2020 9/5(8)
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瀬奈「うっま~~」
焼肉を箸で掴み自分の小皿に入っているタレに付けた後に、ご飯の上にトントンと乗せてから口に運ぶ。頬に手を当ててニコニコしている。
理科は瀬奈の対面の席に座り、肉を食べている瀬奈を見ていると
瀬奈「朝倉は食べないの?」
理科「いや…短期間に…焼肉を…2度も食べるのは…」
瀬奈「…はぁ~。朝倉、それ本気で言っている?」
理科は瀬奈のいう事が理解できず、首を傾げると瀬奈は心底呆れたように口に進めていた箸の手を止める。
瀬奈「朝倉、死にかけたでしょ?私にはよく分からない話だったけど、死んだら美味しいご飯も食べられないし、着たい服も着られないし、会いたい人にも会えない…生きている今はやりたいようにやれば良いのに…」
瀬奈は置いていた箸を再び取り出し、網で焼かれている肉を次々と小皿に入れていく。
理科「…」
瀬奈「別にあなたが食べないなら食べなくてもいいわよ?私は食べたいだけ食べるから」
理科「…そういう…ものですか…」
瀬奈「沢山お金を持っていても死んだらただの紙屑だし、沢山女や男を侍らせても死んだらもう会えない。実際朝倉はとても危険な目に遭って、次に死ぬのはすぐ近くかもよ?」
不敵な笑みで見てくる。
理科「…そうですね。いただきます」
瀬奈「そうそう、食べられるときに食べないと大きくなれない…あんた、私達12人の中で一番身長高いわよね…っち!」
揶揄おうとしたが、揶揄おうとした内容が当てはまらなくてイラついたようだが、すぐに口に肉を入れておいしそうに噛みしめている。
瀬奈「あんた…どうすればそんなに身長が大きくなるの…珍しいよね。成人女性でも170㎝超えているのはそうそういないわよ」
朝倉「どうすれば…なんて…食べて寝て…を繰り返していたら…」
瀬奈「……気にしても仕方ないわよね」
理科「…私は…瀬奈さんくらいの身長が…いいです」
瀬奈「…そう?」
理科「大きいと視線が集まることが…多くて」
瀬奈「あぁ…朝倉人の視線とか苦手そうだよね。気にしないというのも……あぁ、さっき私が珍しいって言ったか。珍しいものに目を向けるのは当然だから…どの道視線が集まるのは避けられないか」
理科「……はい」
瀬奈「…ほらほら、そんな辛気臭い顔をしない。させちゃったのは…私だけど…ほらほら」
瀬奈がドンドン肉を網に乗せていく。網が肉で埋まり、肉しか見えなくなった。
こうして2人で焼肉を食べた。
帰り道、午後2時ごろ。瀬奈が食べ過ぎで気持ち悪くなって、公共のトイレに行ったのを待ってスマホを弄っていると、瀬奈からチャットが来ていた。
瀬奈『先に帰っていいよ。長引きそう』
理科『わかりました』
まぁ、網に埋まる程度の肉を何回も焼いて食べたのだから腹痛になるのも当たり前だった。理科はほどほどに食べたので腹痛になることは無かったが、早くホテルに戻って横になりたいと歩いていると、行くときに寄った公園にいたおばあちゃんの姿があった。
おばあちゃんは会った時と変わらず、座っている。話しに行こうかと思ったが
理科(服に焼肉の匂いがついていて、多分口も臭い…やめておこう)
口の中が肉臭い…そんな人と話がしたいかと思うと、おばあちゃんでも嫌がると判断して、おばあちゃんに話しかけないでホテルに帰宅することにした。
ホテルについて、エントランスに出る。エントランスには椿・奈那子・楓・清水・星名が何かを話している。入ってきた理科を5人は見てきたが、清水は直ぐに目を逸らし、続いて奈那子も逸らす。椿・楓・星名は理科を見て何かを話しているが、話題が尽きたからか目を逸らした。
理科は洗面所に行って、置いてある自分の歯ブラシを取り、歯磨き粉を付け口の中に入れてゴシゴシと擦り始める。歯茎も重点的に洗い、歯と歯の間もブラシの先端を駆使して細かく洗っていると、伊藤がやってきて歯ブラシを手に取った。
伊藤「…よう」
廊下ですれ違う時とは違い、少し顔つきが良くなっているように見えた。鏡に映っている相手の目を見て話す。横を向いて話をしなかった。
理科「お昼何食べたの?」
伊藤「近くのファミリーレストラン。朝倉は…焼肉か」
理科「わかるの?」
伊藤「匂いがすごい焼肉臭い」
理科「そんなに…後で着替えるよ。…そうだ、緋色さんから聞いたけど私達2人と明坂さん・茅野さん・緋色さん・宮永さんの6人で行動をすることになったと聞いたけど本当?」
伊藤「本当」
理科「伊藤と組むのはわかるけど、どうしてあの4人も?」
伊藤「朝倉の部屋で話すよ」
2人で歯ブラシを終えて、理科の部屋に向かう。
理科「着替えるから少し待っていて」
伊藤「私も入る」
理科「なんでよ。私着替えるって言っているでしょ?」
伊藤「私は気にしない」
理科「私が気にするの、何考えているの」
伊藤「〈変装〉〈入れ替わり〉持ちが、私の姿になってこの部屋に入ったと思われるのが嫌だから」
理科「……あぁ。そんなことも出来るのか」
伊藤「そういうこと。安心しろ。朝倉の裸は見ないから」
理科「…わかった」
2人で部屋に入り、扉を閉める。部屋の様子は焼肉に行く前と変わっているところはない。
服を着替え、話をすることになったが伊藤は立っているままだ。
理科「座りなよ」
伊藤「…どこに?」
理科「そこの勉強机の前にある椅子」
伊藤「わかった」
理科が指定した席に座ると、伊藤が話し始めた。
伊藤「現状昨日の出来事で清水が襲われたときに、姿がなかったのはその4人と瀬奈の5人だ。この5人が怪しいから2グループに分かれることにしたわけ」
理科「柊姉妹の3人は怪しくないの?」
伊藤「助けるのに協力をしてくれたからグレー。柊姉妹より5人の方が怪しい。それにあの4人はこうして集まる前から好戦的な性格だから、面白半分で清水を襲った可能性も否定できないからこっちに入れて、清水から距離を取らせるのが目的」
理科「あぁ…瀬奈さんは?」
伊藤「星名に瀬奈を見るようにお願いをしているから問題ないと判断したけど…少し不安だな」
理科「どうして?」
伊藤「なんか…星名には知らない間に情報を盗まれているような感じがある。少し怖い」
それはそうだろう。今の言い方的に、星名が〈沈黙〉〈透明〉を持っているとは分からないようだが、なんとなく察してはいるのだろうか。
伊藤「それに清水もあまり信用できない」
理科「どうして?」
理科「襲われた理由が分からないならともかく、覚えていないと言ったのが怪しい。〈記憶消去〉を自身に使った可能性も否定できないから、もしかしたら自身の記憶を対象として〈記憶消去〉を使って揺さぶりをかけているのかもしれない。この考えは緋色も同じみたい」
理科「会議をしたときに社巫女さんは否定しなかったの?」
伊藤「否定した」
理科「…でももし自分の記憶を消去できるとしたら…厄介だね」
伊藤「そう…朝倉は誰がどの能力持ちか把握している?」
理科「それは」
伊藤「待った!」
突然大きな声を出して椅子から立ち上がり、理科の傍に駆け寄り口を手でふさぐ。何事かと思い、彼女の目を見ると部屋中をキョロキョロと素早く見渡し始めた。
伊藤「…っ!」
理科から離れて床に耳を当てる。理科も何かいるのかと思い、口に手を当てて辺りをキョロキョロと見渡した。
伊藤「朝倉。絶対に部屋を開けるなよ」
伊藤は腰を低くして臨戦態勢になる。
少し時間が経つと、部屋の入り口に少しずつ誰かの姿が浮かんできた。星名だ。息を荒くして、気持ち悪そうに膝をつく。
伊藤「星名か。なんでここにいるの」
星名「…」
伊藤「〈透明〉もちか。あと1つはなんだ?」
星名「…」
伊藤「まぁいいや、とりあえず取りおさえるか」
伊藤が星名の両手を掴み、壁に張り付ける。
星名「…はぁ」
息を荒くして顔を真っ赤にしたかと思うと星名が床に倒れてドサッと倒れてしまう。
理科は星名に近づこうとするが
伊藤「朝倉近づくな。おい星名、どういうつもりだ?」
星名「朝倉を守ろうと思って…」
伊藤「会議で朝倉は私が見るって言ったろ」
星名「一応心配だから見に来ただけ」
伊藤「はーん」
理科「ちょっと伊藤、星名さんが苦しそうだから放してあげて」
伊藤「…っち」
伊藤が星名から離れ理科の座っていたベッドに足を組んで座る。
理科「…」
星名「…」
星名は理科の目を無言でみる。
理科「とりあえず部屋に戻っていいよ」
伊藤「おい」
理科「私は星名さんを疑いたくない。社巫女さんが危険な目に合うかもしれないって言ったのは星名さんだから敵ではないと思っている」
伊藤「…ちょっと待て。なんで星名はそんなことを言ったんだ?」
理科「聞いてないの?あの4人が好戦的な性格と、この状況が続いてからある程度日が経っているという理由で誰かが襲われるかもしれないって言っていた」
伊藤「…。なんで清水がって思ったの?」
星名「最初私達12人が集まった時に、一番取り乱していたのは清水社巫女だから。朝倉が言った理由の通り、誰かが痺れを切らして攻撃を始めるとしたら最初に大騒ぎをしていた清水社巫女が狙われる可能性が高かったから」
伊藤「…」
納得したような納得していないような表情をする伊藤。
理科「…会議で誰がどんな能力を持っているのか話したの?」
伊藤「それは伏せた」
理科「なんで?」
伊藤「私達の中に何かの組織・団体の関係者がいて、事件を起こそうとしている人がいるかもしれないから」
理科「…それは」
肯定も否定もできなかった。そう断言をするための証拠が現状無いからだ。
星名「…」
星名の息が荒い。保健室の時と同様に、息が荒く咳をし始めた。
理科「とりあえず、星名は部屋に連れて帰る。伊藤は待っていて」
伊藤「私も行く。文句ないよな星名」
星名は伊藤の発言に首を頷くと、伊藤は星名に近づき
伊藤「朝倉、星名の目を布で覆って」
理科「え?」
伊藤「いいから」
理科は布を取り出し星名の目に当てる。
伊藤「じゃあ連れていくぞ」
伊藤が星名を乱暴に引きずり、星名の部屋に入り、彼女を放り投げて部屋を出た。
再び理科の部屋に集まる。
伊藤「星名も怪しい…。さっきの朝倉が心配という理由…。朝倉は星名の能力が何か知っている?」
理科「知っているけど」
伊藤「教えて」
理科「星名さんがさっき伊藤の言った何かの団体に狙われたらどうするの?私から見たら伊藤もその団体の関係者の可能性も否定できないから教えたくない」
伊藤「…。それもそうだな」
理科「…」
伊藤「とりあえず今後私と4人と過ごすことが増えるからよろしく」
それ以上は何も言わないという感じで、ベッドから立ち上がり部屋の入り口に立って
伊藤「扉を開けてくれ」
理科「…」
伊藤「今何を話しても信用してくれなさそうだ。これ以上は話すことがない」
理科「…わかった」
扉を開けると、伊藤は部屋を出て行った。
理科「…はぁ」
扉を閉めて、ベッドに横になって考える。
理科「とりあえず、伊藤は敵ではないと信じて…あの4人を中心的に見て…4人が味方かどうかを判断するとして…。社巫女さんと星名さんは…今の所スルーかな…。瀬奈さんと柊姉妹も…少し注意を払っておくとしよう」
夜ご飯までパソコンを起動して、ネットサーフィンをすることにした。
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