姉妹
まわりの人の仲良しの兄弟・姉妹の話を聞くのが大好きです(じゅるり・・・)
皆さんのおすすめのシスコン・ブラコン漫画&小説はなんでしょうか?
ぜひ教えてください~!!
「アイラ?・・・」
アンドレアス様を除いて、ブローシュ家の皆々が声をそろえ驚いた顔をする。
それもそのはず。アイラ様は母親であるメディア様が亡くなってから、一度も兄弟と顔を合わせることがなかったのだから。
イシュバンはアイラ様が席につけるよう椅子を少し引いているとき、エド様がどこか慌てた表情をしていることに気が付いた。
「えっと・・・。体調とかはもう大丈夫なの。アイラ?」
シャティ様は優しく声をかける。だが接し方がわからない、といったぎこちなさがある。
「お気遣いどうもありがとうございます。シャティお姉さま。見ての通り、問題ありませんよ。」
アイラ様はにこやかに微笑み返す。なんとも慣れた口調で、とても引きこもっていたとは思えない雰囲気をまとっていた。
これにはアンドレアス様も、さっそく久しぶりに兄弟全員が集まったと非常に嬉しそうだった。
「・・・ねえ、姉さん。朝の件どう思う??」
シャティ様とミラ様は紅茶とお菓子をつまみながらおしゃべりをしていた。
「アイラのこと?まあ、久しぶりに元気な顔が見れて良かったんじゃない?」
「その言い方。・・・心の中ではそう思ってないみたいに聞こえるわよ、姉さん。」
「・・・。ミラ、あなた何が言いたいの?」
ミラ様は小さな焼き菓子を一つ手に取って天井に向かって腕を伸ばす。
「だって、おかしいじゃない。急にあんな何でもないような顔で家族の前に出られる?
7・・・8年間?、も人目に出たがらなかったような子がよ?」
「そうねえ。・・・私も事故で体が思うように動かなくなったとき、少しの間塞いでいたけれど。あなたが外に引っ張ってくれたからこうして元気になれたし。」
ミラ様はその言葉にハッとして姉のほうをみると、懐かしむような、大変だった過去を思い出したくない・・・といった少し暗い表情のシャティ様の顔があった。
「うん・・・・・・。ってことは、誰かアイラを外に出そうと背中を押した人がいるってことかな?」
シャティ様は、今朝アイラ様の傍に立っていたイシュバンのことを思い出していた。
「最近入ってきたという、アイラと同い年くらいの少年がいたわね。たしかアンドレアス兄さまがイシュバンと言ってたかしら。」
「ああ、そういえばいたわね。あの子がアイラを引っ張り出してきたって思ってる?」
「だってこの数年間、家族の誰もアイラのことを部屋から出すことができなかったじゃない。」
「まあ、それもそおね~。歳が近い者同士話が合ったのかしら?」
「それならいいんだけれど。
・・・久しぶりに会って改めて思ったけれど。アイラ、メディア様にとても似てきたわね。」
メディア様のことはあまり二人にとっていい印象ではなかった。
なんの後ろ盾もないメディア様は自由奔放にふるまい贅の限りを尽くしていた。これにより、伯爵夫人との関係も険悪になる。
正直アイラのことも、複雑な血縁関係により純粋にかわいい妹としてみることができないのが現状だった。
ふと、シャティ様は部屋の壁にかけられた大きな絵を見上げる。
そこに描かれているのは彼女たちの両親。ブローシュ伯爵と伯爵夫人が寄り添い合う絵だった。
伯爵は病床により、長らく起きることができずにいる。また、伯爵夫人はシャティ様も巻き込まれた事故の際に命を落とされ、その翌年にメディア様がアイラ様を出産した。
「・・・お父様、もう長くないんですって。この間主治医が言っていたわ。」
「・・・あとどれくらいなの?」
「もって2カ月・・・。」
「・・・・・・。」
しばしの静寂・・・。
ミラ様もシャティ様と同じように両親の絵を見上げた。
姉妹たちのその目鼻立ちから、伯爵夫人の優しい面影がしっかりと残っている。
そして隣に立つ若いころの父に視線を動かした。絵画の瞳には光があったが、どこか悲しげな雰囲気がただよっていた。
暗い雰囲気を壊すように、ミラ様は明るい声で再び会話を切り出した。
「ねえ、姉さん。私。思うんだけれど、
アンドレアス兄さまの奥さんになる方って想像もできないのよね。・・・次の伯爵夫人になる方。
家族の私たちから見ても兄さまは完璧すぎるでしょ?ルックスも、頭脳も!」
「ふふふ・・・。ミラ、あなた昔から本当に兄さまが好きよね。」
「あたりまえでしょう?私が妹でなかったら結婚したかったのに・・・。わたしに合う男なんて世界中どこを探したっていないわよ。
だから剣術を磨いて、男よりも強くなって自分で自分と結婚してやったのよ!
誰がお兄様以外の男と結婚なんてするもんですか。」
ミラ様は近くに置いていた剣を姉の前に堂々と突き出して見せた。
「そ、それはすこし考えものだけれど・・・。」
シャティ様は妹の勇ましさに押され気味になっていると、彼女付きのメイドが部屋に入ってきた。
「シャティ様。シリウス様がお見えです。」
「・・・噂をすればお姉さまの未来の花婿がご登場ね・・・。」
シャティ様は顔を赤らめながら静かに部屋を出ていった。
別の部屋に移動すると、アルベルト様ともう一人の青年が楽しそうに話をしていた。
シャティ様が近づいてきたのに気が付くと、青年は明るい表情を見せる。
そして、少しかがんでから彼女の片手を取って軽く手の甲にキスをした。
彼はブローシュ家に並ぶ名家の子息、シリアス様。黒く短い髪に橙色の瞳、家紋の入ったイヤリングをしている。
アルベルト様と同じ背丈だが魔術訓練で日々鍛えられた体躯で、車いすに座るシャティ様から見ると大男のようにも見えなくなかった。
「シャティ。遠征訓練でしばらく時間が空いてしまったな。申し訳ない。
またしばらくはこっちで仕事があるから、頻繁に会える。」
「・・・ええ。」
相変わらずシャティ様の顔は真っ赤っかだった。
「あまり妹をからかってやるなよ、シリウス。手のキスすらいまだに慣れていないんだから。」
「かつての学友であり、親友である君の大事な妹だ。君を怒らせるようなことはしないさ。」
にやっと笑いかけ、そのままシリウス様はシャティ様の車いすを押しながら庭園へとむかう。
「アンドレアス。」
声をかけられたほうを振り向いたアンドレアス様に、今朝まで姿を見かけなかったクローヴィス様が歩み寄ってくる。
「少し話がある。いいか?」




