2020 9/6(8)
ポイントが欲しいです…。
理科「な、いきなり何を言っているの」
楓「それはこちらのセリフですよ」
理科の足がある方向から楓がやって来た。
楓「あ、一応教えますがもう既に終わっていますので遠慮なく話して大丈夫ですよ」
理科「…何が?」
楓が懐からスマホを取り出して、理科に見えるように画面を見せる。そこには1つの画像があって白い部屋の写真だった。楓が両指で画面を拡大するとそこにはある文章が書かれていた。
【使命終了。詳しいことは明日の午前8時。情報を共有しても構いません。共有しても死亡しません】
理科「…終わったってこと?」
楓「そういうことです。朝倉さんの事情は奈那子ちゃんから聞きました。強引な方法で今こうしていることは謝ります」
楓が頭をぺこりと下げるが、理科が何かを言う前に頭を上げる。
奈那子「さて、話を戻すけど。朝倉が私達をこうして巻き込んだという疑惑があるのだけど、何か反論はあるかしら?」
理科「は、反論も何も、本当に何もしらない」
楓「…朝倉さん本当に何も知らないんじゃないですか?」
奈那子「分からないよ?」
楓「この人、話したこともそんなにないので説得力に欠けますが、とてもそんな度胸があるようには見えません。仮に本当だとしても傀儡にされている可能性も…」
理科「私は何も知りません!」
奈那子「…はぁ、嘘発見能力とかあればな~」
楓「…いや、信憑性のある人が朝倉さんは何かに関わっているのはほぼ確定と言っているので…多分記憶が消されているか、このゲームに関わることの情報は規制されている可能性が高いかと」
奈那子「…朝倉。これに正直に答えたらこの拘束は解いて上げる。お前は〈記憶消去〉を持っている?」
理科「持っていないです」
楓「…。とりあえず私の能力2つを教えますので朝倉さんの能力2つを教えてください。見せてくれたら信じます」
理科「…」
奈那子「見せてくれないと朝倉はずっとこのままよ?」
理科「…分かりました」
抵抗しようにも手足を拘束されていたら、食事も排泄も入浴も出来やしない。それをするのは、普段娯楽にあふれている生活を送っている人にはとても耐えられるものではない。
楓が理科の身体を起こして背中側にくっついて首元に何か尖ったものを当てている。なんとか視線を僅かに下に向けると、小型のナイフを理科の喉元に構えている。
楓「嘘をつく、攻撃しようとしたら殺しますのでよろしくお願いします」
奈那子が理科の手の拘束を解いて、理科のスマホを持たせる。理科は震える手で自分の能力を奈那子と楓に見せる。
奈那子「…あら?」
楓「ほら、朝倉さんは持っていませんって言いましたよね」
奈那子「…ち」
奈那子は不満そうに、楓はどや顔を奈那子にしている。
理科「…これ解いてくれない?」
楓「そうでしたね。奈那子ちゃん」
奈那子「~~」
楓「奈那子ちゃん、いざとなったら殺せばいいんです。今は解きましょう」
奈那子「はぁ~。わかったわよ」
理科の拘束を解いて奈那子は離れていった。楓は理科の喉元に付けていたナイフを閉まって、自分のスマホを理科に見せる。
楓「はい、言われた通りこれでチャラですよ」
楓が持っていた能力は〈可視〉と〈変装〉だった。
楓「では私はこれで」
楓が理科の元から離れて、自分の部屋に戻っていった。
理科は痛む場所を擦って、さっきの2人の会話と能力について考える。
あの言い方は、まるで理科が何かの事件にみんなを巻き込んでいるという言い方だ。チャットのグループの方を見てみると特に誰も何も言っていなかった。
奈那子と楓2人だけが、理科を疑っている?
でも楓と一緒にいた緋色はどう思っているのだろうか…。全く知らないとは思えないが…。緋色にチャットを送ろうと個人画面を開いたが
理科「…もし本当に何も知らなかったら、余計に私が怪しいと思われることを増やしちゃうか…」
緋色が本当に何も知らなかったら、いきなり「奈那子と楓が自分を疑っていることを知っている?」という感じなことを言ったら、余計に怪しまれるのではないかと思い、動かしていた指を止める。
理科(そういえば、ホテルを出る前にこのエントランスで集まった時、社巫女さんと茅野さんが私に反応を示していた…かも)
茅野が理科を売った? 清水が理科を売ったのか?
この2人にも緋色と同じことをしようと思ったが、結局聞くのをやめた。
次に能力について考える。
まず奈那子だ。さっき伊藤の姿になっていたのを理科が突き止めると奈那子の姿になったことから、奈那子は〈入れ替わり〉を持っていると言えるだろう。
…。そういえば緋色が奈那子・理科・楓と一緒に歩いていた時に何かを見つけたようなことを言っていたが、そこには何もなかった。もし何か見ているとしたら、本人の言う通り見間違えたのか、〈可視〉〈発見〉を使ったのか、ただ嘘をついたのか…。退屈を嫌う緋色なら、嘘をついた可能性も十分にあり得るので、能力によるものかは断定できないが可能性はある。
朝倉理科=〈予感〉〈身代わり〉
伊藤ルキ=〈回復?〉〈???〉
柊椿=〈鍵開け〉〈追跡?〉
柊奈那子=〈入れ替わり〉〈追跡?〉
柊楓=〈可視〉〈変装〉
清水社巫女=〈誘惑?〉〈???〉
星名メア=〈沈黙〉〈透明〉
瀬奈来夏=〈???〉〈???〉
明坂絵美=〈???〉〈???〉
茅野亜李=〈発見?〉〈???〉
緋色沙耶=〈???〉〈???〉
宮永美玖=〈道連れ?〉〈???〉
仮能力を含めても14個。確定しているのは8個。大分誰がどの能力を持っているか絞ることが出来たように思える。
理科(だけど状況が最悪だ。早いところ私の疑いを晴らさないと本当に殺されるかもしれない)
事実比較的温厚だと思っていた楓が脅すためとは言え、理科の喉元にナイフを突きつけてきたことを考えると、ここにいる人は全員やるときはやるタイプなのかもしれない…。
身体を起こして食堂に向かうと、そこには明坂・茅野・緋色・宮永の4人がスイーツを食べていた。理科が入ってきたことに気付いた4人は談笑をやめて、理科に話しかける。
茅野「あら朝倉さん、一緒にスイーツを食べますか?」
宮永「お腹が空いては頭が働きませんから一緒に食べませんか?」
理科「え、っと…」
明坂「食べなさい」
緋色「朝倉~。一緒に食べようぜ~」
4人はどちらかというと理科を歓迎しているように見える。ここで断るのも何か悪いなと思い、4人に近づく。
「12」の席に座ると、食卓が回されて沢山のスイーツが理科の前に出てきた。
茅野「ほら、私達からスイーツが差し出されるのはとても珍しいことですよ。受け取ってください」
緋色「絵美と亜李はスイーツに関しては人格が変わるくらいだから受け取っておきな。こんなことは滅多にないよ。宝くじ2等に当たったようなものだと思いな」
明坂「それは盛りすぎでしょ」
宮永「盛っていないと思いますよ」
理科「…」
理科は無言でスイーツを食べ始めると、4人は再び談笑し始めた。理科に話題を振ることなく、4人で盛り上がっている。
理科「ごちそうさまでした」
席から立ち上がり、4人に頭を下げると
緋色「朝倉さ、必要以上に頭を下げすぎじゃない?」
宮永「それは私も思った。謝るときは本当に自分が悪い時だけでいいんですよ」
茅野「今度は朝倉さんがスイーツを奢ってください」
明坂「あ、それ。朝倉さん。約束よ」
理科は無言でうなずいて食堂を後にして自室に戻った。
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