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12人の少女 最終計画  作者: ヤマネコ
始まり
35/164

2020 9/4(8)

今後もよろしくお願いします。

星名「うぅ…気持ち悪い…口からフライドポテト出そう…」


理科「…ピザなんか食べるんじゃなかった…」


星名と一緒に清水の元に向かって走って2分程度。二人とも昼食を馬鹿食いしたせいで、走ることが辛くなってきた。横腹が痛くなって走る足が止まってしまう。


星名「もう…むり…」


星名が膝をついて荒く息をしている。気持ち悪そうに口を手に当てて深呼吸を繰り返している。理科も気持ち悪いと感じているが、今は清水のことが最優先だと我慢をして走ろうとするが、星名を置いていくわけにもいかない…。


星名「朝倉、先に行って。私はあとから…追いかけるから」


理科「で、でも」


星名「場所は分かっているんだから…。しっかり追いつくから…。先に行け」


理科「…」


星名「いけ!」


彼女は普段大きな声で話すところ見たことがなく、いつも小さい声で話していたが、怒鳴るところは見たこと無かった。星名は理科を睨むような目つきをした後、フラフラとした足取りで近くの自販機に向かい、ミネラルウォーターを飲んでベンチに座る。理科が星名を見ていると、星名は顎を進行方向の方にクイっと動かして先に行くように促してくる。


理科「~っぁ。」


星名が後でついてくると信じて、先に清水の所に向かって走り出した。





理科「ここか…」


柊姉妹3人に送られた住所を確認して建物を確認するが…。そこには何も無かった。マップで場所を間違えていないかを確認するが…何も建物も無い。


理科「…なんで…。もしかして地下…それとも空の方にあるとか言わないよね…」


上と下を交互に見て何か無いかを確認する。下は何もないただの変哲のコンクリートの地面。空はさっきまで少しは青い部分があったが、今は見える限り真っ黒だ。時間はまだ午後0時50分だが、夜みたいに暗い。月も星も出ていないから街頭だけが頼りになってきた。


理科「下はともかく、上だったら探しようがないじゃん。それとも…何かしら特定の行動か道具を持っていないと中に入れないとか? 他に誰かがいないと入れないとかじゃないよね…」


もしそうならここまで来た理科には何も出来ない。今この場にいるのは理科1人だけだ。どうすればいいのか。解決方法が全く思いつかない。仮に思いついたとしても1人で出来るものなのか…。


理科(こんなとき〈予感〉が使えれば…)


対象が自分だけというのが今は邪魔だった。


理科(…道路に飛び出すとかすれば発動する?…いやいや、ただの自殺行為…。何か…何か…この状況をどうにかする方法は…)


頭を全力で回して考える。






…しかし何も思いつかなかった。


理科「どうすれば…」


???「こっちです」


突然横から声をかけられる。誰だと思い声がした方に視線を向けるが誰もいない。


理科「あれ?」


???「下です」


理科「下?」


視線を下に向けると、そこにはむすぅと頬を膨らませている楓がいた。


楓「それ、自分の背が高くてお前はチビすぎるってバカにしている感があるのでやめることをお勧めします。相手によっては殴られますよ?」


理科「え……あ……の…」


楓「…話には聞いていましたけど、初対面に近いとは言えあまりにも話せなさすぎませんか…まぁ今はいいです。清水さんならこの建物の中です」


理科「た…て…もの…?」


楓「はい。ほら」


楓の目が赤くなる。


理科が見ている景色にはさっきまでそこに無かった建物があった。まるで研究施設だ。横には私がいて……。


私?


楓「手を繋ぎますね。そのままだと色々不便だと思いますので」


私が私の手を握る。顔を見るととても変な顔をしていた。「ね」と「ぬ」が区別できていないような表情をしている。


???「そろそろいいかしら」


またどこからか声が聞こえる。私の視線が勝手に動く。そっちを見るつもりは全くないのに…。まるで勝手に視線が動いているような…。


理科「…〈可視〉…?」


???「朝倉さん、私とも手を繋いでね」


勝手に動く視線に従うと、そこにいたのは椿だった。隣には奈那子もいる。


椿「ほら、もたもたしない。奈那子お願い」


奈那子「椿ちゃん、楓、2人とも気を付けて。危なくなったらすぐに逃げること。朝倉、2人に何か怪我をさせたら許さないから」


楓「奈那子ちゃん、そういうのは後回しです。行きましょう」


楓(理科)視点だと、左に楓、中央左に理科、中央右に奈那子、右に椿とがいて4人で手を繋いでいる。周りから見たら友達が仲良く手を繋いでいるのかもしれない。


椿の目が赤くなっていた。


椿「行くわよ!」


椿が走り出す。どこかを見ようにも思うようにも視線が動かない。この視線は楓が動かそうとしないと動かせないようだ。とても走りづらいが、とにかく足を動かして、3人の動きについていくと、椿が何かを掴み捻るような動作をした後、足を踏み出した。





楓「はぁ…きついです」


足を踏み入れると建物の中に入ったようだ。後ろを見ると扉があって、いつのまにか自分の視線を自分で動かせるようになった。繋いでいた手をほどいて、柊姉妹は理科から離れる。3人の目はもう赤くなく、黒めに戻っているが楓の息が荒い。まるで普段運動をしない人が200m全力疾走したかのような息の荒さだ。疲労が一気に来たのだろうか…ぺたりと座り込んでしまう。椿も少し辛そうだが、倒れるほどじゃなさそうだ。奈那子も特に疲れて居なさそうに見える…。


奈那子「朝倉。私達3人は先に帰るから、後は頑張って」


理科「え…」


奈那子「私たちも清水さんを助けられるなら助けたいけど…私は姉と妹の2人の方が大切だから。ここまで協力してくれたことに感謝してね。それじゃあ」


椿「まって奈那子。流石にそれは…」


奈那子「だってここ…なんか気持ち悪いし…」


楓「私も奈那子ちゃんと同意見です。ここから先は朝倉さんに任せましょう」


ここまで協力してくれただけでも御の字だが、いきなり後は任せると言われるとイラついてしまう。


理科(でも、奈那子さんの言う通りとても危険な場所にいるかもしれないし…責めることはできないよね…。3人に取って社巫女さんはただの他人みたいなものだし)


理科はスマホで奈那子に個人チャットでここまで連れて気くれたことの感謝を書いて、あとは1人でやることを書きこむ。奈那子はスマホを取り出して画面を見た後に、理科を見る。その表情は少し驚いているように見えた。


理科「そ…れ…じゃ……あ」


3人に向かって軽く頭を下げて、奥の方に向かって歩き出す。廊下を歩いていると沢山の扉が壁についていた。見る限り20個の扉があって、扉の前には小さな白いボードに文字が書かれていた。何が書いてあるのかと思い、1つの扉の前に近づく。書かれていた文字は、見たことも無い文字だった。アルファベットやひらがな、カタカナと言った文字ではなく、本当に見たこともない…まるで酔っぱらった人が文字を書いたような、線がグタグタと書かれている。


理科(ここにきて〈解読〉がいるとか…本当についていない。でも部屋の前に置かれて書かれているということは人名か、部屋の名前くらいだろうし特に問題はないよね)


扉を開けるかどうか悩むが迂闊に入りたくないので、扉に耳を近づけて中の様子を探ることにした。


特に音は聞こえない。開けるかどうか迷ったが、もしかしたらこの中に清水がいるかもしれないと思って考えた結果…開けることにした。


出来る限り音を立てないように静かに扉を開ける。姿勢を低くして中の様子を見ると…そこには人間の形をした死体があった。しかも人間の死体がボンドでくっついたように十字型になっていたり、円形に繋げられたりと…様々な形で死体がくっついていた。


理科「っ!」


驚きで声が出そうになるが咄嗟に口に手を当てると、さっきまで食べたピザやチキンの残骸が胃から上がってくる感じがした。それを口から出さないように我慢するが、それは理科の抵抗を受けていないように食道を上ってきてついに舌付近まで来てしまっている。我慢しようと踏ん張ったが、その頑張りもむなしく口から出してしまう。


理科「ゲホッ…ううぇ…ハァ…ハァ」


膝と両手を地面に付けて吐き出してしまう。1度吐いただけでは足らず、もう1度何かが口まで上がってくる感覚になる。抵抗しようと思ったが、吐き出した気持ち悪さに耐えきれずまた吐いてしまう。嘔吐物は黄色くて粘々としているものや、小さくて茶色い物が飛び散っている。


理科「ゲホッ……っ」


吐き出せそうな物は一通り吐き出すと少しだが気持ちが楽になったが、口の中が臭くてヌルヌルしている感じが嫌で唾を吐いたところに吐き出す。女子に幻想を抱いている男子がこの光景を見たら100年の恋も冷めてしまうだろうが、このような異常事態ならだれでもこうなるだろう…。


扉を閉める。中を見ていると正気度が凄い勢いで減っていきそうだ。身体を休めようと、扉と扉の間にある壁に寄りかかろうとすると、寄りかかろうとした壁がまるで無かったように身体が後ろに倒れる。


理科「っう!」


そのまま重力に従って地面にドサリと倒れてしまう。その瞬間、頭の中に「今すぐこの場から逃げなければ、捕まって殺されてしまう」光景が浮かぶ。


〈予感〉が発動したのだ。


嫌な予感がしてすぐに身体を起こして辺りを見渡すと明らかにおかしいことに気が付いた。


清水が何人もいた。


1人ではなく何人もいる。軽く20人はいる。全員手には刃物や鈍器を持っている。


さらに格好が異常だ。


制服姿の清水が何人もいるが、真っ裸の清水も何人もいて、学校の体操服をきている清水も何人もいて、学校で指定されている水着を着ている清水も何人もいて…。


ナースを着ている清水、チャイナドレスを着ている清水、メイド服を着ている清水、ウエディングドレスを着ている清水…。


清水が沢山いる。


理科に気付いたからか全ての清水が理科に向かって駆け寄ってきて。無表情で鈍器や刃物を振りかざしてきた。


理科「うわぁあぁ!」


咄嗟にここに入ってきた壁部分に全力で駆け出すと、ここに入る前の通路に戻る頃が出来た。壁は最初からなかったかのように…壁を通り抜けることが出来て、来た道を戻ろうとしたが、何人かの清水に先回りされてしまう。


理科「…っ」


逃げ道を塞がれ、鈍器を振り下ろしてくる。


「身体を右に避けた後姿勢を低くして、左に転げまわった後に側転をして後ろに全力で走る」


咄嗟に思いついた行動を実行すると、沢山の清水が振るった武器を全てギリギリ回避することが出来た。


しかし側転をして回避はさすがに無茶だったようで、着地した後にすぐに走ることが出来ず足を絡めてしまい倒れてしまう。倒れたところ見逃さない清水たちは理科の胸に向かってそれぞれ武器を振り下ろした。なんとかよけようと身体を転がせるが、背中を薄く切られてしまう。


理科「った!」


背中に激痛が走るが、このまま動きが止まればめった刺しされてしまうのは明らかだ。痛みを我慢して来た道を走ろうとしたが、またも先回りされてしまう。


理科「っち!」


痛い身体を無理やり動かして、適当に部屋の中に飛び込んだあと扉に背中を当てて開けられないように全力で体重をかける。


理科「っはぁ…はぁ」


荒い息を繰り返して背中から伝わる衝撃に耐えながら、開けられないように全力で抵抗しながら何かないかと部屋を見渡す。


部屋の中には大きなベッドに裸の清水が寝ていて、何か身体に沢山の装置が付けられているのを見ると、頭の中である光景が浮かび上がる。


「清水に付けられている装置すべてを外さないと殺される」


寝ている清水から装置を外したいが、今扉から背中を離すと間違いなく後ろにいる清水たちに殺されるだろう。背中の傷が痛み、徐々に抵抗するのが辛くなってきた。


理科「ひっ!」


少し力を弱めたら僅かに空いた扉の隙間から刃物が挟み込まれていた。少しでも抵抗する力を加減すれば、ここを開けられるのも時間の問題だ。全力で痛む背中を我慢しながら扉に押し付けてスマホを取り出し、グループの方に1つのチャットを送る。


理科『扉の前にいるやつらをどうにかしてほしい』


椿・奈那子・楓の3人の中に〈追跡〉を持っているから理科を見つけてもらって、扉前にいる清水を少しでも動きを止めてもらった間に、寝ている清水の装置を外す作戦にした。


理科「はやく!はやくして!」


恐怖と焦りで、心臓がバクバクと鳴っている。心臓の音がうるさいと思うくらいだ。


ドンッ!ドンッ!ドンッ!


後ろで殴りかかる音が聞こえると、部屋全体が赤くなり始めた。サイレンのような音まで聞こえる。


理科「………っ!」


もう抵抗する力もなくて、衝撃で身体が前に倒れてしまった。立ち上がる体力もなく、床で寝ていると…扉が全開にされて色々な格好をした清水が入ってきた。1人の清水が刀を振り上げる。


理科(あぁ、死んでしまうのか)


もう抵抗する力もなく、目を瞑ってしまう。


理科「…?」


いつまでたっても刀が振り下ろされないでいるのが変だと思って目を開けると、刀を振り下ろそうとした清水は、理科の髪に振れるくらいのところでピタリと止めて辺りを見渡す。


他の清水もどこかを見渡していると、何か鈍い音が聞こえた後に、一体の清水が倒れた。他の清水も何事かと辺りを警戒しているが、次々と倒れていく。


何者かに攻撃されていると思ったのだろう。まだ立っている清水達は、適当に持っている武器を振り回し始める。理科は寝ている体勢だったので、下から見上げる体勢でこの光景を見ていた。


理科(何が起きているの)


すると一体の清水が振るった刃に血がついていた。それと同時に誰かの苦しむ声が聞こえる。その音を頼りに探してみると、理科から離れた位置の地面が少し赤くなっている。まるで吐血でもしたかのような…。そこに目を凝らしてみるとある人の姿が目に見えるようになってきた。





星名だ。一瞬だけ目が赤くなっていたが黒目に戻った。切られた箇所を手で押さえて、苦しそうにジタバタしている。


理科「星名…さん」


背中の痛みを耐えながら重たい身体を引きずりながら星名に近づいて手を伸ばすが、その手に刃が突き立てられる。


理科「ぐぁ! ……っ~」


刺された所を見ると一体の清水が理科の手に刃物を深々と差し込んでいた。他の清水が刃物を理科に差し込もうと大きく振り上げる。


またダメだ。


そう思って、倒れて苦しんでいる星名を見る。


理科「星名さん。ごめん」


目を瞑り刃が振るわれるのを待つと、知っている声が聞こえた。


???「諦めるなよ」


閉じていた目を開ける。そこには伊藤が手に持った刃物で理科を襲おうとした清水の背中側から腹部に突き刺している。


伊藤「こいつらは私がどうにかする」


理科の目を見て言った後に、手慣れた感じで清水達の攻撃を防いでいく。しかし、一対多数はきついのか焦っているように見える。


理科は最後の力で振り絞って立ち上がり、ベッドで寝ている清水に付けられている装置を外しにかかる。


震えた手で、なるべく早く、外していく。


後5本……後3本……後1本……


全て外すと、伊藤が戦っていた清水達は、アイスクリームが溶けたようにドロドロと形を保ることが出来ないように…身体が崩れてそのまま床の下に染み込んでいくように消えてしまった。


清水「ん……あれ?」


ベッドに寝ていた清水が目を覚ます。


清水「ここは……くさっ!何ここ? きゃぁ!なんで私裸なの!?」


起き上がって辺りを見渡した後に、鼻をつまみ自分の身体を見て、顔を真っ赤になる清水。


しかし誰もその問いに答える余裕はない。


理科はもう立つことが出来なく、星名は立ち上がるが、傷口に手を当てて壁に背中を預けている。伊藤は服の所々が血で染まっていて、息も荒い。


伊藤は星名に近づいて、彼女の身体に触れる。伊藤の目は赤くなっていた。触られると痛みが増すのか、抵抗しようとするが、伊藤はそれを無理やり抑え込んで、身体に触れ続ける。


星名は抵抗するのをやめて目を閉じていたが、次第に辛そうにしていた表情がなくなり、傷口から手を外す。


星名は自分の身体にあった傷口を見るが、その身体に傷は全くなく、血も止まっているのが見えた。伊藤はそのまま理科に近づくと、理科の身体に触れる。伊藤の目は赤いままだ。


理科「…っ」


痛いからやめてと言おうと思ったが、次第に痛みが引いてくる。


理科「?」


痛みが無くなって寝ていた身体を起こして傷口を確認すると、傷が無くなっていた。


理科「伊藤、これって…」


聞こうと思って伊藤の顔を見ると目は黒に戻っていた。何をしたかと言おうとしたら、部屋の中が真っ赤になってサイレンのような音が聞こえてきた。部屋の外からは何かがドドドッと押し寄せてきている音が聞こえる。理科の頭にある光景が浮かぶ。


「早く外に出ないと食い殺される」


大きなてんとう虫…トラック程度の大きさのてんとう虫に食い殺される光景が見えた。


理科「おい!早くここから逃げるよ」


裸の清水を抱っこする。清水は抵抗しようとするが、火事場の馬鹿力が働いたのか、無理やり抱くことが出来た。


伊藤と星名は理科の言葉を聞いた瞬間、すぐに外で出て来た道を通っていく。理科も遅れないように2人の後をついていく。


最後尾で理科が走っていると、すぐ後ろにてんとう虫が3匹来ていた。追いかけてくるてんとう虫を回避しながら、2人の後を追うと、ここに入ってきた入り口付近に赤目の椿がいた。


椿「はやくはやく!」


口に両手でメガホンを作って大きな声で呼びかける。伊藤が椿の手を握ると、星名が伊藤の手を握って、星名は理科に手を伸ばす。


伸ばされた手を掴むと、椿はドアノブを捻って先に走り出す。他の者も椿に従って走る。


外に出ると大雨が降っていた。雷もゴロゴロとなっている。建物から出て離れるように全力疾走をする。辺りに不自然なくらい全く人はいなかった。そのまま走り続けると、手を振っている奈那子と楓がいた。


奈那子「清水さん、これ来てください。流石に裸はまずいです」


清水「ありがとう」


理科の腕に裸のまま抱かれていた清水は、理科の腕から降りて奈那子から受け取った服を急いで着る。


楓「それで清水さん、一体何があったんですか?」


清水「それは…」


清水が口を開こうとすると、さっきまで走っていた場所にてんとう虫が1匹来ていた。


伊藤「っ!おいお前ら走れ!」


伊藤が先頭で走り出す。続いて清水と星名、椿、奈那子、楓、理科が走る。


流石に傷は治せても体力が尽きたのか理科の足が止まってしまう。理科が止まったのを見た伊藤・星名・清水が立ち止まり理科の方に駆け寄るが、椿・奈那子・楓はそのまま走り去ってしまった。


清水「理科ちゃん!」


星名「朝倉!」


伊藤「止まるな!」


理科「…もう…むり……」


足が棒になって動かない。てんとう虫が理科に接触するまであと1m程度の距離で、てんとう虫がとてつもない速さで理科に近づいて来ている。


理科はせめて自分が囮になってみんなの逃げる時間を稼ごうとてんとう虫を見つめて「こいよ」という感じで手をクイクイと振ると、その挑発に乗ったのかてんとう虫が更に早く動いたように見えた。


理科「?」


理科に向かって走るてんとう虫の姿が少し歪んだと思ったら、地面に倒れた。いや、倒れたというより、上から無理やり押さえつけられている感じだ。


てんとう虫はジタバタと抵抗するが、次の瞬間に爆発したかのように散った。


てんとう虫だったそれは、もう動かなくなり、形を保っていない。ガラスの食器を落として割ってしまったかのように…小さな破片が飛び散るようにあたりに肉片が飛び散っていた。


理科「…」


何が起きたのか分からず、辺りを見回すが誰もいない。


後ろから駆け寄ってきた伊藤・清水・星名が理科の手を取られて再び走り出す。


理科は何が起きたのか分からず、流されるままホテルまで走った。



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