その7
1995年9月某日。かくしてコウジは公務員試験を受けた。それから三日後の事、二人は午後7時頃、居酒屋で食事をしていた。一か月ちょっとの再会であった。
テツヤ「・・・そうか、・・・そうだろうな。」
コウジ「・・・甘かったな。・・・正直ダメだったよ。」
コウジの雰囲気は暗く、言葉も力ない状態であった。
テツヤ「確かにそんな、昔とは打って変わって、今じゃ一流企業並みの倍率だからな。」
コウジ「・・・・・・。」
もちろんまだ結果は出てないが、コウジは自分でもわかるくらい、答案用紙を埋める事ができなかったのである。
テツヤ「・・・で、どうする?これから?」
コウジ「・・・・・・。」
テツヤの質問にコウジは即答できなかった。しかしテツヤはコウジを詰めた。
テツヤ「・・・それとも何か?もう一度、来年も受けるってか?」
そう言われてコウジは口を開いた。
コウジ「・・・ああ、やるよ。もう一度やってやる。」
それを聞いてテツヤは驚いた。
テツヤ「ええっ!?マジか!!?」
コウジ「これは言い訳になるけど、やっぱり勉強不足だったよ。でも、あの程度のレベルだったら、本気
で勉強して、その時間があったら絶対、クリアはできたはず。それが今、俺の中では一番悔しい
所なんだ・・・。」
冷静に自己分析をして、その敗因を見出したコウジに、テツヤは淡々と吹っかけた。
テツヤ「・・・じゃあ、リベンジするって事だな?」
コウジ「もちろん!やり切れないまま終わるのが、何よりの後悔だからな!」
ここでコウジの心に再び火が付いた。
コウジ「全力でやって、そして無理だったダメだったなら、割り切って受け入れるが、今回は全然納得で
きてないからな!こうなったら一年間、とことんやってやるよ!」
テツヤ「・・・本気か?」
コウジ「ああ!やってやるって!」
テツヤ「一年間猛勉強?」
コウジ「そうだと言ってるだろ!」
テツヤが冷めた目で見ているのを察して、コウジは強く言い放った。
コウジ「大学受験の時を思い出せば、全然大丈夫!それに目的ができて、逆に感謝だぜ!」
それを見てテツヤは一瞬ニヤリとした。
テツヤ「良かったな。何か高校の時よりも、活き活きして見えるぜ。」
コウジ「・・・ただ、どうしても生活もあるから、バイトは続けないといけない・・・。」
コウジはふと現実に戻って、力なく言った。
テツヤ「・・・勤労学生か。・・・まぁ頑張れよ。」
そう言ってテツヤはビールを飲み干して、おかわりの注文をした。それを見てコウジは、テツヤを睨みながら吐き捨てた。
コウジ「・・・クソッ、勝ち組め。」




