2020 9/3(4)
今後もよろしくお願いします。
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「理科!きちんと言葉で話さないとだめだろう」
「お父さん、理科だって話そうとしたのだからそこまで責めなくても」
「私だって理科を責める気はない!しかし、このままだと理科の将来はどうなる!?まともに私達以外と話すことが出来ないようじゃ」
「今はそうかもしれないけど、これから少しずつ話せる人が増えれば問題ないでしょ!理科の問題をお父さんの問題に入れ替えるのはやめて」
「理科の問題は親である私の問題だ。入れ替えるのは当然だろう!」
「いいえ違うわ!理科は理科、お父さんはお父さんよ!それははき違えないで」
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伊藤に服の袖を引っ張られるままに歩く。2人の間に会話は無く、理科の頭に思い浮かぶのは両親が自分の会話能力のことで揉めていたところだった。
父親は家族以外と話せない理科に無理やり他の人と話をさせようとして、話が出来なかったら食事やお小遣いを抜きにしようとしていた。
母親はそんな父親の考えは違う。理科のペースで話せるようになればいい。そんな横暴なことをする必要はなく、理科のフォローをしてあげるべきと主張していた。
自分の問題だが、両親の気持ちはヒートアップして理科の考えを聞かないで2人で言葉の殴り合いをしていた。長時間に殴り合いによって落ち着いたところを理科が話しかけて3人で話し合い、結果母親の考えを採用することになった。
父親は母親の考えを納得したわけではないが、理科が母の考えの方が良いと説得したところ渋々認めてくれた。
伊藤「…くら…くら…朝倉」
理科「え? あぁ、何?」
伊藤「これからどうする?」
理科「これから?」
伊藤「朝倉の目的の実家に戻ってきたけど、結果はダメだった。これからどこに行く?」
理科「……なんでそんなに普通にいられるの。親に自分のことを…あ」
何かに気付いたようにつぶやく。
理科「もしかして他の人も私と同じように忘れられていたの?」
伊藤「半分正解。他の何人かは朝倉と同じように両親に忘れられていてホテルに住むことを決めた。あ、母親がダメでも父親ならって考えたかもしれないけど、父親も忘れられている可能性が高い。他の奴がそうだったんだから」
理科「もう半分は?」
伊藤「そもそも家に帰るつもりがない奴らだ。私も含めて…」
理科「家に帰るつもりがない?なんで?」
伊藤「それぞれ理由があると思うが、私の場合は家に帰りたくないから」
理科「なんで?」
伊藤「帰りたくないから帰りたくない。それだけ」
理科「……そう」
伊藤が立ち止まるにつられて理科も立ち止まると理科の袖から手を放した。伊藤は振り返って理科の目を見る。彼女の目は「それ以上は聞くな」という冷たい目をしていた。
理科はそれ以上聞くのをためらう。彼女の家庭にも何か問題が起きたか起きているのだろうか…。それともカッコつけてただ帰りたくないと言っているのか…。理科にはどちらか分からなかった。
理科「…他にも家に帰りたくないって人がいるんだ」
伊藤「いる。誰かまでは言わないが、何か理由があって帰りたくないという人もいるから、今後10人と話すときはそこらへん気を付けて」
理科「……分かった」
伊藤「これからどうしようか?ホテルに戻る?」
理科「そうだね…。特に行きたい場所もないし」
伊藤「私は行きたい場所があるんだが、暇なら一緒に行かないか?」
理科「どこに行くの?」
伊藤「適当にショッピングモールとかに。帰っても星名の看病しながら空いた時間を勉強するのもつまらないし…。一緒に来る?それにほら、今何を考えてもきっとマイナス方向に働くと思うから私と何かしている方が気晴らしになると思う」
理科「……」
確かにこのままホテルに戻っても両親がどうして自分のことを覚えていないのかとか、これからどうすればいいのかと暗い気持ちになるだろう。暗い気持ちで考えて一日を終えるような気がしなくもない。
理科「……わかった、付いていく」
伊藤「そうか。じゃあ、行こうか」
理科は伊藤の服の袖を少しだけ握って、伊藤についていくことにした。
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