2020 9/10(8)
瀬奈「…いきなり何を言い出すかと思えば…どうして?」
理科「理由は言いますが、その前に私の質問に答えてください。昨日私が襲われている頃、どこで何をしていましたか?」
瀬奈「私は放課後直ぐにホテルに戻って自室にこもっていたわ。これを保障できる人はいないけどね」
椿の聞いた情報通りだ。瀬奈は椿と同じクラスではないのでそこまで信頼感があるようには思えない。それに相手はファッションにしか興味を向けていないと言われている瀬奈来夏だ。理科に嘘をつく理由は今の所見当たらない。
理科「そうですか、これからはもしかしたら瀬奈さんが襲われるかもしれません。お互いの能力を知っていた方が何かを助けになるのではないかと思いました」
瀬奈「だからって能力を教え合う理由にはならないと思うけど、確かに助けを求める時に知っていた方が良いかもしれないけど私は嫌よ」
理科「…」
ここでもし瀬奈が〈記憶消去〉を持っているかどうかを確認できれば…これまで選択肢が多すぎて結局考えがまとまらなかったこの状況を変えることが出来る。
理科「ではこうしましょう」
もしここで殺されてももしかしたらまた記憶が引き継がれて次週に行くかもしれない。というかこんなにも頻繁に襲われているのだから、何者かが自分を狙っていることはなんとなく感じてきていた。
理科「私が瀬奈さんに貸を作るというのは? 瀬奈さんが何か困った時に私が手伝う。これでどうでしょう?」
瀬奈「却下。朝倉がうやむやにする可能性の方が高いでしょう」
理科「…。では質問を変えます。瀬奈さんは〈記憶消去〉を持っていますか?」
瀬奈の表情は変わることなく理科を見つめているだけだった。
瀬奈「…」
当たっているから黙秘しているのか、反応を見せたくないから黙秘しているのか…分からなかった。
理科「…お願いします。〈記憶消去〉を持っているのが誰か分からないと誰が襲ってきたのかさっぱり分からないんです。このままだとまた襲われるかもしれません」
瀬奈「…誰に襲われたの?」
理科「わかりません、全身が黒くて顔が見えませんでした」
瀬奈「…却下」
理科「瀬奈さん、このよくわからない集まりを終わらせたくないと考えていますか?」
瀬奈「いや、こんな集まりはさっさと終わらせたいわよ。能力とかこの12人が選ばれている理由とか全く分からないし」
理科「私もこのよくわからない集まりを早く終わらせたいと考えています。誰が〈記憶消去〉を持っているか特定しないと手がかりが掴めても消されたら終わらせることが出来ません。瀬奈さんは早く終わらせたいと思っているなら〈記憶消去〉を持っている人を特定したいと思いませんか?」
瀬奈「思うけど…」
もう一押しだろうか。
理科「いいですか。もし私達12人の中にこの集まりを続けようとしている者がいるなら、なんとしても〈記憶消去〉を持っている人は特定して起きたいはずなんですよ。だって特定しないと下手したら自分の記憶が消されてしまかもしれませんから」
瀬奈「それって朝倉じゃないの?」
理科「え?」
瀬奈「だってさっきからやたら〈記憶消去〉を持っている人を特定しようとしているしそんな存在の人なんじゃないの?」
理科「じゃあなんで私が襲われていると思いますか?」
瀬奈「知らない。油断させるためとか? とにかく能力公開は却下で」
理科「…」
もし〈記憶消去〉を持っていないなら、持っていないとすんなり言って一緒に誰が持っているか特定したいと言うと思ったが…。それもこのゲームを続けさせたいならなおさら特定しておきたいと思うはずだが…。これは…。
既に誰が〈記憶消去〉を持っているか特定しているか、瀬奈自身が〈記憶消去〉を持っているのか。とぼけているのか…。
何か…。何か能力を公開させる方法…。少なくとも瀬奈はあの4人と比べて攻撃的ではないから、瀬奈が持っているなら一気にはかどる。
理科「…」
仕方ない。ここは引こう。
理科「すいませんでした。やはりいいです」
瀬奈「分かればいいのよ。それじゃあね」
時間を見ると5時間目終了の時間になっていた。理科の方は一切見ないで病室から出て行く。
瀬奈の姿が見えなくなったのを確認すると、すぐにチャットアプリを開き清水に瀬奈の能力を知っているのか聞くと
清水『知らない』
理科『私は瀬奈さんが〈記憶消去〉を持っていると思うんです。調べてくれませんか?』
清水『どうやって?』
理科『〈誘惑〉で』
清水『確かに〈記憶消去〉を持っている人の特定はしないとまずいわね。分かった。後でやっておく』
理科『お願いします』
アプリを閉じてベッドから降りて身体を伸ばす。清水の返事を聞いてから考えよう。少し休むためにストレッチをして身体をほぐすことにした。




