2020 9/4(9)
今後もよろしくお願いします。
私は今部屋で休んでいた。
てんとう虫の姿が歪んだと思ったら次には爆発したように身体が散っていた。その後伊藤に腕を掴まれて走った後から正直何も覚えていなかった。
聞いた話だと、理科はエントランスに入った時気絶したようで、瀬奈が理科の手洗いをさせて、濡れている身体を温めるために濡れた衣服を洗濯機に入れて、お風呂場に連れて行ってもらって、軽く身体と頭を洗ってもらって、お風呂に入れさせてもらって、身体を拭いてもらって、髪も乾かしてもらって、服と下着を着せてもらって、エントランスにクッションを沢山敷いて簡易ベッドに寝かせてもらっていた…らしい。
起きたときにそれを近くでココアを飲んでいた宮永に教えてもらい、瀬奈にお礼を言おうと思ったら既に自室に戻っていったようだ。チャットでお礼を言おうとチャットアプリを開くと、瀬奈の方から個人チャットが来ていた。
瀬奈『今日は休んで。次よろしく』
と短い文章が送られていた。そのことを了承するチャットを瀬奈に送ると既読はついたが返信は無かった。
宮永と一緒に遊んでいた明坂が他の人がどうしているかを教えてくれた。
伊藤・椿・楓・星名・清水の5人は疲労がかなり溜まっているみたいで、理科が風呂から出た後流れるように入った後、各自部屋に戻っていったらしい。
清水に何があったかを聞いてみたが、本人は何も覚えていないらしい。
奈那子も疲労があったようだが、理科を含めた6人と比べて軽症だったみたいだ。理科が目を覚ます5分前までエントランスにいたが、部屋に戻っていったらしい。
瀬奈は理科の世話をして、エントランスで寝かした後すぐに部屋に戻っていったとのこと。
茅野・緋色は台所で夕食を作っているらしい。
それからエントランスにいても宮永・明坂と会話をする自信がなく、飲料コーナーで温かいココアをカップに注いで自室に戻った。カップは勉強机に置いて、ベッドに寝転がる。飲みたくなったら立ち上がって、勉強机の方に行く。飲んだらベッドに戻ると繰り返していた。
そして今に至る。
理科は誰がどの能力を持っているのかを考えこんでいた。スマホを手に取り能力一覧を開く。
1 精神安定 (不安、恐怖、孤独感、焦り、恥、怒り、絶望、罪といった負の感情を薄れさせることが出来る。自身にも使用可能)
2 誘惑 (知っていることを全て話させる、自分に対して愛情・憧憬・共感・忠誠・狂信・不信・怒り・妬み・侮蔑・劣等感・殺意の感情を任意の数持たせることが出来る)
3 予感 (自身が危険な状況に置かれそうになることを察知できる。危険な状況にならないようにするにはどうすれば良いか具体的に思い浮かぶ)
4 可視 (どのような存在も肉眼で捉えることが出来るようになる。使用者が1度見ると、指定した他の人にも見えるようになるが、その場合使用者視点で見ることになり自身視点で見ることは出来ない)
5 追跡 (追跡したい対象の姿を1度自分で直接見れば、どのような方法で隠れたとしても対象がどこにいるか分かるが、対象は常に1人しか選べず複数の対象を同時に追跡することは出来ない)
6 沈黙 (あらゆる能力の干渉を防ぐことが出来て、対象の能力を発動させないように可能。対象に単数でも複数でも問題なく、制限はない。足音や物音と言ったあらゆる音を一切立てないことも出来る)
7 記憶消去 (対象の記憶を消すことが出来る)
8 鍵開け (あらゆる空間に侵入することが出来る。閉じられた空間から脱出することが出来る)
9 障壁 (あらゆる攻撃を無効化出来る)
10 鷲掴み (対象を上から押しつぶす形で押さえることが出来る)
11 発見 (あらゆる方法で隠された・隠されている事象・存在を見つけることが出来る)
12 分解 (対象を分解することが出来る)
13 飢餓 (対象を飢餓状態にする)
14 色欲 (対象の性欲を強くすることが出来て、性的快感を得やすくすることが出来る)
15 秘密 (あらゆる事象・存在を隠すことが出来る)
16 変装 (対象の姿になることが出来る)
17 入れ替わり (対象を1つ選び、身体を交換することが出来るが自分たちの意思で元に戻ることが出来ない。対象が本人ではないと第三者に発覚することで入れ替わりが解除される。)
18 透明 (あらゆるものを透明にすることが出来る)
19 身代わり (対象を1人選び、対象に干渉した効果を自分が引き受ける)
20 道連れ (対象を1つ選び、干渉されたことが対象にも起こすことが出来る)
21 催眠 (対象を選択して眠らせることが出来る)
22 回復 (あらゆる怪我を治すことが出来る)
23 解読 (あらゆる言語を翻訳することが出来る)
24 収納 (どんなものでも収納することが出来る。収納スペースは無限)
理科が〈予感〉〈身代わり〉、星名が〈沈黙〉〈透明〉は確定。問題は残りの20個の能力だ。
まだ数が多いがさっきまでのことを考えてみるとそれなりに絞れる。
まず〈追跡〉を持っているのは誰か。
理科がグループの方に助けを求めて返信をしてきたのは椿・奈那子・楓の3人。つまりこの3人の誰かが〈追跡〉を持っていると考えて問題はないだろう。
問題なのはなぜ3人が返信をしてきたのかだが…。
恐らく3人のうちの誰が〈追跡〉持ちか分からないようにするためだろう。まぁ、3人の誰かが持っているとほぼ確定したと言える。
次に〈可視〉だ。
これは間違いなく楓で確定だ。理科が1人で目的地に着いた時、建物なんて何も無かったのに、建物を見つけてしかも視点が楓だったから、これは間違えることなく楓と断言できる。椿か奈那子かもしれないと思うかもしれないが、4人で手を繋いだ時に目で見えたのは理科・椿・奈那子の3人。その場にいた楓の姿だけが目に映っていなかったことからも楓が〈可視〉持ちで問題ないと言える。
次に〈鍵開け〉だ。
これは椿で確定と考えていいだろう。建物に入るときも椿が何かに触れて捻るような仕草をした後、建物に入ることが出来た。理科が清水を抱いて脱出するときも椿が残っていたので、楓・奈那子の可能性を捨てることが出来る。入るときは椿・奈那子・楓。出る時は椿のみ。このことから椿が〈鍵開け〉持ちで確定と考えられる。
次に〈回復〉だ。
これはほぼ伊藤で確定だろう。部屋で大量の清水達に襲われて攻撃を受けて出血箇所が複数あった星名の身体に触れると、傷口が無くなった。理科も手に刃物を差されたが、伊藤に触れられた時に傷口が無くなったことから伊藤で確定と考えられる。部屋には清水もいたが、起きたばかりで動揺していたので可能性はとても低いと言える。
最後にてんとう虫が四散したことを考えてみる。
あのようなことが出来るのは現在公開されている能力・登場人物だけで考えるなら、使用された能力は〈鷲掴み〉〈分解〉、この2つより可能性は低いが〈道連れ〉もあり得る。
〈鷲掴み〉なら、あの抑えられ方も納得できるし、〈分解〉ならてんとう虫の身体を原点まで分解した…遺伝子レベルまでに分解したと考えることも出来る。
〈道連れ〉もあり得る。理科達を追いかけてきたのは1体のみ、理科が建物から脱出するときは3体から逃げていたので2体足りないことになる。使用者が対象をあのてんとう虫にして、自分が攻撃されたことそのものが理科達を襲ったてんとう虫にも起きた…という可能性だ。しかしそんな危険なことをわざわざするとは思えないし、仮にしたとしたら大けがになるのは必然で、全くの無傷とはとても考えられない。理科が気絶している間に治療したとも考えられるが…。可能性は低いが考慮にいれるべきだろう。
能力使用時はどうやら赤目になる。多くの人が能力を使用したと思われるときに赤目になっていた。あの時、理科に駆け寄ってきた伊藤・星名・清水は赤目じゃなかったので、3人は〈鷲掴み〉〈道連れ〉〈道連れ〉は使っていなかったと考えられる。
〈鷲掴み〉〈道連れ〉〈道連れ〉が使えるとしたら、自分を入れた4人以外。椿・奈那子・楓・瀬奈・明坂・茅野・緋色・宮永の8人。この中の誰かが持っていると考えることができそうだ。
現在公開されている能力・登場人物だけでこれらの推測が可能なわけだが、まだ公開されていない能力や登場人物がいるとしたら、この推測も1から見直す必要がある…ということになる。
理科はこれらの考えを頭にまとめるためにベッドから立ち上がり、勉強机の前にある椅子に座り、ノートを取り出して開く。
1 伊藤ルキ 〈回復〉〈???〉
2 清水社巫女 〈誘惑?〉〈???〉
3 星名メア 〈沈黙〉〈透明〉
4 緋色沙耶 〈???〉〈???〉
5 明坂絵美 〈???〉〈???〉
6 瀬奈来夏 〈???〉〈???〉
7 茅野亜李 〈???〉〈???〉
8 宮永美玖 〈???〉〈???〉
9 柊椿 〈鍵開け〉〈追跡?〉
10 柊奈那子 〈追跡?〉〈???〉
11 柊楓 〈可視〉〈追跡?〉
…これ以上考えても分からなくなりそうなので、またベッドに横になる。能力は大体把握できたが、問題は理科の味方になってくれるかどうか…。
伊藤・清水・星名はかなり友好的と思っていいだろう。
伊藤と清水は気遣ってくれる時が多く、一緒にいても苦痛じゃない。むしろ楽しい。
星名は明坂・茅野・緋色・宮永の4人が清水殺害をしようとしていると言って清水を守ろうとしていた。実際は4人だったかどうか分からないが、現状清水も生きているし、現在あの4人には殺意があるようには見えない。能力を公開する、清水の姿をした何かからの攻撃を防ぐために注意を引いて理科を守ろうとした動きが見受けられるから、伊藤・清水ほどではないが全体で見ると友好的と思っていいだろう。
椿・奈那子・楓の3人。この3人は清水を助ける時に協力をしてもらったが、建物に侵入をしてから手を貸してくれない、脱出をするときは椿が〈鍵開け〉で、奈那子・楓は清水の服を用意してくれていたが、てんとう虫1体が襲ってきたとき、理科に構わず逃げていったことから少しは信用できるという印象だ。
瀬奈・明坂・茅野・緋色・宮永の5人。瀬奈はモデル関係のことで話すがそれ以外ではほとんど話さない。シナリオにも全く興味を示しているところも見られない。性格も少しキツイが、好戦的かというとそうでもなさそうな感じがする。何とも言えないという印象だ。
残りの4人は言動が過激で好戦的なところが見受けられるから、現時点ではあまり信用できない。ほとんど交流が無いから当然と言えば当然。これからの交流次第で印象が変わりそうという印象だ。
信頼度は伊藤・清水>星名>椿・楓>奈那子>瀬奈>明坂・茅野・緋色・宮永
こんなところだろうか…。
グゥー。お腹から大きな音が響く。目覚まし時計を見ると午後8時だ。
理科(そういえば夕食を食べて居なかった)
部屋を出て、食堂に向かうとエプロンを着けている緋色と茅野がお皿に出来た料理を盛り付けしている所だった。何か手伝おうかと思って近寄るが
茅野「もう出来ますので、席について待っていてください」
理科は言われるがまま、「12」の席に座る。運ばれた料理を見るとカレーだった。ご飯が右に、ルーが左にきっちりと分けられている。これは人にもよるが理科的に好印象だ。混ぜて出されると、少し嫌という気持ちが出る派だが、人によっては米とルーをぐちゃぐちゃに混ぜる人もいるらしい。他の人が着てから食べようと思ったが、またも腹の虫がなる。なった後にお腹に手を抑えるが、緋色に聞かれたようで
緋色「先にたべていいよ、おかわりもあるぞ」
待とうと言おうとしたが、またも腹が鳴る。
顔を真っ赤にして先に食べることにした。スプーンを手に取り、先に米を少々食べた後続けてルーを食べる。少し甘かった。どうやら甘口カレーを作ったようだ。理科は、カレーは甘口寄りの中口派だから、比較的食べやすいカレーで食欲が進む。ガツガツとスプーンを勧めるとすぐにルーが無くなってしまった。
立ち上がりお代わりをもらいに行くと、エプロンを脱ぎかけていた緋色が驚いた顔をしていた。
緋色「もう食べたのか。あ?…あ、お代わりね。待っていて」
嬉しそうに理科の持っていた皿を取り、ルーを入れてくれる。
緋色「これくらい?」
入れたルーの量を理科に見せる。もう少し欲しいなと思ったが
緋色「他の人の分もあるから…、他の人が食べ終わった後に余ったら食べていいから」
あやすように言ってくる緋色。彼女の言い分も分かるので、渡された量で我慢することにした。今度は直ぐに食べきらないように、ゆっくりと味を噛みしめる。
理科「うっま~」
美味しい。その一言に尽きる。スプーンを進める手を早くしないように注意しながら食べていると、緋色が「4」の席に、茅野が「7」の席に食器を食卓に置いて座る。
茅野「そんなにおいしそうに食べてくれるなら、作った側としてはうれしい限りですね」
緋色「だな。…思えば朝倉と話す機会あまり無かった?」
茅野「話す機会自体はありましたが、沙耶がスルーしただけですよ」
緋色「んぅー?そうだったか?」
茅野「あなたはもう少し人と交流をした方がいいと思います」
緋色「無理して交流してもね…朝倉はどう思う?」
理科「…ひゃい?」
突然話を振られて変な声を出してしまう。
理科「そ…の…」
茅野「?」
緋色「…あー。ごめん朝倉。ゆっくりでいいからな」
茅野「どういうことですか?」
緋色「朝倉は人と話すのが苦手みたいだから。伊藤・星名・清水とスラスラと話せているから会話自体はちゃんと出来ているんだよ。ただ、初対面に近い人と話すときは極度に緊張しちゃうみたいで、今みたいになる」
茅野「あぁ、なるほど。そういうことなら分かりました」
緋色「別に私ら話すのが上手くいかなくても何も怒らないからゆっくりでいいからな?」
理科「…はい」
茅野「我ながらなかなかの味を出せました。朝倉さんはこの味どうです?口に合いますか?
」
理科「は……い。おい…し……い…です」
茅野「それは良かった」
茅野と緋色はニコニコとしながらカレーを食していく。そんな会話をしていると続々と人がやってきた。各自自分で皿を用意して米とルーを適度に入れて食卓に着いて、食べ始める。
思えば12人全員で同じ釜の飯を食うのはこれが初めてじゃないだろうか。それが全員笑顔ならいいが、何人かは疲れた顔をして食べているので、場の空気が少し重かった。
瀬奈は食べ終えた後に部屋に戻っていったが、他の者は食堂に残っていた。今日あったことを話し合うつもりだったようだが、瀬奈が食堂に戻ってきてこの場にいる11人に対して話しかけてきた。
瀬奈「みんなこれ見て。試しに戻ってみたらこんなことが書かれていたよ」
瀬奈は写真をグループの方に送信した。
その場にいた全員スマホを取り出してグループチャットを見ると、全員が驚いた声をあげた。
明坂「これは」
茅野「あら」
宮永「へー」
緋色「お」
椿「なにこれ」
奈那子「さぁ」
楓「終わりってことですかね?」
清水「そうは思えないけど」
星名「…」
伊藤「もう各自休んでいいんじゃない?」
皆が見た写真は、9/1にこの12人が初めて会った場所…白い部屋だった。あの時に能力やシナリオやら文字が浮かび上がっていた場所にこう書かれていた。
【チュートリアルクリアおめでとう。9/5 午前11時に集合せよ】
伊藤「瀬奈、なんで今戻ったの?」
瀬奈「なんとなく。他の人も何回かあそこに戻っていたでしょ?みんな何か事件に巻き込まれたようだけど、私だけ特に何もしていない…。私も少しは調べた方がいいのかなって思ったからさっき行ってみたらこうなっていた」
緋色「…あやしい」
奈那子「まぁ…。怪しいのも分かるけど、瀬奈さんの考えも分からなくはない」
茅野「どの道明日になったら詳しいことはわかるんじゃないですか?分からなかったら明日の集まりが終わった後に話し合えば問題ないでしょう」
星名「茅野の言う通り、今日はもう休みたい」
宮永「そうしたい人が多そうですし、今日はもう解散にしませんか」
宮永の提案に反対は無かった。瀬奈も特に反対する理由も無いようで、みんなに「おやすみ」と言ったあと、食堂を出て行った。
それから各自食堂を出て、就寝まで自由な時間を過ごす。
理科はエントランスで伊藤と清水と星名でボードゲームをしていたが、疲れが溜まっていたからか、睡魔が襲ってきた。遊んでいるうちに何度も目を閉じて寝てしまっていたみたいで、他の3人も同様のことが起きて解散することになった。
歯を磨いて用を済まして、自室に戻る。
目覚まし時計を10時にセットして部屋の電気を消して布団に身を包めて目を瞑る。
すぐに眠気がやってきて、寝息を立て始めた。
評価・ブクマよろしくお願いします。




