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12人の少女 最終計画  作者: ヤマネコ
始まり
21/164

2020 9/3(3)

今後もよろしくお願いします。

理科「…」


緊張した表情でインターホンを押すと「ピンポーン」となった。始業式の時はすぐに家に帰るつもりだったから家の鍵は持って行ってなかった。だから家の中にいる人に開けてもらう必要があるわけだが


理科「…あれ?」


もう1度インターホンを鳴らすと「はい?」と女性の声の返事があった。いつも聞いていたお母さんの声だ。


理科「お母さん!連絡なしに家に帰っていなくてごめんなさい!」


インターホンに向かって頭を下げる。次の母の言葉が来るまで頭を下げるつもりだ。そんな母の言葉を待っていると


お母さん「あの…」


次に言われる言葉は罵倒かなと思っていると予想外の言葉が出てきた。


お母さん「私に娘はいませんが…」


理科「……………え?私だよ?朝倉理科だよ?」


お母さん「その…悪戯ならやめてくれないかしら…これ以上悪戯するなら警察を呼びますよ」


理科の頭が疑問符で埋め尽くされて破裂しそうになった。


理科「お母さん!1日に始業式に行って帰ってきてなかった理科だよ!悪ふざけならやめて!」


お母さん「それはこちらのセリフです。私に理科という娘はいません。そもそも子供はいません」


自分のお母さんの言っていることが信じられなくて、自分の知っている両親のことや家の構造、家族の思い出とかを語って信用してもらおうとしたら


お母さん「いい加減にして下さい!これ以上しつこいと本当に警察を呼びますよ!」


警察という言葉を複数回聞かされると心臓がドキッとする。自分の知っている限りのことを話すと気味悪がられているのが、声だけでわかるくらいだ。それでも話せばわかるはずだと思い、怒鳴り声でインターホンに話しかけていると、トントンと肩を叩かれた。視線をインターホンから後ろに向けると、警察官が1人いた。心臓がギュッと握りつぶされるような痛みを負う。


警察官「この家の方から自分の娘を名乗る女性がいると通報がありまして…あなたで間違いないですね。悪いですが、ちょっと署まで来ていただけますか?」


流石にこれは洒落にならないと思ってインターホンに話しかけるのは辞めて警察官と向き合う。


理科「あ……え……っ…と」


警察官「ん?はきはき話しなさい」


理科「…そ………の…」


しっかりと声を出して話すことが出来ない。普段の通り、初対面の人と話すときのように言葉が突っかかってしまうのに加えて、自分の親が自分のことを覚えておらず、その親に警察を呼ばれたことによる驚きでまともに会話が出来ない。


警察官「さぁ。署まで来てもらおうか」


どうしようと頭が真っ白になっていると、少し離れたところから声がかかった。声がした方を見ると、チュッパチャプスを左手で持っていた伊藤だった。




伊藤「すみません、その子は住所を間違えてしまっただけです。見逃してくれませんか?」


理科の傍によって警察官に頭を下げる。


警察官「君はなんだね?」


理科の時と違って少し態度を大きくして話している。仕事の邪魔をされてイラついているのだろうか。


伊藤「私はこの子の友達です。その子、離れていたお母さんと久しぶりに会いに来たんですけど、住所を間違えてしまって、そのままこの家に来てしまっただけです」


警察官「…仮にそうだとしてもね…」


伊藤は警察官を無視してインターホンに話しかける。


伊藤「すいません朝倉さん、この子久しぶりにお母さんと会えることになって、そのお母さんが送ってくれた住所を見間違えてしまってここに来てしまったみたいで…この家に間違って来てしまったんです。どうか許してくれませんか?お願いします」


インターホンに向かって頭を下げる。警察官はどのような反応をすればいいのか困っていた。インターホンは無言だったが、少し経つと


お母さん「えっと…理科さん…でした?」


自分の名前を呼ばれて咄嗟に返事をしてしまう。伊藤はインターホンに近づけと顎を動かしていたので、その意に従い先程までいた伊藤の場所に移動する。伊藤は少し離れたところで理科と警察官の間に立つと警察官は迷惑そうに伊藤を見ている。


理科「はい」


相手が自分を娘と認めてくれなくても、理科にとっては両親なのでスラスラと言葉が出てくる。


お母さん「さっきの人が言っていたことは本当なの?」


理科「はい。すみません。久しぶりにお母さんに会える喜びで住所を見間違えていました」


お母さん「…。そう。次からは気をつけてくださいね。警察の方、来てくださってありがとうございます。その2人は何もしなかったので署に連れていくのはやめてください」


警察官「え、でも…」


お母さん「すいません、誤通報をしてしまいました。申し訳ありません」


警察官「…そうですか、分かりました。誤通報には気をつけてください」


警察官は伊藤と理科を睨んだ後に、その場を去っていった。インターホンの通話はもう切れている。



伊藤「理科」


服の袖をクイクイと小さく引っ張ってここから離れようという意図が伝わってきた。こんなことになるとは思わず、抵抗する力なく伊藤に引っ張られる形で自分の家から離れることに。


伊藤は何も言わず、理科の歩く速さに合わせてゆっくりと歩いてくれた。



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