No Magic.
Fateシリーズの中でちゃんとアニメを見れたのがunlimited blade worksで、この作品が好きです!
その中で初めて「魔術回路」?という言葉を聞き、その響きにビビビッ来てしまいました。
それから理想の主従関係について、黒執事の影響がめっちゃあります!とくに緑の魔女編はお気に入りです。
「ク、クローヴィス様が、ですか・・・。なぜこんな危ない魔術をこの日記にかけたのですか?」
「・・・いや、正しくは俺がやったのは 発火術式 と 縮小術式 の掛け合わせた魔術だ。」
「しゅくしょう・・・?」
イシュバンは専門用語に首をかしげる。
するとクローヴィス様は、少し長めの前髪をかき上げながらイシュバンのほうを向き直って、再びかがみこんだ。
「おまえ。自分じゃ気が付いてないようだが、ごくわずかに魔術回路があるな。」
「えっ!」
「おれの従者・・・サムにも似た性質があってな。
体内の魔力を行きわたらせる血管みたいなものだが、さっき治療をしたときにおまえの中にも発見した。
だが実際のところ回路は機能していない。おそらく生まれつきのものだが、魔力を持たない平民には意味がない。だが・・・。」
瞳をのぞき込まれそうになり、イシュバンは驚いて反対側の壁まで勢いよく後ずさりをしてしまった。
「・・・別に襲いも殴りもしねえぞ。失礼なガキだな・・・。」
(さっきあんたに窒息させられかけましたけど・・・とは言えない。)
「なにだらしねえ顔してんだ。こっちは怒ってるんだぞ。
おまえ、魔術のにおいを感じて火炎力の縮小術式をといたくせに。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・ん!?」
急に眉間にしわを寄せて意味深な表情になるイシュバン。
聞き捨てならない言葉が飛んできた。
(魔術式をといた・・・だって???ボクが!?!?)
「いやいやいやいやいやいや!!今ご自分で言いましたよね?ボクには魔術回路はあっても魔力がないって!」
「そういう魔力はないが、魔術回路はある平民がいるんだって。そいつらを総称して〈ノマジ No magic〉とおれら魔術師は呼んでいる。
そしてその類の人間は、無意識にかすかな魔力の残滓をにおいで感じ取ることができる。お前みたいにな。」
「・・・そうなんですか?」
「ハッ!さすがノマジの平民。やっぱ無意識だよな。
おまえのせいで発火術式だけが発動し続けて、そのまま炎の勢いが増していったんだ。・・・恐ろしいもんだよ無知ってやつは。」
イシュバンの曖昧な返事に対し、クローヴィス様は引きつった顔で口角がぴくぴくと痙攣していた。
これに対し、イシュバンも首を絞めかけられたことや、クローヴィス様の口調にだんだんと腹が立ってきてしまった。
「さっきから平民平民って・・・。失礼ですが、人を見下してますよねえ!?貴族様だったら何を言っても許されるんですか?」
「なっ・・・!?・・・いや、やっぱ前言撤回だ。一発殴ってやるから頭かせえ!」
とうとうブチ切れてしまったクローヴィス様の声に反応して、部屋の外にいたであろう執事のサムが飛び込んできた。
「ちょっ!さすがに年下にグーはだめですって・・・!クローヴィス様、お静まりを!!」
朝、8時。
朝食の時刻になると、長いテーブルに6人分の皿が並び始める。
ブローシュ家三男のエド様は礼儀正しく椅子に座って待っていた。
エド様は少しふくよかな体系で兄弟同じく緑の瞳。そして、少し伸びた茶髪を三つ編みに結っている。
ふと、隣の席が空いているのに気が付いた。
「サム。クローヴィス兄さんはどうしたの?」
「・・・頭を冷やしておいでです。」
「ええ?。また誰かをしかりつけたのかい?沸点が低いとまったく困ったものだなあ。」
やれやれ、といった表情でため息をつくエド様。
そこへゆっくりと車いすに乗ったシャティ様が専属のメイドと一緒にやってきた。
シャティ様はアンドレアス様と同じく美しい金髪に緑の瞳をしていた。ただ、車いすに乗るのに髪が長すぎるとメイドの手を煩わせてしまうから、と気を遣って肩までの長さに切りそろえている。
「遅くなってごめんなさい。」
「シャティ姉さん大丈夫かい?最近花嫁修業に精を出しているようだけれど、
少し疲れがたまっているんじゃない?」
「んん~・・・。どうかしら。季節の変わり目で少し寝付きにくいだけだと思うけど。
気遣ってくれてありがとうねえ、エド。」
その後、部屋の中央の扉が大きく開かれるとドシドシと長身の女性が入ってきた。
「ちょっと、ミラ。あなたまた早朝に稽古をしてから来たわね。髪の毛が乱れているわよ。」
「まあまあまあ!姉さん、細かいことは気にしない方が殿方に好かれるわよ?
ほら、今日だってこの後実際に未来の花婿がお見えになるんでしょう?
眉間にしわが寄ると乙女の顔もだ・い・な・し、でしょ?」
ミラ様は自慢の赤毛交じりの長い茶髪を、頭の後ろにまとめている。
男物のブラウスとズボンを身にまとい、たくし上げた袖の中から日に焼けた肌が露出していた。
シャティ様は少し顔を赤らめる。
「あ、赤くなった。いったい誰を想像したんだか・・・。ふふふ。」
「・・・もう、ミラ。すぐに人をからかう癖を治してちょうだい。今晩のパーティで恥をかくわよ。」
ミラ様もシャティ様の隣に着席をすると、一瞬斜め前の席を一瞥した。
「アイラは・・・。まあ、いつもどおり自室で食べるでしょ。また庭園の花を窓際から覗いてるかも。
この間、庭園を散歩しているときふと見上げると窓際に人影が動いてドキッとしちゃった。幽霊みたいで・・・。」
「ミラ。また朝からそんな話、やめなさい。」
シャティは今度はぴしゃり、とアイラの話になるとミラ様の言葉を遮った。
少しミラ様は口をとがらせる。
「今日はわたしが最後だね。」
アンドレアス様が部屋に入ってくると、ミラはすぐに機嫌を取り戻して笑顔で兄のほうを振り向く。
「アンドレアス兄さま!お仕事はひと段落着いたの?ここ最近朝食も仕事部屋で取られていたでしょう?ここ数日、姉さんたちだけじゃ朝食中の会話が続かなくって・・・。」
「ははは。相変わらず元気がいいな、ミラ。よし、今日はいいニュースがあるんだ。なんだと思う?」
「え!?何なの?」
アンドレアス様はにこやかに背後を振り返る。
そこには、イシュバンとアイラ様が立っていた。
「おはようございます。お兄様、お姉さま方。」




