2020 9/5(6)
今後もよろしくお願いします。評価・ブクマくれるとやる気が出ます。
緋色「あ、朝倉~」
トボトボ歩きながら清水とどうすれば距離を詰め直せるか考えていると、緋色の声が聞こえてきた。声が聞こえた方を向くと、既にゲームボードが置かれていて明坂・茅野・宮永もこちらを見ている。
緋色「はやくやろうぜ~」
緋色は笑顔で理科の方に近寄り、手を握って残っている3人の元に駆け寄ると、3人と目が合う。
明坂「これからよろしくね」
茅野「よろしくお願いします」
宮永「ふふふ、仲良くしましょうね」
理科「その…はい」
理科は緋色に招かれたまま、近くのソファーに着席する。
理科「あの…これって人生ゲーム…ですよね」
緋色「うんそうだよ。どうした?」
理科「いや…マスの内容が…少し過激なので」
人生ゲームのマスに書かれている内容と言ったらどのような内容が思い浮かぶだろうか。
大体は以下の内容が思い浮かぶだろう。
・友人が結婚したので○○○○円支払う
・事故に巻き込まれて入院することになった。〇ターン休み
・資格が取れたことで給料があがった
…大体こんな感じのことを思い浮かべるだろう。それは基本的な内容とも言えるし、ボードによっては多少変なことも書かれているだろう。
しかし今から5人でやろうとしているボードに書かれているマスの内容が「相手が不倫をしたから不倫相手を殺害することが出来る」とか「銀行の見取り図を手に入れたので強盗成功確率が上がる」とか「不倫相手を惚れさせて財布にしたことにより○○○○円毎ターン獲得できる」など…
このゲームで生きている人はとてもハードな人生を送っていることが分かる。
理科「よろ…しく…お願いします」
ペコリと3人に頭を下げて札束やピン、車を確認していく。
宮永「朝倉さんは普段ゲームをする人ですか?」
理科「え…っと…はい」
茅野「どのようなゲームをされていますか?」
理科「オセロとか…トランプとか…将棋とか…基本的な…物なら一通り」
明坂「あら、それなら気が合いそうね。沙耶が無理に連れてきたと思っていたから、ゲームにやる気が出ないかもって少し心配をしていたけど大丈夫そうね」
宮永「じゃあ始めましょう」
各自ルーレットを回して順番を決める。
宮永「今日こそ1位は貰いますよ」
茅野「あらあら?みなさん寝ぼけるにはまだ早いですよ?」
明坂「今日こそ私が勝者になるわ。全員床に這いつくばってもらうわよ」
緋色「おい、今回は朝倉がいるから少しは抑えろよ」
茅野「相手が違うからと言っても、私達が遠慮する理由にはなりません」
明坂「ゲームは本気でやらないと面白くないわ」
宮永「朝倉さんも遠慮なくやりたいようにやっていいですよ。私達の間では下手に手を抜くのは禁止していますから。どんな時も全力でゲームをすること。いいですか?」
理科「は、はい」
3人とも自信満々な表情をしている。マスの内容が過激だが、ゲームだし直接攻撃されないと考えることにして、ゲームが始まった。
~ゲーム開始5分後~
茅野「嘘だぁぁ!」
茅野が台パンをして苛立つが、自分の持っていたお金のほとんどを理科に渡す。渡すとき、少し睨んできて怖かったが
緋色「亜李、ゲームだからそういうのは無しだぞ。これからもゲームをする仲になってくれるかもしれない相手だから丁重に扱え」
茅野「わかっていますけど…くそ」
茅野は理科を睨むのをやめて、普段の丁寧な口調をする彼女からは想像できない言葉が出てきて驚いた。
明坂「亜李。女の子がくそというのはやめなさい。品がないわよ」
宮永「はは、今回は茅野さん負けの匂いがしますよ」
茅野「まだまだ、これからですよ」
~ゲーム開始10分後~
明坂「ふざけるなぁぁぁぁぁ!」
明坂が髪の毛を掻きむしった後、理科に手持ちの半分程度のお金を理科の手元に置く。
緋色「アハハ、絵美がとても取り乱してやがるの」
茅野「品がないですわね」
明坂「あ?なんか言った?」
宮永「明坂さん、そんな威圧するような言葉を言うのは控えた方が良いですよ?私みたいにおしとやかで上品な振る舞いをするようにするべきです」
理科「……」
~ゲーム開始15分~
宮永「バカヤロウゥゥゥゥ!あさくらぁぁぁぁぁ!誰を撃っているぅぅ!ふざけるなぁぁぁぁぁ!」
理科「ごめんなさい、許して」
緋色「婚約者に拳銃で発砲するとか朝倉怖いわ」
茅野「考えられないですね」
明坂「常識を疑うわ」
理科「マスの内容がそうだから仕方ないでしょ!」
宮永「朝倉さんと結婚してから思っていましたけど、運の振れ幅大きすぎない?」
緋色「それは私も思った。始まった方は、3人から金を巻き上げて1位独走かなと思っていたけど、今は最下位だもんね…ぷぷぅ」
緋色が理科の肩にバンバンと手を当てて、自分の腹を抱えて笑っている。他の3人も文句を言いつつ笑っている。理科も大声で笑っていた。今度は明坂が罠マスに止まってしまった。
理科「あはは!明坂さん…ふふぅ」
明坂「笑うな~!」
明坂が理科の肩を軽くツンツンと突いて頬を膨らませている。
茅野「絵美、男を見る目がないわね」
宮永「将来ダメ男に目を付けられそうです」
明坂「違うの、彼はしっかり働いているのよ。ただ私の方が収入上だし、家事・洗濯をしてもらって時々甘えさせてもらえればいいのに!」
緋色「その発言が完全にダメ男を拾う女にしか聞こえない」
理科もお腹を押さえてクスクスと笑っている。5人で笑っているとお腹が「ぐぅー」となった音が聞こえた。4人の笑い声が止んで、音の発生源の方を見る。
全員理科を見ていた。
理科「……どうしました?」
何も気づかないふりをしてとぼけてみるが
明坂「ぐぅー」
茅野「ぐぅー」
緋色「ぐぅー」
宮永「ぐぅー」
理科「~~~!仕方ないでしょ!生理現象!私が食いしん坊じゃないの!」
緋色「誰も何も言っていないよ?」
宮永「勘違いですか? 恥ずかしい~」
明坂「あらあら亜李さん。隣の朝倉さんが勘違いをしていますよ~?」
茅野「あらあら絵美さん? そんなことを言っては可哀そうですよ?」
理科「~~うぅ」
恥ずかしくて顔を真っ赤にしてうつむくと
緋色「アハハ、まぁまぁそれくらいにしようよ。そろそろ正午になるし何か食べるか」
茅野「そうですね。ゲームも丁度終わりましたし…朝倉さんは誰かと何か約束をしていますか?なかったら私たちと一緒に外食に行きません?」
理科「えっとそれは…。すいません伊藤に確認したいことがあるのでまたの機会で」
宮永「また遊びましょうね~」
4人はゲームボードを片付けてエントランスから外に出て行ってしまった。
楽しかった。伊藤や清水と一緒に過ごす時間も楽しかったが、この時間はまた違った楽しさを味わえた。久しぶりにお腹を抱えて笑った理科は、ゲームに誘われる前の暗い気持ちがもう無くなっていた。自分の好きな分野と、誰でも基本的に楽しめることをしたからだろうか…4人と話すとき、最初の方はぎこちなかったが、途中からは清水と話すときみたいにスラスラと話せるようになった。
理科「そういえば伊藤はどうしているのかな」
スマホを手に取りチャットを確認すると個人に伊藤から1件来ていた。
伊藤『楽しそうだね』
この文章を見た理科は、さっきまで楽しんでいた気持ちが一気に冷えてしまい、突然心臓を途轍もない力で握り潰されそうになるくらいの痛みを感じた。
もしかしたら伊藤を怒らせてしまったのかもしれない。
評価・ブクマよろしくお願いします。




