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お父さんさんが復活だ!

 それから少しして、みんなの目の前でゴトゴトという不気味な音とともに棺おけの蓋がガバッ!!と開き、お父さんがフランケンシュタインみたいにむくりと起き上がった。

 ぎゃ~~~、きゃ~~~と、みんな悲鳴を上げ、その場は大騒ぎになった。

 それからお父さんは辺りをきょろきょろしながら「なんだなんだなんなんだ?」とか、「おい!みんな何してるんだ?」とか言いながら、よいしょと棺おけを脱出し、少しよろよろしながら祭壇をまたぐと、みんなの所へと舞い降りてきた。

 もう何と言うか、天国から帰って来たヨッパライのようだった。そして大音量のスポーツニュースが聞えたらしく、「おっ、野球は逆転勝ちしたのか?」とか言ってとても嬉しそうだった。

 僕以外のみんなはお父さんが何を言っているのか意味不明だったけれど、そんな事より、お父さんが生き返った事の方がよほど嬉しかったようで、みんなの悲鳴はやがて歓声に変わり、それからみんなで手を取り合って喜んだ。

 お父さんだけは野球が逆転勝ちしたと勘違いし、一緒に手を取り合って喜んでいたようだ。

 そういう訳でしばらくは大騒ぎとなり、そしてお通夜は豪快に中止!

 それからお父さんの同僚のお医者さんたちは、

「気を失っていただけなのに、死んだだなんて!」「心肺蘇生はもっとしぶとくとやらなきゃ!」

「もし病理解剖なんかされていたらどうする!」「まったく最近の若い医者ときたら!」

「まあまあ何でも良い。これはめでたいめでたいわっはっは!」なんて事を言いながら、そしてとても嬉しそうに、みんなぞろぞろと帰っていった。

 親戚の人たちも「良かったね」「良かったね」と言ってから、泊まる予定だったホテルへ帰り、そして武内先生は「本当に良かった!」と涙を流しながら、お父さんや僕らと何度も握手をし、それから「今夜はみんなでゆっくり寝るといい」とか言って、そしてしばらくして家へ帰った。

 ちなみにお母さんは玄関で「もぉ~~!大変お騒がせいたしましたぁ~~~!」と恐縮顔でぺこぺこと頭を下げ、それから「これは頂く訳にはいきません!(キリッ)」と、一人一人に香典を返していた。

 そして家族四人と棺桶と、それからぴゃーちゃんが残された。

 ところで、野球が逆転勝ちしたとばかり思い込んでいたお父さんは、それからいそいそとリビングへ行き、ソファーに座ると僕が用意したからしれんこんをつまみに、少し温くなった缶ビールを飲んだ。

 だけど深夜のスポーツニュースを見ながら、何か文句を言っていた。

「なんだなんだ話が違うぞ。逆転満塁ホームランを打たれとる!」

 だけどお父さんは何だかぼーっとしているような感じだった。それでビールを飲み終えると、「やっぱり俺は寝る」とか言いだした。

 まだ殺人光線の影響で、頭がぼんやりしていたのかも。

 それでお通夜をやっていた和室の棺桶の前に布団を敷き、みんなで寝る事にした。

 ぴゃーちゃんだけは棺桶の上の「特別席」で寝る事にしたようだった。


 それからしばらくして、暗い部屋にみんなの寝息が響きはじめた。

 お父さんのがーがーといういびき。お母さんや妹のすーすーという寝息。

 でも僕はなかなか眠れなかった。

 いろんな事が次々と頭に浮かんだんだ。めちゃくちゃ疲れていて、もう何も考えたくないのに、脳みそが考えるのをやめてくれなかった。

 僕はいつだってこうだ。

 ごちゃごちゃごちゃごちゃ考え続てしまう。

〈まあいい。だったら朝まで考え事をしてやる!〉

 それで僕はそういう風に開き直り、とにかく延々と、ごちゃごちゃ考え続ける事にした。


 そういう訳で、布団の中でしばらくごちゃごちゃ考た僕は、ふとある事をに気付いた。

 それはセリア君も別の宇宙のセリア君も、どういう訳か催眠光線ではなく、殺人光線のカートリッジを用意していたという事だ。

 殺人光線といっても本当は「仮死状態」にするだけの光線だったみたいだけど。

 だけどともかくお父さんは、その殺人光線で撃たれて「死んだ」。(生き返ったけれど)

 そして僕は、この「死んだ」という事実が最終的に「死ななかった」ポイントなのかも知れないと

思ったんだ。

 だってお父さんは、「予定どおり死んだ」のだから。

「死んだ」以上、運命を取り仕切っている自然界の偉い誰かさんも、(もしいたとしても)もはや文句を言えないのでは?

 だって、「死ぬ」という「約束」は果たしたのだから。

 それ以上何をしろと言うのだ! 

 そう考えるとセリア君の取った行動も、別の宇宙のセリア君の取った行動も、結果的に正しかったのではないだろうか。

 それで僕は何だか納得した気持ちになった。

 そしてセリア君とセリア君にとても感謝したい気持ちもこみ上げてきた。

〈セリア君ありがとう。別の宇宙のセリア君もありがとう。恨んだりしてごめんね。そうだったよね。オーラム星は恨みっこなしだったよね!〉


 だけど僕は、それでもまだ油断禁物だと思った。

 だって「替え玉作戦」が成功したと思っていたのに、お父さんは冷蔵庫に大外狩りを掛けて怪我をした揚句、トイレの後で僕に殺人光線で「殺された」のだから。 

 そう考えると、まだ何が起こってもおかしくない。

 地震雷火事親父…(いやいや、お父さんはここにいるし)

 ともかく僕は布団から出て、一人窓の傍の椅子に座り、外の様子やみんなの様子をじっくりと観察する事にしたんだ。

 僕はぜぇ~~~~~んぜん眠くなかったし。(めちゃくちゃ疲れてたけど)


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