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異世界の動物園に丸裸で展示されてるんですけど!? 〜自炊と奇行でなぜか爆バズり中! 快適スローライフですが服だけ下さい〜  作者: 海岸線の夕日
シーズン1

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15話 王子様、動物園へおいでになる

ある日の朝、創太が目覚めて展示スペースに出てみると、いつもなら開園と同時に響くはずの歓声が一切なく、園内は静まり返っていた。


(あれ? 今日は休園日か? ……いや、なんかすごいのが来たぞ)


結界の向こう側の通路を、金色に輝く甲冑を着た騎士たちが物々しい雰囲気で警備している。


その中心にいたのは、豪華な刺繍の施された服を着た、リーリと同じくらいの年齢の端正な少年だった。


彼こそが、この国の第一王子。王子は身分が高すぎるがゆえに同世代の友達がおらず、学校にも通わせてもらえない。王城の中で息の詰まるような英才教育を受ける日々を送る、少し可哀想な孤独な少年だった。


そんな王子が、今や噂となっている「ハダカザル」を一目見たいと、動物園を貸し切ってやってきたのだ。


「ハダカザルよ。お前は本当に、言葉を持たぬ珍獣なのか? 私はお前と、心を通わせてみたいのだが……」


結界の向こうから、王子が寂しげな声で呟いた。


言葉は分からないが、少年の孤独な空気を感じ取った創太は、腰の藁のスカートをカサカサと鳴らしながら近づき、いつものビジネスお辞儀をして微笑みかけた。


それを見た担当飼育員のナターシャが、ハッと名案を思いつき、オオカミ主任に進言した。


「主任、ハダカザル様と『指先の言葉』で会話ができる、ウサギ獣人の少女リーリを呼びましょう。彼女なら、お言葉の橋渡しができるはずです」


リーリが急遽呼び出されるまでの間、創太はいつも通りのルーティンを王子に披露した。マイ箸を器用に操って焼き魚を綺麗に食べる食事風景。そして、自作のサウナ小屋で汗を流し、水風呂に飛び込み、高級露天風呂に浸かって「あ〜〜〜……」と至福の白目を剥く。


王子はその一連の楽しそうな光景を、目を輝かせて見つめていた。


そこへ、息を切らせたリーリが到着した。


手を振るリーリに、創太は嬉しそうに『ようこそ』と手話で応じる。


ナターシャが王子に説明する。


「王子殿下、あの少女が、ハダカザル様から直接『指先の言葉』を授かったリーリです。彼女は最近になって、読唇術を覚えたので、ゆっくりと喋って下さい。耳は聞こえません。」


王子は驚き、リーリの前に進み出た。


「ハダカザルは、何と、言っている、のだ?」


リーリは少し緊張しながらも、創太のジェスチャーを見つめ、それを拙いながらも一生懸命に言葉に翻訳して王子に伝えた。


彼女は最近、やっと読唇術と一緒に言葉の発声も出来るようになって来たが、やはり、恥ずかしいのか、普段はなかなか言葉を発しない。


何度も喋ろうとするが躊躇する彼女に優しく王子は言った。


「ゆっくり、で、良い、ぞ」


『お風呂……いい……あなた……友達』


「私を……友達と、呼んでくれたのか……!」


王子は感激に震えた。王城では誰もが自分を「殿下」と呼び、腫れ物のように扱う。


なのに、檻の中の神は、自分を対等な『友達』として迎え入れてくれたのだ。


さらに創太は手話で『リーリ、王子にお前の遊びを教えてやれ』と指示を出した。


リーリは頷くと、王子の前に座り、創太から教わった「じゃんけん」と「あっち向いてホイ」を披露した。


「じゃんけんぽん! あっち向いてホイ!」


言葉の要らないゲームに、王子はすぐに夢中になった。何度も失敗しては、身分を忘れてお腹を抱えて笑い転げる。


「楽しい……! こんなに笑ったのは生まれて初めてだ!」気づけば二人は、結界を挟んで楽しそうに笑い合う、本当の「初めての同世代の友達」になっていた。


その後、園内の一角で、王子はリーリと一緒に食事を楽しんだ。リーリが「こう……持つ」と不器用ながらに箸の使い方を教えると、王子は嬉しそうに何度も挑戦していた。


さらに、王子は動物園の温泉施設にも招待され、初めてお湯に浸かる快感を体験した。


湯船に肩まで浸かり、王子は心からの声を漏らした。


「あ〜〜〜〜〜〜〜〜、生き返る……」


心も体も完全に解きほぐされた王子は、帰り際、創太とリーリに向かって深く頭を下げた。


「素晴らしい体験をありがとう。私は今日という日を、一生忘れない。リーリ、また私の友達として、ここへ会いに来てくれるか?」


リーリは顔を真っ赤にしながら、嬉しそうに何度も頷いた。


後日、王室から動物園へ、王子の素晴らしい体験への感謝として『特別奨励金(お小遣い・寄付金)』が丁重に届けられた。


これにはオオカミ主任とトカゲ係長も大喜びで、創太のエリアの環境はさらに微増で充実することになった。


そんな、二人の子供たちのピュアな友情のきっかけになったとも知らず、佐藤創太は今日も平和に過ごしていた。


「ふぅ、あの男の子、リーリと仲良くなれて良かったなぁ。これでリーリにもまた新しい友達が増えたわけだ。めでたしめでたし」


創太は満足そうにつぶやくと、腰の藁のスカートを整え、お供え物の最高級完熟メロンをマイ箸で突き刺して、幸せそうに口へ運んだ。


待遇はさらにちょっぴりランクアップ。だけど、服は1ミクロンももらえない。

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