その6
コウジ「まぁとにかく、これから先の事は決まった。公務員、目指すよ!」
テツヤ「今から?」
コウジ「おう!・・・ダメなのか?」
テツヤの質問にコウジは改めて確認した。
テツヤ「いや別に。・・・いいのか?」
コウジ「ああ!会社員よりかは断然!」
やるべき事が決まったコウジの浮かれた雰囲気を察して、テツヤは更に希望を与えた。
テツヤ「じゃあ、受けてみるか、試験?」
コウジ「ああ、もちろん。来年な。」
テツヤ「来年じゃなくて今だよ、今。」
それを聞いてコウジはもちろん唖然となった。
コウジ「・・・今?・・・えっ?できるのか!?今から!?」
テツヤ「ああ、9月に試験がある。だからまだ募集はやって・・・。」
コウジ「もちろんやる!当たり前だろ!」
コウジは食い気味に即答した。
テツヤ「・・・あと一か月ちょっとしかないぞ?」
コウジ「やるって言ってるだろ!」
テツヤ「・・・筆記試験があるぞ。学力は?」
コウジ「フン、舐めんなよ!こちとら国立大学出てんだ。」
とコウジは自信満々に答えた。
テツヤ「けど、偏差値的に三流じゃなかったか?」
そう言ってテツヤは揶揄うと、コウジも言い返した。
コウジ「高卒に言われたくねぇよ!」
テツヤ「・・・現役の奴らも受けるんだぞ?」
コウジ「だから何だ!?これはもう俺にとって、一生で一度の大勝負ってもんだ!」
意気揚々に答えたコウジを見て、テツヤはもう仕方がないって表情をして、ビールを飲んだ。
コウジ「・・・で、何が必要なんだ?」
テツヤ「そしたら、まぁ・・・書類はこっちで用意してやるよ。取り合えず写真だ。」
コウジ「写真?・・・証明写真か?」
テツヤ「ああ、バストアップのやつだ。わかるか?」
コウジ「知っとる!」
テツヤ「ひとまずそれを用意しとけよ。」
そう伝えるとテツヤはビールを一口飲んだ。
コウジ「わかった。よし!」
そしてコウジは一人熱くなっていた。
コウジ「これで俺の目的が決まったぜ!あとはもう、ひたすら勉強するだけだ!」
こうしてコウジは9月に行われる、公務員試験に向けて、勉強する日々を送る事になった。まずコウジは本屋に行って、それらしき学習本や参考書を買って、独学で勉強を始めた。一か月ちょっとしかない。でもコウジはそれから毎日六時間ほど勉強した。もちろんアルバイトの合間を縫って。寝る間も惜しんで暇さえあれば勉強していた。これは大学入試の時よりも、遥かに過密な状況だった。そこまでしてコウジは、試験当日まで打ち込んでいたのであった。




