2020 9/5(5)
今後もよろしくお願いします。
理科がソファーに横になり、お菓子を食べながらテレビを見ていると、隣から声がかかる。
緋色「よう、少し良いか」
誰だと思い、視線をテレビから聞こえた方に向けると、そこにいたのは緋色だった。姿勢を正そうと身体を起こそうとするが
緋色「寝たままで良いよ。私がアポなしで来たんだから朝倉に合わせるのは当然だからな」
理科「いや…でも」
緋色「朝倉のしたいような体勢でいればいい。それで用件だけど、良かったらこれで遊ばないか?」
緋色が手に持っていたものを理科に見せる。人生ゲームだ。
理科「これを…2人で?」
緋色「いや、他の人も一緒にやる。今の所、私・絵美・亜李・宮永の4人だけど偶には違う人たちとやってみたいという話になってさ、とりあえず最初に朝倉を誘ってみたというわけ」
理科「はぁ…」
緋色「朝倉はゲーム好き?」
理科「好きな方だけど…」
緋色「じゃあ一緒にやらないか?予定がないなら暇だし丁度いい暇つぶしになると思うし、これからのことを考えれば、これをきっかけにあの3人とも仲良くなれると思うし」
理科「……これから?」
緋色「そう。これから。伊藤から聞いているでしょ?」
なんのことかさっぱり分からず、首を傾げると緋色は驚いた顔をした。
緋色「あれ?伊藤から聞いていない?これから伊藤・朝倉・私・絵美・亜李・宮永の6人で一緒に過ごすことになるって…その反応…本当に聞いていないのか」
理科(そんな話は1度も…いや、確か伊藤は昼食を摂ったら話があるとか言っていたような…)
理科「うん、聞いていないかな」
緋色「なんだあいつ、これから一緒に協力をしていく仲だってのに…まぁいいや。で、どうする?一緒に遊ぶ?遊ばない?」
本音を言うと、こうしてダラダラとテレビを見ているよりは誰かと何かをしている方が気がまぎれそうだが…さっき助けてもらったとは言え、普段仲のよい友人グループに1人で絡みに行く勇気は自分には無かった。
緋色「…一応言っておくが、朝倉が初対面の人と話すときは拙い会話になるのは3人とも知っていて、知った状態で遊びに誘うと意見が揃ったから。もし今のことで悩んでいるならその心配は必要ないからな」
理科「…それなら…参加しようかな」
4人が納得したうえで誘ってくれたなら、無下に断るのも良くないなと思い参加することにした。
緋色「おぉ、新しいゲーム仲間が出来て私は嬉しいよ。じゃああっちでやるからついて来て」
緋色は嬉しそうに奥にいるボードゲームが置かれている場所に向かう。理科はテレビを消して、もうお菓子が入っていない袋をゴミ箱にすてお手洗いに向かう。汚れた手でゲームに参加するのは失礼だと判断したからだ。
お手洗いの前の廊下で伊藤と遭った。
伊藤「…」
理科「…」
特に会話もなく、伊藤は理科の隣を通り過ぎていった。無視したというよりは体調が悪くて全く余裕がない時のように、疲れた顔をしているように見えた。内容までは知らないが、先程の会議が思った以上に伊藤に負担がかかっているのだろうか…。とりあえず今は1人にさせておこう。
理科は手を洗い、濡れたタオルをハンカチで拭きながら緋色がいた場所に向かう。向かう途中清水と遭ったが、清水は目も合わせてくれずそのまま歩き去ろうとした。
理科「あの」
流石に無視をされるのは悲しいと思い話しかける。清水の足は止まるが、理科の方を全く見ない。
理科「なんで避けるようになったんですか?」
理科が聞くと、清水が少し間を置いてから呟く。
清水「私が理科ちゃんを危険な目に合わせたからだよ」
理科「社巫女さんが危険な目に遭ったのを助けに行っただけですよ?」
清水「確かにそう。私の注意不足であそこに捕らえられていたのを助けに来てくれたのは本当に感謝しているわ。来てくれなかった今頃どうなっていのやら…」
理科「そうですよ、社巫女さんは何も悪くないです」
清水「理科ちゃんから見たらそう考えるだろうけどね。伊藤からしたら私の不注意で起きたことに理科ちゃんが巻き込まれて死んでもおかしくない状況にいたことが問題なの。私は伊藤を嫌っていて、伊藤も多分私を嫌っているわ。元から気が合わないというのもあったけど…。嫌いな奴の事故で友達が巻き込まれて死ぬのは嫌だから理科ちゃんと接触はやめろと言われたわ…」
理科「そんなのっ!」
流石に言いすぎているように思い、声を荒げてしまう。
清水「私も言い過ぎでしょって怒ったわよ。でも同時に分かったの。もし伊藤が不注意で理科ちゃんを大変な目に合わせたらどうするのって聞こうと思ったら、その時に思った感情を伊藤が感じているのかなって分かったの。嫌いな奴に友達が殺されるのは…多分どれだけ恨んでも恨み足りないわ。そんな言い合いをしても意味がないと分かったから…不本意だけど…本当に不本意だけど…伊藤の言う通り理科ちゃんからは少し距離を取るわ。また…私が何かの不注意で事件に巻き込まれたら…どんな顔して会えばいいのか分からないもの…。だから…ごめんなさい」
そう言って清水は走り去ってしまった。
理科「…」
清水の言い分は分かったけど…納得できない。あそこで私が死にかけたのは、私の運動能力や状況判断能力が低かったからああなったわけで…拉致監禁されていた清水さんには何の落ち度もないはず…。
確かにそもそも清水を助けに行かなかったら危険な目そのものに遭わなかっただろうが…もし、その行動を選んでいたらきっと清水は今のようにはいられなかっただろう。
理科「ちゃんと友達に戻れる…よね?」
誰に問うわけでもなく呟く。このまま清水と距離が開くのは嫌だ。どうすれば前みたいに仲良く過ごせるか考えながら、緋色達の元に向かった。
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