File19 深江芳生と深江貴嗣
俺は九鬼泰照。暴露ライフを過ごしている情報屋だ。
今回の依頼者は、中年の男で、名を富永一と言った。
「依頼内容を」
「集団で俺を半殺しにした奴らのリーダーとその父親を落としてほしい」
そう語る富永の目はガン開きであった。
富永は、とあるコンビニの店長であった。
彼は真面目で、皆から好かれやすい性格の男であり、アルバイトやパート、そのコンビニの客から好かれていた。
しかし、その人気に嫉妬するアルバイトが、一人いた。
その名は深江芳生。不良上がりの男で、富永とは正反対に、不真面目で、皆から煙たがられていた。
富永も、本来こんな不真面目男をここに居させたくないのだが、父親がこのコンビニの会社の専務なので、異動にもクビにもさせる事が出来ないのだ。
富永が何か深江に言おうのものなら、『俺の親父は専務だぞ!命令するな!』と、怒鳴り散らかす。
富永は、そんな深江に困っていた。
そんなある日。この日は深江がミスの指摘をされただけで逆ギレし、そのまま帰ってしまったのだ。
富永が深江を呼び止めるも、深江は、『後悔するなよ』とだけ言い、コンビニを後にしたのだ。
そして、その日の深夜。客が誰も来ず、富永が退屈していた時だった。
コンビニに5人ほどのガラの悪い連中が来たのだ。
先頭には、あの深江がいた。
その集団が自分の目の前に来ると、深江が富永に言い放った。
「テメェ、一旦表出ろ」
そう言われて素直に出る訳じゃない富永は、頑なにレジから出ようとしなかった。。
すると、集団の一人が富永の胸ぐらを掴み、レジの外に放り出した。
「ぐっ…」
富永は意識が飛びそうになったが、もう一人が富永を蹴った。
「ギッ…」
「オイ!お前等、コイツ半殺しにしようぜ!」
集団は、監視カメラがあるにも関わらず、富永をリンチし始めたのだ。
「ぐっ…ぎっ…やめっ…」
「オラオラ!死ねよ、このアマが!」
「この野郎、深江くんをイビりやがって、後悔しやがれ!」
「深江くんの恨みを思い知れ!」
「爺さんは若者に勝てねぇんだよ!」
「俺がどれだけ苦しんだか、この体で味わえ!」
この時、富永は走馬灯と三途の川が見えていた。すると、向こうから、叫び声がした。
「コラァ!君たち、何をやっているんだね!」
どうやら、警備員のようで、どうやら集団の蛮行を見た警備員がここに駆けつけてくれたそうだ。
「逃げろ!」
集団は去っていく。
「オイ!待て!大丈夫ですか!しっかりしてください!」
警備員の顔がうっすらと見え、そのまま富永は意識を失った。
次に目を覚ましたのは、病院のベットであった。富永が起きたことに気付いた医師が話し掛ける。
「大丈夫ですか?貴方は死の一歩手前まで来ていましたよ」
「そ、そうですか…」
富永は、あの警備員に感謝しようと思った。
病院でニュースを見ていると、自分を襲った集団が逮捕されたという情報が映されていた。
しかし、富永はその情報を見て、衝撃を受ける。
それは、逮捕者の中に深江がいなかった事だった。深江の代わりに見知らぬ男が逮捕されていた。
この時、富永は思い知った。
「そうか。アイツは逃げたんだな」
退院後、伝手を借りてここに来たそうだ。
「お願いします…自分が苦しい思いをしたくないがために、逃げた奴と、それを守った父親を落としてほしい!」
富永は、寿命を削るんじゃないかの勢いで全て吐き出した。
「分かりました。では、奴を暴露屋の名にかけて、落としましょう」
俺は深江親子を調べ上げた。
深江芳生。21歳。学生時代は、父親のコネと権力を使い、不良という物を楽しんだ。今では新しく出来たコンビニで働いている。
深江貴嗣。66歳。大手コンビニチェーン『ネクスト』の専務で、息子を溺愛している。息子が逮捕され、自分の地位が落ちぬように、職権乱用をしている。
俺は二人をマスコミにリーク。その結果、父親の方は会社をクビにされ、子の方はコンビニをクビにされ、二人諸共海外へ夜逃げしたそうだ。
その後、富永は引き続き、コンビニの店長として、皆から愛されている。




