絵札を消す。それが俺の作戦だよ」
「………」
俺は歯を食いしばって怒りを抑えた。そして、俺は覚悟を決め、机を叩き、本堂に言ってやった。
「では…榊田組は、この日をもって、武蔵野会を抜けます」
「貴様、何を言っている」
「そのままの意味ですよ」
「クソが…野添、殺れ」
「はい。会長」
隣にいた野添がドスを取り出す。
「なっ…」
「お前は会長に向けて失言をしたんだ。だから、死ぬのみだ」
「くっ…」
俺は目を瞑った。しかし、その時、本堂が言った。
「とはいえ、お前は武蔵野会の古参だ。特別に生かしてやろう」
「なっ…」
「しかし、少しばかり、後悔しろ」
すると、野添が俺の右目を刺した。
「グァァァァァァ!」
「ハハハハハハハハ!いい気味だ」
(くそっ…こんな組織、今すぐにでも分からせてやる…)
俺は痛みを感じながら、復讐を誓った。
俺は九鬼泰照。意外な客が来て、驚く男だ。
あの功楼町での戦いから三日後の事であった。
俺が暴露屋の事務所で待っていると、ドアが開く音がした。
「はい…どなた様で」
眼の前のソファーに眼帯をつけた中年男性が座った。
「お名前は」
「榊田…榊田敏孝」
俺はその名に覚えがあった。
「アンタ…武蔵野会の…」
「そうだ。榊田組組長の榊田だ」
何故武蔵野会傘下の男がここにやってきたのだろうか。彼の身なりからして襲撃の為に来たわけではなさそうだ。
「依頼は…」
「少しの時間だけでいい。桂田さんと、テレビ電話で繋げてくれ」
「あ、あぁ」
俺はスマホからテレビ電話で桂田さんに連絡した。
「どうした、九鬼」
「それが、貴方と話したい人がいるそうで」
俺は桂田さんと榊田を対面させた。
「アンタ、武蔵野会の所の」
「榊田です」
「それで、何のようで?」
「実は…」
榊田は、自分が本堂の作戦に反対したこと、反旗を翻したら、暴力を与えられたこと、そして、自分の組を藤松会の傘下に入れてほしい事を話した。
「そうか…では、しばらくうちと仲良くしてもらっている組の方で保護してもらった方がいい。今、藤松会では佐伯が死んで皆がピリピリしている。あなたと組員を合わせたらまずい。そのほうがいいと思うが」
「分かりました」
そして、桂田さんは電話を切った。
「これでいいですかね」
「いや、後他に話したいことがありまして…」
榊田は、武蔵野会の事について話した。
「武蔵野会には、最強戦力である組が2つあります。まず、大須賀組。組長は大須賀真。そこに所属する板倉慶太郎は、大須賀組で一番の実力を持つ男です。異名は『クロスボウの板倉』。奴にクロスボウを使わせたら、相手は死ぬと言われている程です。2つ目は、小田島組。組長は小田島勝。そこに所属する赤村隆司は、まさに狂犬です。異名は『ポイズンマスター赤村』。この二人は非常に厄介です。どうか、お力になれば、是非…」
そう言って、榊田はそこから立ち去ろうとした。すると、事務所の電話がなる。
「なんだ?」
俺は受話器を取り、耳に当てる。
「よう。九鬼泰照。俺は武蔵野会の大塚ってもんだ。今からそちらに向かわせてもらう」
「何のようだ?」
「それは、お楽しみってやつだ。とりあえず、首洗って待っとけ」
そして、電話が切れた。
「榊田さん。取り敢えず奥の方に隠れてください」
「は、はい」
俺は比嘉と伊波に電話をかける。二人は今、スーパーにいるはずだ。
「比嘉、伊波、しばらく暴露屋の方に行かない方がいい!」
「どうしたんですか?九鬼さん」
「理由はあとだ!取り敢えず来るな!」
俺は電話を切って、臨戦態勢をとった。
(くるなら、来い…)
そして、インターホンがなる。
俺はドアの覗き穴を見る。そこには、チンピラらしい風貌の男が四人いた。胸元には武蔵野会のバッチがある。
「九鬼さぁん。居ませんかねぇ?」
俺はドアを開ける。
「すいません。さっき電話をかけた大塚です。とりあえず、入らせてください」
仲良くするように見せて、大塚が懐から何かを取り出そうとする。俺は隠してあったドスを取り出し、大塚の手首を切った。
「ぐぁぁぁぁ!」
「大塚さん!」
「三崎、平仲、稲島!コイツを殺れぇ!」
すると、大塚の後ろにいた男の一人が拳銃を取り出そうとする。しかし、焦っているのか、すぐに取り出せておらず、俺は膝蹴りで奴の腹を蹴った。
「だぁぁぁ!」
「死ねぇ!」
もう一人が発砲する。しかし、俺はそれを避け、膝蹴りされた方の男の顔に弾丸が当たり、倒れた。
「味方殺しをしてくれて助かるよ!」
俺は発砲した方の男の顔に強烈な蹴りを入れた。
「ひげぴっ!」
「チッ…稲島!お前だけでも行けぇっ!」
しかし、一人が事務所の中に入る。
「くそっ!見つけさせねぇ!」
俺は稲島を追う。しかし、
「見つけたぞぉ!榊田敏孝!」
「ぐぅ…」
いつの間にか稲島は榊田に拳銃の標準を捉えていた。
「死ねぇ!」
稲島が発砲。俺は稲島の足をスライディングで蹴るものの、現実は非情であった。
「ぐふぅっ!」
榊田は心臓を撃ち抜かれていた。
「クソッタレがァァァァ!」
俺は稲島の顔を踏み、気絶させた。
「榊田さん…」
「くっ…俺がかつていた所に反旗を翻したんだ…こうなるのは承知の上だ。ハァ…ハァ…藤松会は…いずれチーム絵札と…武蔵野会を…滅ぼしてく………れ…………」
そして、榊田は二度と目を覚まさなかった。
「ちっ…」
俺は持っていたドスで稲島の頸動脈を切り、大塚の所へ戻った。
「はぁ…はぁ…」
「尋問だ」
俺は大塚の胸ぐらを掴む。
「誰が榊田さんを殺すように命令を下した」
「それは…トップの指示だ」
「トップ…本堂の事か?」
「あぁ…最初は生かしてやろうと考えていたが、後々になって殺そうと考え直したと、本人直々に語っていたよ……」
「そうか…じゃあ、お前はもう用済みだ」
俺はドスで大塚の腹を抉った。
「板倉、赤村…どんな奴なんだ…」
俺は、死体処理をさせるように、比嘉に電話をかけた。




