File25.5 三つ巴
俺は九鬼泰照。とある男達に遭った男だ。
事の発端は、俺のスマホにメールが来た事だった。
『今夜11時、功楼町にやって来い。来なければ、うちの構成員をけしかける。』
メールの内容はこんな感じだった。
送った者は不明だ。しかし、来なければこちらに来る。俺は、その果たし状に乗ることにした。
11時、俺は功楼町のとある廃ビルにやってきた。
「たしか、送ったやつの指定した場所はここだったよな…」
俺はその中に入る。そこには、数人の男がいた。
「来たぞぉ!九鬼だ!」
すると、奴等は俺に襲いかかる。しかし、俺はそんな奴らにやられる程、やわではない。
「フン!」
「うだっ!」
俺はお得意の喧嘩殺法で奴らを圧倒した。
「はぁっ!」
「ぎゃぁ!」
そこにいた5人の男どもを全員倒したあと、例の男のいる階に向かった。
「入るぞ」
扉を開けると、その部屋からタバコの匂いがした。
そして、そのタバコを吸っていたのは、以前、猪平のいた別荘に襲撃をかけた時にいた男、桑沢大悟だった。
「桑沢…なぜ俺をここに呼んだ?」
俺は桑沢に問いかける。すると、桑沢はタバコを地面に落とし、その問に答えた。
「それは、アンタを殺すためだ」
「俺を殺すため…」
「あぁ。俺は沢山の組織を敵に回している。巨大ヤクザ組織、藤松会、武蔵野会。最近頭角を表してきた半グレチーム絵札。俺はかつて、その組織にいた。だが、そこのリーダー張ってた桐田は、部下の事をまるで玩具のようにしか扱わず、自分が王者になるためには、どんな犠牲も厭わなかった。その犠牲になったのは誰か?それは、俺のような構成員や、傘下の人たちだったんだ!俺は、早乙女さんが失踪したのを見計らって、部下を連れて桐田を見限ったんだ」
そして、桑沢は大声を上げた。
「俺はなぁ!テメェらを殺して!裏社会の王になるんだァァァァ!」
その時、この部屋にとある男が現れた。
「おいおい、裏社会の王になるのは、武蔵野会だぜ?」
そこに現れたのは、武蔵野会直系榊田組構成員、十文字裕大だった。
「なんでテメェが?」
「俺は会長に命令されて来たんだ。無論、榊田の親父は反対してたが。そもそも、榊田組はお前のような半グレ集団と組みたくないし、藤松会とも敵対したくない。でもな、会長に命令されたらなぁ、俺はやるしかないんだ。俺は、榊田より、会長ラブだ」
十文字がロングナイフを取り出す。それが引き金となったのか、桑沢はサバイバルナイフ、俺はドスを取り出した。
「さぁ、どちらからでもいい。来いよ」
俺は早速、桑沢に飛びつく。
「はぁっ!」
ドスの袈裟斬りは、ナイフで防がれてしまった。すると、桑沢が反撃に出る。
「フゥン!」
桑沢の蹴りが腹に入る。
「どぶあっ!」
俺は運悪く、十文字の方に倒れてしまった。
「うっしゃぁ!」
十文字がロングナイフで顔を刺そうとする。しかし、俺は横に転がり、そのナイフに俺の血が付くことはなかった。
「ちっ」
後ろから駆け足が聞こえる。
「おんどれぇ!」
桑沢が突撃していた。俺は呆気にとられた十文字の顔を殴り、桑沢には回し蹴りでナイフを落とさせた。
「なっ」
隙が生まれた。俺は桑沢の額を切る。これにより、桑沢の視界は失った。
「クソがぁ!見えねぇ!」
一生懸命に顔を拭く桑沢だが、俺は奴の喉を掴み、今にも立ち上がりそうな十文字に投げつける。
「うぉっ!」
「なにっ!?」
流石にここまで読めてなかったのか、桑沢の体は十文字に直撃した。
「かはァァァァァ…」
桑沢は怒りで十文字を殴ろうとする。しかし。
「そんなの、見えている。カエルより遅い」
十文字は腕を掴み、桑沢の腹を刺した。
「グァァァァァァァ!」
桑沢は十文字の足元に倒れ込む。
「邪魔だ」
十文字は桑沢を蹴り飛ばし、こちらに近づく、
「貴様、良くもこんな物を送り付けてきたな…テメェは、内臓ぶち撒けて地獄に落ちろぉ!」
十文字が怒りでこちらに突撃する。だが、俺は隙がありありの十文字に、
「うっしゃぁぁぁぁ!」
クロスカウンターを決めた。
「うべぇぇぇぇ!」
十文字がその場に倒れ込む。
「はぁ…はぁ…」
その時、チクタクと音が聞こえた。
(なんだ?まさか…まずい!)
俺は窓から飛び降りる。ここは三階。受け身を取れずに、地面に落ちた。
「うっぐぅ……」
その瞬間、爆音とともにビルが爆発した。
「ちっ……誰が仕掛けたのは知らねぇが…危ねぇな」
すると、向こうから見覚えのある二人が近付いてくる。
「九鬼さぁん!」
「大丈夫ですか!?」
来たのは比嘉と伊波だ。この二人は功楼町に住んでいる。爆発音を聞いて、ここに来たのだろう。
「なんとか大丈夫だ…だが、この中から人が二人ほど爆死した」
「それは……」
「話は後だ、取り敢えず消防車を…」
その後、消防車が駆けつけ、火は消された。廃ビルの中からは爆弾のかけらのようなものが発見され、桑沢と十文字は木っ端微塵となったのか、死体が発見されるような事はなかった。




