表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
暴露屋∼社会的に殺す情報屋∼  作者: 蔵品大樹
第一部 藤絵戦争
21/139

File15 熊尾実と熊尾光政

 俺は九鬼泰照。裏社会で名を馳せる男だ。

 さて、今宵も暴露屋に依頼者が訪れる。

 今回の依頼者はかつて『時代を獲った男』として持て囃されていたベテラン俳優、藤代謙太(ふじしろけんた)だったのだ。

 「まさか、貴方のようなベテランがここに来るなんてね。では、依頼内容を」

 「はい。かつて私と友人を襲った挙げ句、有名な議員としてのうのうと生きている男に罰を与えてほしい」

 そう語る藤代の目には、慈愛など何もない目を持っていた。




 御年60歳の俳優、藤代謙太には、思い出したくもない思い出があった。

 それは、40代の頃だった。

 飲み仲間である友人の今別府(いまべっぷ)と共にバーで飲んでいた帰りの事であった。

 目の前からフラフラとした歩き方の青年がこちらに来たのだ。手には、刃渡り約25センチもありそうなサバイバルナイフが握られていた。

 「ひっ…」

 一瞬驚いた二人。しかし、藤代は直感で逃げなければと思い、今別府の手を掴んで逃げた。

 しかし、青年は追いかけてくる。それはまるで、スプラッター映画で殺人鬼に追いかけられるような感覚だった。

 そして、二人は袋小路に追い込まれた。

 「まずはそっちのメガネのおっさんからだ」

 メガネのおっさん。それは、自分の事をさしていた。

 そして、男はこちらに駆けてきた。この瞬間、自分の目の前が暗くなった。




 次に目覚めたのは病院のベットだった。

 「くっ……ハッ!?ここは………」

 目の前の医師が語りかける。

 「目覚めたのですね。貴方は少しばかりナイフで刺されたような痕がありました。なんとか、内臓に傷はついていません」

 「そうだ。今別府は、今別府はどうしたんです!?」

 「お連れの方ですか?」

 「そうです。友人です」

 「その方は…」

 「俺は無事だよ」

 ベットとベットとの間のカーテンが開けられ、そこには今別府がいた。

 「今別府…」

 「ちょっと腹が痛いが、無事だよ」

 「良かった………」

 藤代が泣きそうになったが、その涙が引っ込むような事態が起きた。病室のドアが開き、そして、親子らしき二人の男が目の前に来た。父親の方は見たことがある。『日本一の、代表に』をモットーにしている党、『いちばん党』の代表、熊尾実(くまおみのる)と、高校一年生の息子、熊尾光政(こうせい)だった。

 「藤代さん…ウチの息子がすいません!」

 熊尾が平謝りをする。

 「すいません」

 しかし、息子はあまり誠意を感じない謝り方をしていた。

 「どうか…穏便にしてもらっても……」

 熊尾の出したジュラルミンケースには、何束もの札束が入っていた。

 「これを貰っても、意味が無いんですよ」

 「そうだ。俺は死にかけた。金を出してもな、許す気はない」

 「そうですか……では……」

 そう言って、二人は出た。

 「……はぁ…へんな奴らだ」

 藤代はその日に退院出来たものの、今別府は治療を余儀なくされた。

 しかし、藤代は悲報を聞くことになる。

 次の日の朝、藤代は電話の音で目が覚めた。

 「はい…藤代ですが……えっ……」

 藤代が聞いたのは、友人の死だった。

 どうやら、看護師が今別府を起こしに来た時には、腹を何かで裂かれていたのだのか。

 藤代は何もかもが考えられなかった。その影響で、一時期活動を休止する程であった。

 葬式の帰り、藤代は、熊尾に声を掛けられた。

 「藤代さん」

 「なんだ…アンタか…」

 熊尾は何も言わずに通り過ぎようとした。しかし、藤代の耳元で小声で言った。

 「アンタの友人の死は俺が仕掛けた」

 それだけ言うと、そのまま熊尾は過ぎ去った。

 藤代は膝から崩れ落ちた。




 20年後、今はもう友人の死から立ち直り、なんとか活動できているものの、熊尾親子の活躍ぶりを見ると、怒りが沸き立つのだ。

 (何故逮捕もされず…のうのうと……)

 熊尾実は今では一線を退いているものの、総理大臣をし、息子の光政は、いちばん党で代表をしている。その途端、藤代の怒りの炎は止まることを知らなかった。

 そして、ここに来たのだ。

 「お願いします…奴らを…奴らに鉄槌を……」

 「わかりました。では、奴らに罰を与えましょう」

 俺は二人を徹底的に調べた。

 熊尾実。60歳。元総理で、今は、いちばん党の副代表をしていて、かつて、殺し屋を雇い、今別府の殺害を依頼した。

 熊尾光政。36歳。いちばん党の代表で、かつて、今別府と藤代を襲ったのにも関わらず、逮捕されていない。

 俺はこの二人の闇を暴露した。そして、徹底的に落ち、社会的に抹殺された。

 しかし、これに対して、何者かが怒りを示した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ