表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12人の少女 最終計画  作者: ヤマネコ
始まり
32/164

2020 9/4(5)

今後もよろしくお願いします。

理科「ん…」


理科は目を覚ます。起きて目覚まし時計を見てみると、丁度12に短針長針が重なった。学校では生徒達がお昼ご飯を取り始めているころだろう。ある者は仲の良い友人と同じ机に弁当を置いて談笑しながら食べたり、ある者は何かの話し合いをしながら食べたり、ある者は用事を済ませるために急いで食べているだろう。


理科は学校で誰かと一緒に昼食を摂ることは少なかった。その理由は初対面の時はほとんど声が出なくて気まずくなるのと、話しについていけないことと、思ったことを拙い口調で言うと「なんだこいつ」というような目線を向けられその後のやり取りが苦痛になったこと、いじめを受けて教室にいるのが苦痛になったこと、保健室で過ごす時間が増えたなどだ。


理科「…あ!」


忘れてはいけないことを忘れていた時の声を出してしまう。


理科「保健室の運営…大丈夫だよね…」


先生に保健室の運営を任されて諸々のことを押し付けられていたことを思い出す。流石に生徒に保健室の管理を任せるのはおかしいから自分が責められることはないと分かってはいる。


しかし、もしかしたら自分が学校を休んでいることで保健室に入れないなんてことがあったら…理科の責任になるかもしれない。


理科「……大丈夫だよね…生徒に管理を任せるのがおかしいよね…私は悪くないよね…」


9割の確率で自分が悪くないという事は分かっているが、もし何かがきっかけで残りの1割を引いてしまって自分が悪いみたいになったらどうすればいいのか…。


理科「とりあえず学校にいる人に聞こう」


スマホを取り出してチャットアプリを開く。グループにも個人にもチャットは来ていなかった。


理科「こういうときはグループ? でも他の人に知られたくないし…伊藤か社巫女さんのどっちか…いや2人に聞くべき…?でも社巫女さんは伊藤を頼るのは止めてほしい感じを出していたし…昨日伊藤が付き合ってくれたことを考えると…伊藤に聞いた方がいいのか…いやでも…」


グダグダ悩んでいるとチャットが来た。星名からだった。そういえばこの後自分の部屋に来るとか言っていたなと思い出しながら、チャットを見る。


星名『部屋開けて』


扉の方に話しかけてみることにした。


理科「…星名さん?」


星名「星名さん」


声もさっきまで聞いていた星名本人の声だったので迷わず開ける。扉を開けると星名が遠慮なく部屋に入ってきて理科の部屋を見渡す。


星名「…あまり物を置いてない」


理科「とりあえず…そこに座って」


パソコンが置かれている机の前に、椅子が1つある。普段パソコンや勉強をする時に使う椅子だ。星名はそのまま椅子の方にスタスタと歩いて座る。


星名「…なんかあった?」


理科の様子がおかしいことに気付いたようだ。理科は星名に保健室の運用を任されていることをもう1度話してこれから確認の為に誰かにチャットを飛ばそうとしていたことを伝える。


星名「…あ、そんなこと言っていた。問題があったら怒られるのは保健室の先生。朝倉は心配する理由は何1つない」


理科「そうだけど…」


星名「確認しないと不安?」


理科「うん」


星名「なら確認をすればいい」


伊藤と清水2人に聞くか、どちらかに聞くかを悩んでいることを星名に伝える。それを聞いた星名は呆れたような眼差しで理科を見てきた。


星名「なら私が聞こうか?」


理科「いいの?」


星名「なんか板挟みになっているみたいだし。それに清水を守るためには、彼女を精神的に支える存在が必要。ここで伊藤と揉められたら、朝倉に不信感を抱いて状況によっては信用されなくなるかもしれないから私が聞く」


理科「…ありがとう」


星名「お礼なら揚げたてのフライドポテトを奢って。あのチェーン店の一番大きいサイズのフライドポテト」


理科「そんなので…いいの?」


星名「私あれが大好物だから。朝倉の好きな食べ物は何?」


理科「え?」


特にこれと言って思いつかなかった。


星名「ラーメンね。分かった」


理科「そんなこと…言っていないよ」


星名「じゃあ嫌い?」


理科「そういうわけでは…ないけど…」


星名「そんなことはいい、伊藤と清水両方に聞くよ?」


向こうから言ってきたのに、会話を切ってきた。前から思ってたけど、強い方の自己中心的な人なのだろうか…。


理科「…うん、お願い」


星名はスマホを取り出して、キーボードを指で素早くシュッシュと動かしていく。


星名「2人に保健室がどうなっているのかを聞くということで良い?」


理科「それで」


星名「送った。2人からしたら少し不自然に思うかもしれないから、もし私がこのことで疑われたらフォローお願い」


理科「それは…分かっている」


そんなやり取りをしているとどこからか「ぐぅー」と大きな音が鳴った。どこからであろうか。理科は辺りを見渡すが、星名は理科を凝視している。


理科「…」


星名「…あの」


理科「どうしたの?」


星名「そういえばもうお昼だ。何か食べよう」


星名が椅子から立ち上がって部屋を出て行こうとする。


星名「何食べる?」


理科「…何か食材あったかな」


星名「私料理は出来なくないけど、そこまで凝ったものは作れない。朝倉は作れる?」


理科「…作れません」


星名「そうか。なら外食にしよう。どこか行きたいお店ある?」


理科「うーん」


星名「じゃあピザ屋でも行こう」


理科「ピザ?」


星名「最近食べてないなと思って。嫌だ?」


理科「いや…そんなことはないよ」


星名「決まり。行く準備が出来たらエントランス集合にしよう」


理科「分かった」


星名が扉を出ようとするとまた「ぐぅー」と聞こえた。さっきより大きな音だった。


理科「…」


理科は顔を真っ赤にして少し泣き出してしまう。流石に無視できなくなったと思ったのか、星名は困ったように後ろ頭を掻いた後に


星名「すぐに準備するから」


理科の返事を聞かず、駆け足で部屋から出て行った。


理科「…」


何も言わず、外出用の服に着替えて自分のお腹を手で押さえながらエントランスに向かう。


理科「…もう死にたい」


何度も人前でお腹が鳴ってしまうと、恥ずかしくて穴があったら入りたいという気持ちになったが、それを抑えて星名を待つ。


理科がエントランスに着いてから数分後、星名がやってきた。


星名「じゃあ行こう」


理科「うん」


ホテルを出ると、外が少し曇り始めていた。黒雲も広がっていて、もしかしたら大雨が降るかもしれない…。そんな感想を抱いた。星名の後ろをついていきながら、2人でピザ屋に向かって歩き始めた。



評価・ブクマよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ