File20 伊崎舞海と猪平組
俺は九鬼泰照。勧善懲悪な生き方をする情報屋だ。
今宵も、暴露屋に依頼者が訪れる。
今回の依頼者はかなりやつれていた男性で、名を木戸雄佑と言った。
「依頼内容を」
「自分を虐めたのにも関わらず、何も制裁が下らなかったボンボン女とその彼氏を落として下さい!」
木戸は怒りを憑依させているかのような表情をしていた。
木戸は、学生時代にとあるグループに虐められていた。
そのグループというのが、『金持ち組』。金持ち組とは、親が金持ちな人間のみが入れるグループの事で、所謂カースト上位の人間を指す。
木戸は、親が金持ちということはなく、彼は金持ち組に嫌がらせをさせられていた。
特に、リーダー格の伊崎舞海は、伊崎グループの会長の娘で、普通な男である木戸を虐めに虐めまくっていた。
木戸が教師に言っても、伊崎の父親は校長と知り合いであり、虐めは揉み消されていた。
その後、木戸は奴らを見返すべく、有名な大学を努力して入り、その後、とある企業に入った。
しかし、木戸は知らなかった。その企業は、伊崎グループの傘下という事に。
入社初日。伊崎グループでは、新入社員は社長と会う決まりとなっている。
その時に、木戸は会ってしまった。
そう、伊崎舞海だ。どうやら、この企業は伊崎が社長をしていて、いずれ伊崎グループの会長になるのだ。
伊崎は木戸がここに居るのを知り、こき使おうと考えていた。
他の社員には通常通りの業務なのだが、木戸だけは他の人の3倍以上の仕事を任されていた。それは、木戸に対する差別であった。
木戸は部長にこの事を相談するも、部長は、『社長はお前の事を気に入っているから仕事を沢山任せるんだ』と、話していた。
流石の木戸でも、これはパワハラだと分かった。
そして、木戸は労働基準監督署に相談するも、何故か労基は伊崎グループを調べなかった。
無論、それは伊崎が仕組んだものであった。
木戸は辞めようと考えていた。しかし、伊崎を見返すべく、木戸はなんとか這い上がった。
そして、事件は起きる。それは前日の事であった。その日は休日。木戸も2日間の休日を休んでいた。
木戸は気分転換に苑頭町にある大きなショッピングモールに出掛けていた。
すると、そこでとある人物に出会うことになる。
伊崎だった。しかも、恐らく彼氏であろう若くチャラそうな男を連れて。
「あぁ、木戸くん。アンタ、こんなところに来てたのね」
伊崎は木戸を馬鹿にするような口調で話し掛ける。しかし、木戸はそれをいつものようにスルーしていた。すると、伊崎は何も言っていないのに隣の男を紹介した。
「この人、父さんがお世話になっている『武蔵野企画』の社長さんの、猪平善一さん」
伊崎が言うには、伊崎グループの仲間に、武蔵野企画という会社があり、その猪平というのが、二代目の社長なのだとか。
「よう。話には聞いていたが、アンタが間抜けの木戸か?確かに間抜けそうだな!」
すると、猪平が木戸の胸ぐらを掴む。
「俺さ、この顔見てると殴りたくなるんだよねぇ。オラ!」
猪平が木戸を殴った。
「うっ!」
「ここだと人がいるな。地下駐車場に行くか」
そして、3人は地下駐車場に行き、猪平は木戸を殴り続けた。
木戸は2分間の間、地獄を味わった。
地獄が終わり、二人が去ると、木戸は歯を食いしばっていた。
(あいつらは…警察に行っても無駄だ。奴らは許さねぇ…)
そして、ここに来たのだとか。
「お願いします。奴らは許されるべき存在ではありません!どうか、奴らを落としてください!」
「分かりました。では、奴らを落として地獄を見せましょう」
俺は二人の事を調べ上げた。
伊崎舞海。24歳。伊崎グループ傘下、『株式会社トルネード』の社長。傲慢な性格をしており、猪平のリンチを見ても、嬉しがっていた。
そして、その猪平の事だが。驚愕の事実が判明した。
それは、猪平は武蔵野会直系猪平組の組長で、どうやら伊崎グループが武蔵野会と関わりがあることが判明した。
要するに、猪平は藤松会のシマで暴行を働いた事になる。
猪平善一。25歳。アラサーにも関わらず、武蔵野会幹部兼猪平組組長で、武蔵野会の経営する武蔵野企画の社長もしている。昨日、木戸を殴り続けた。
まず、伊崎グループの闇の情報をマスコミに流し、伊崎の父は娘を擁護していた責任で辞任。娘の方も、社長を辞任する事になった。
一方の猪平はというと、別荘に隠れていた。
比嘉と伊波が猪平組の構成員を、俺が猪平をやることになった。
俺は郊外の別荘に突入した。
「オラァ!猪平ァ!往生せいや!」
しかし、別荘に入ると、厳つそうな男が倒れていた。
「コイツは、猪平の護衛か?」
すると、目の前にとある男が現れる。
「誰だい?アンタ」
「俺は桐田を嫌う集団、反桐田派の桑沢という」
反桐田派の存在は、話には聞いていた。しかし、何故このような男がここにいるのか?
「なぁ、もしかして猪平殺った?」
「そうだ。間抜けヅラで死んださ」
「そうか」
俺はドスを抜く。すると、桑沢は少し後ろに飛び、いきなり棒手裏剣を投げた。
「なっ」
俺は右に飛ぶが、その方向にはもう一本の棒手裏剣があった。
「くっ…」
それが足に刺さる。
「アンタ、確か情報屋の九鬼だったな。お前がいる限り、藤松会は無くならない。お前を消去させてもらう」
すると、桑沢はメリケンサックを手にはめると、早いストレートパンチを繰り出した。
「させるか!」
俺は腕で顔をガードし、少し腕にダメージを受けたが、顔は守れた。
「ほう。俺の本気を守るとは。しかし、俺は大量の人間を狩らなければならない。一旦はさらばだ。次に会ったときは………殺す」
桑沢はそのまま俺の横を通り過ぎた。
(くっ…足に刺さった棒が痛ぇ…今すぐ戻らねぇと)
俺はバンに乗り、そのまま苑頭町に戻った。




