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12人の少女 最終計画  作者: ヤマネコ
始まり
19/164

2020 9/3(1)

今後もよろしくお願いします。

~~~

「×の×が聞こえる?」


「なんだあの××××ども」


「私の×××が…わた…しの…×××」


「××××はいらない」


「ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい」


「違います。あの逃げた奴です」


「××おはよう」


「おか…あ…さん お…とう…さん」


「×××はそんな簡単に××××やつじゃない」


「探すだけなら今からでもした方が良いと思うよ。××××が××の奴らと同じとは限らないし」


~~~


理科「っうわぁ!」


理科は勢いよく目を覚ます。さっきまで誰かの声が頭の中に聞こえてきた。誰かが話しているところもあったが姿が黒くなっていて誰か分からない。


ある者は寂しそうに


ある者は恨めしそうに


ある者は必死に謝り


ある者は嬉しそうに


ある者はつまらなさそうに


ある者は泣きそうになっていた。


すぐにどんな声が聞こえたのかを覚えているのは10個程度だが、時間が経てば何を言っていたのかを忘れてしまうだろう。起きたばかりで頭が全く働かないが、何か重要なことになるかもしれないと考えてスマホを取り出してチャットアプリを開くと個人にチャットが来ていたが、先に忘れないようにプロフィール画面の自己紹介のところにさっきのことを書きこむ。


理科「…あれ?なんて言っていたっけ?」


さっきまで10個くらいのことを覚えていたが、時間が経てば経つほど内容が頭の中から消えていく。なんだっけと焦ると余計に数が減っていき最後まで覚えていた言葉は


理科「…×の×が聞こえる?っと」


文字を打ち込んで変更完了のボタンを押すと理科のプロフィールが更新された。自分のアイコンをタップし確認すると、クラス身長3サイズの下に「×の×が聞こえる?」と書かれている。


理科「…痛い子だって思われそうって…イタタタ」


昨日の疲れが完全に抜けたわけではなく、まだ疲労が残っている。日常生活を送る分には問題なさそうだが、走ったり飛んだりは厳しそうだ。もし襲われたらひとたまりもないだろう。


理科「…学校休むべきかな…?」


学校に行くかどうかを考えながら、チャットを確認すると伊藤からだった。


理科「そういえば、静かだな」


目覚まし時計を見てみると9時を過ぎていた。


理科「あぅぇ?」


よくわからない言葉を出してチャットを開く。


伊藤『朝声をかけたけど、全く反応が無いから起きたらこれ見て。私と星名と朝倉以外の9人が学校に行ってくる。星名はまだ目を覚ましていなくてエントランスに布団を敷いて寝かせていて私が看病をしている。起きたけど、動くのも怠かったらチャットを飛ばしてくれ』



理科「あの状況で学校に行くんだ」


あのてんとう虫を見たのは理科と星名の2人だけで、話を聞いても信用されないだろう。以前から親密度が高い人が言っているなら信用する可能性はあるが、ここで暮らしている11人はそれほど親密度が高くない。理科の言っていることを無視するのも当然と言える。


身体は少し重いが、それくらいだ。出血をしているわけでも吐き気があるわけでもない。


理科「口の中気持ち悪い…」


口を濯ぐ為に部屋を出て洗面所に向かう途中、伊藤と会った。


伊藤「朝倉おはよう。身体は平気そう?」


理科「日常生活を送る分には問題ないよ。学校は休んだ方がいいかな?」


伊藤「休んだ方がいいと思う。昨日の理科の話ならまた狙われる可能性が高いだろう」


理科「星名さんは?」


伊藤「チャットにも書いたけど、昨日理科が帰ってきた時から目を覚ましていない。熱は少しずつだが下がってきている。今日1日ゆっくりと寝ていれば明日には目を覚ますんじゃないかな。私達3人の学校には休む連絡をしておいたから、そこは安心して」


理科「そう、顔を洗ってくる」


伊藤「おう、朝食作ってあるからそれ食べなよ」


理科は洗面所に向かい、蛇口を開く。洗面台は所々水で濡れている。起きる時間と洗顔の時間が人によってはバラバラだしそれほど仲の良い12人で共有しているからこんなことになってしまうのも当たり前で…。


手に水をためて顔にバシャバシャとかけていると、頭の中にある会話が聞こえる。


~~~

「ちょっと!誰か私の化粧水使った?量減っているけど?」

「押さないでくださいよ~」

「痛っ!おい××。お前ドライヤー使う時は周囲に人がいないことを確認してから使えよ」

「ごめん。気付かなかった」

「ちょっと。トイレまだです?」

「あれ?私のファンデーションが2つある?誰か私と同じのを使っているのかしら」

「おい××ちゃん。私のファンデーション使うのを止めてくれないかな」

「私の洗顔剤があんなところに…誰が動かしたのかしら」

「あーもう。みんな邪魔です~」

「ちょっと!ここ私の家だから汚さないでよ!」

~~~


理科「……?」


何かの会話を思い出したが誰がいつ会話をしたものなのか分からなかった。


理科「……気持ち悪いな」


覚えのない記憶が次々と出てくるがすぐに忘れていく。やっぱり2日前から変だ。濡れた顔をタオルで拭いて軽く口を濯ぐ。


洗面台を出て、食堂に向かうと料理が1人分の朝食が置かれていた。「12」よりに食卓の上に乗っている。サンドウィッチが4つ皿の上に置いてあった。たまごサンド、ハムサンド、カツサンド、野菜サンドだ。


理科「……?」


どこかでこれと同じような物を食べたことがあるような気がした。


理科(…サンドイッチだし、実家で食べていたかな)


実家。その言葉が出てきたときにハッとする。昨日実家に行ってみようかと思っていたけど、なんやかんやで行けてなかった。今日は学校休んだし時間はあるし、歩く分には問題ないし確認しに行きたいが


理科「…1人で平気かな…」


1人で行くことに不安がある。伊藤を連れていこうと考えたが、倒れている星名の看病には誰か1人は付く必要があるから無理だ。


理科「…9人の誰かにお願いをするか、1人で行くか…」


9人に言ってもきっと聞いてくれないだろう。というかほとんど知らない9人を実家に連れていくのは抵抗があったのでその考えは却下になった。サンドイッチをモグモグと食しながらスマホを片手で操作する。グルの方に特に書き込みもなく、個人も今朝の伊藤の1件のみで昨日の話し合いのことが書かれていなかった。


理科「…ハブにされたのかな……」


10人からしたら、理科が一番怪しいと感じるのも分からなくない。一緒にいた星名を襲い、わけの分からない生物が学校で襲ってきた、職員室が無人で電気を付けていない、運動能力の高くない理科が星名を抱えて荷物2つを肩にかけて逃げ切るのは不自然、といったことを考えるとハブにされるのも仕方ないかもしれない。


サンドイッチを4つ食べ終えて食器を洗い乾燥機に干しておく。濡れた手を拭いてエントランスに向かうと伊藤が星名の近くに足の短いミニテーブルを置いて、胡坐をかいて自習をしていた。学校に行っていないから、ジャージ姿だ。理科に気付いた伊藤は自習をする手を1度止めて、理科の方に身体を向け直す。


伊藤「おう」


理科「うん」


伊藤「昨日の話し合いのことを話そうか?」


理科は首を縦にふる。


伊藤「朝倉にとっては聞いていて楽しくないだろうが…私と清水以外の8人は朝倉が星名を襲ったのではないかと疑っていてお前に何人かで監視をつけるべきかどうかという話し合いになった。だが清水は朝倉に監視を付けるのはおかしいと反論して、なんやかんやで話し合った結果朝倉は普段通りに過ごしてもらうことになった。といっても私と清水で軽く見張るような感じになってな…だからこれからは私と清水が朝倉と一緒にいる機会が増えるだろう。8人は朝倉を疑っているから若干当たりが強くなるかもしれないけど我慢してくれ。星名が起きて朝倉は自分を襲っていないと証言してくれれば、きっとその当たりも弱くなると思うし…」


理科「……まぁ私が疑われるのは何となくわかっていたけどね…庇ってくれてありがとう」


伊藤「当然だ。朝倉が疑われれば、同じクラスの私も疑わられる可能性が高いからな。お前を助けたのは私のためだ」


理科「そう…だよね…」


分かってはいたけど、あまり信用されていないと改めて言われるとへこむものだった。


伊藤「……ま、まぁ…朝倉が私を最初に助けを求めてくれれば絶対に力になるから」


理科はその言葉を聞いて伊藤を見るが、伊藤は顔を見られないように背をこちらに向けている。


伊藤「…この後どうする?自習でもするのか」


すぐに顔をこっちに向けて今後の予定を聞いてきた。


理科「いや…実家の方に行ってみようかな」


伊藤「1人で?」


理科「伊藤は星名を看病しなくちゃいけないでしょ?」


伊藤「それは大丈夫。私もついていくよ」


理科「え?でも」


伊藤「ここのホテルはどういうわけか一般人には認識できないようになっているみたいだ。それにさっきも言ったけど、朝倉に監視をつけない条件に私が見張ることになったわけだから、どのみち朝倉の方についていくよ」


理科「星名さん平気なの?」


伊藤「さっきも言ったが、今日1日寝ていれば平気だと思う。チャットで個別に今後のこととか書いておいたから平気だよ」


理科「そう…?」


伊藤「いつ行く?」


理科「今から」


伊藤「分かった」


伊藤はそう言ってミニテーブルを片付けて、自分の部屋に戻っていった。理科も服を着替えて歯を磨いて、髪を整えて出口に向かうと伊藤が既に準備万端だった。特に会話もなくそのまま出口を通って外に出ると、丁度自分たちの目の前に、スマホに目を向けて成人男性とぶつかりそうになった。


成人男性「うわっ!?」


下を向いていた成人男性は理科が出て出入口に入るように身体を大きく避けたが、見えない壁にぶつかったように倒れてしまう。


成人男性「君、気をつけてくれよ」


成人男性は身体を起こして膝をパンパンと手で払った後、伊藤を睨みつける。


伊藤「すいません、ここのホテルっていつからあるんですか?」


理科(なんで言うの)


伊藤が男に問いかけると、男は不思議そうな顔をして


成人男性「何言っているの?そこは壁でホテルなんかないだろ。次からは飛び出してくるのはやめてくれ」


そう言ってブツブツと言いながらスマホに目を向けて歩いていってしまった。


理科の目にはホテルが見えている。しかしさっきの成人男性はホテルが見えていなかったようだ。


理科(…あの成人男性が協力して演技をしている?)


伊藤「さぁ、行こうか。朝倉の家はどこ?」


理科「…っあ、こっちだよ」


そう言って理科はあの成人男性が本当にあのホテルが見えていなかったのかどうかを考えながら、伊藤より前を歩いて実家の方に歩き出した。


評価・ブクマよろしくお願いします。

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