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12人の少女 最終計画  作者: ヤマネコ
普通の女子中学生を目指そう
161/164

2020 9/18(8)

これからもよろしくお願いします。

星名「朝倉さ、今何年何月何日か分かる?」


理科「え、突然何?」


星名「いいから」


理科「2020年9月18日」


星名「こっちではそうなっているの」


理科「こっち?」


星名「ここはね…いわば仮想空間みたいなもので、朝倉が本当に暮らしてきた世界ではないの」


理科「……? は? ごめん、意味が分からないんだけど」


星名「だろうね。そうなっているはずだから」


理科「…星名…あんた何者?」


星名「12人の少女の開発者」


理科「はぁ!?」


星名「本当。今までのことも全て覚えている。お前が忘れているところも」


理科「私が…忘れている?」


星名「2020年4月20日から5月5日のことを覚えている?」


理科「なんで急に…」


星名「覚えている?」


理科「…」


4月20日から5月5日?


その期間に何か特別なことがあったか?


何か…何か…


星名「白い部屋…突然集められて…スマホと能力を付与された」


理科「…」


星名「突然知らない場所に飛ばされて、戦闘したり、探索したり…」


理科「…あ」


星名「…」


そうだ、確かに私はその時、そんな出来事があった。


なんで忘れていたのだろう?


理科「…た、確かにそんなことがあったような気がするけど…。そ、それが?」


星名「記憶があるか確かめただけ。このゲームは完全に私の主導権にあるわけじゃないから」


理科「…主導権?」


星名「そう、元々は私が管理していたゲームなんだけど、資金や機材を提供してくれている企業が、勝手に私の許可なく主導権を奪ってきた。そしてゲームをして利益を得ようとしてきた」


理科「ゲーム? 資金? 企業? 利益?」


星名「さっきも言ったけど、ここは現実世界じゃない。ここにいる12人は催眠状態のようなもので、この世界にいるの」


理科「そ、そんなわけ」


星名「…〇×△ゲームと異能力鬼ごっこは奴らが開発したゲーム。更に売り上げを伸ばすために追加で作られたゲームなんだろうね」


理科「ちょっと待って!? 話が突飛すぎてついていけない。少し整理させて」


星名「…うん」


理科「…えっとまずこの世界が現実世界ではない?」


星名「うん」


理科「12人の少女はもともと星名が作り出したものだけど、いつの間にか企業が主導権を星名から奪って今好き勝手にゲームを進行させているの?」


星名「そう」


理科「…今は違うの?」


星名「今行われているのは12人の少女最終計画、やつらが進行させていたのは12人の少女」


理科「…何が違うの?」


星名「この最終計画は、12人の少女を進行させないように作ったプログラム。いわばバグを作った。朝倉理科・伊藤ルキ・柊椿・柊奈那子・柊楓・清水社巫女・瀬奈来夏・明坂絵美・茅野亜李・緋色沙耶・宮永美玖…そして私の12人以外の少女がゲームに巻き込まれないようにされている」


理科「…そう、とりあえず今はそれで飲み込む。それで…えっと…」


星名「ゆっくり考えて」


理科「…その企業はなんでゲームを進行させているの?」


星名「金になるから。世の中は歳を取れば嫌でも社会に参加して働かされる。しっかり働けている間は、そこまで肉体的・心理的に負担が無いが、大人になると色々なしがらみが自分の身体に巻き付くんだよ。契約に生活に仕事、人付き合い、貧乏、人によっては沢山の理由で現実での生活が嫌になって投げ出したくなることがある。このゲームはその煩わしいことを全て忘れることが出来て学生生活を送ることが出来るゲームになっている。大金を出しても自分が学生時代にやり残したことをやりたいということでゲームに参加したい人は山ほどいる。望む人が大勢いれば、大金も入る。企業にとってはうってつけの商売道具なの」


理科「…じゃあ私も大金を出してここに来たということ…?」


星名「…大金かどうかはともかく、そういうこと」


理科「なんで…」


星名「…それは今いい、他に聞きたいことは?」


理科「なんでこのタイミングで明かしたの?」


星名「この最終計画はさっきも言ったけど、奴らのゲーム進行を足止めすることが目的なんだけど、やつらがこの最終計画の方を強制終了させようとしているの」


理科「それの何が問題なの?」


星名「このまま強制終了させられると、企業の好き勝手に私達が使われる。やり方によっては廃人者にすることも出来るし、何らかの罪を背負わせて冤罪にすることも出来る。なんなら身体を拘束して性的奴隷にすることも出来る」


理科「出来るの?」


星名「この世界ではお腹も空くし、疲労感もある。お前は何度も蹴られたり殴られたりして痛覚があったでしょ」


確かにあった。何度も刃物で刺されて出血して、気絶して…襲われすぎているような気がしていた。


理科「…でもだからって…そんな話を急に信じろって」


星名「とりあえず今は聞いてほしい。私はこの12人の少女自体を終わらせたい」


理科「どっちを」


星名「12人の少女。私の作ったゲームをこれ以上企業の利益の為に使われるのと、奴らの薄汚い野心を充たすための道具にされたくない。そんなことされるくらいなら、12人の少女が進行出来ないように全て壊したい」


理科「…」


星名「頼む…」


星名が頭を下げる。


理科「期間がないって言っていたけど、あとどれくらい持つの?」


星名「…持って今月いっぱい…くらいかな。思ったよりも侵食が進んでいるから実際そこまで時間は残っていないの」


理科「なんで私だけ番号が12で固定されているの?」


星名「5月5日にお前だけが最後まで生き残ったから」


理科「12人の少女? なんで最後まで生き残ったことで固定?」


星名「最後まで生き残ったということは、このゲームでも最後まで生き残ってくれる可能性が高いと判断したから」


理科「…それだけ?」


星名「明坂・茅野・緋色・宮永・椿・奈那子・楓の7人は手が早いから直ぐに11機使い切ってダメになる可能性が高かった。伊藤と清水は12人の少女で活動している時はベテランだったけど、2人とも精神的にはとても不安定だから不採用。瀬奈は全く興味を示さないことが多くて、投げやりになるところも多々あるから不採用。だから朝倉理科が選んだ」


理科「…やはり11機まで使えるの?」


星名「今の所は。でもこれから侵食がドンドン進めばそもそもリスタート自体が出来なくなる可能性が高い。リスタートが出来なくなった時が、私達の最後」


理科「星名はそうなっても逃げる手段はあるんじゃないの?」


星名「どの道、このゲームが終わろうが終わらないが、企業は全責任を開発者である私に擦り付けてトカゲのしっぽ切りをする気。仮に逃げたとしても、やつらはゲームを続行させるために何が何でも私を探すだろう」


理科「…最終計画は12人の少女を終わらせる爆弾になるの?」


星名「奴らにとってこのゲームは何が何でも終わらせたくないんだよ。終わらせることは、利益を上げる道具を丸々失う事と同義だから。この12人の少女で得た収益は全体のおよそ8~9割程度にもある。この最終計画で12人の少女をぶち壊すことが出来れば、私達は解放されて元の世界に戻ることになる。…それを望んでいない人もいるけど、でもこのままだと企業が私達の身体や精神も好き勝手弄られてしまう。私はそれを避けたい…」


理科「…じゃあ星名も私達の身体や精神も好き勝手弄ることが出来るの? 開発者なんだから出来ないはずがないよね」


星名「前は出来た。でも今はもう出来ない。さっきも言ったけど、侵食が進んで、プログラムの中の一部が死んでいる」


理科「…ちょっと考える時間を頂戴」


星名が言ってきた情報を整理すると


・ここは現実世界ではなく、ゲームの世界…仮想世界のようだ。

・星名は「12人の少女」の開発者

・星名と協力していた企業が星名の許可を取らずに、「12人の少女」を勝手に運営し始める。

・乗っ取った理由が、利益の爆上げ狙い

・このまま企業の好き勝手にさせると、理科達の身体を好き勝手されてしまう可能性があること(おそらく、女子中学生の身体を好き勝手に出来るということだろう)

・「12人の少女」を好き勝手されることを望まず、最終計画でぶち壊したいと星名は望んでいる。

・残された時間はそう多くない。持って今月いっぱい。

・〇×△ゲームや異能力鬼ごっこは追加されたゲーム。作られた理由はさらに儲けるため。


大体こんなところだろうか。4月20日からというくだりも気になるが、今はそこまで重要ではないと判断する。


確かにここが仮想空間なら、今使っていた能力の説明も、〇×△ゲームや異能力鬼ごっこで勝者になった時のクリア報酬「なんでも願いが叶う」というのも可能だろう。作り出したプログラムが働いていると考えれば、出来なくはないはず。


理科「…あの指輪とグループを作れというのは?」


星名「あれは私が用意したイベントなんだけど、いつのまにか6人分が書き換えられていた」


理科「6人?」


6人…あの時やってきたのは4人。もう2人は…?


星名「そう」


理科「あのグループと個人の役目は?」


星名「このことを伝えるために用意したもの。本当は全員に私の書き込んだものが渡った瞬間に話そうとしたんだけど、6人が違うものを渡されていたので話せなかった。違うものが渡されている6人の前で話した瞬間、また別のプログラムが起動する可能性がありえたから」


理科「…じゃあ役目自体にそこまで意味はないと?」


星名「そう、全てはこの最終計画で12人の少女を凍結するため」


理科「…なるほど」


星名「…信じてくれる?」


理科「…信じたくないけど、不可解な点が何個かあった。ここが現実世界じゃないというなら納得は出来る」


星名「…」


理科「…確認なんだけど、その6人ってさ」


星名「明坂・茅野・緋色・宮永・奈那子・楓」


理科「だよね」


星名「あの時朝倉を襲ってきたときは本当に驚いた」


理科「…あの6人には情報を共有しない方がいい?」


星名「極力誰にも共有しないでほしい。お前は他の10人よりも強めに保護をしているからいいけど、他の10人がそこまで強い保護は与えていない」


理科「保護?」


星名「外部からの干渉を受けやすい、洗脳…というのか分からないけど、自分の意思で動けないで、無理やり動かされることがあるから。奴らの手によって」


理科「楓さんの占いって能力?」


星名「違う、あれは現実世界で彼女が毎日の努力で得られたもの。決してプログラムされているこの世界で得たものではない」


理科「…そうなんだ。そう言えば緋色が前に言っていたこの学校の創立日が分からないというのも」


星名「プログラムで作られている世界だから、創立日はない。初めてこのゲームを動かしたという意味なら…いつだろう。こっちの記憶と現実世界の記憶が混ざっているから分からない」


理科「え、現実世界の記憶もある?」


星名「開発者だから、そっちの記憶もある」


理科「…〈記憶消去〉を使われたらどうなるの?」


星名「使われたことがないから分からない」


理科「…」


星名「他には?」


理科「…ちょっと待って」


まだ情報の整理が完璧に整理出来ているわけではないが


理科「ルキって精神的に不安定なの?」


星名「清水ほどではないが、彼女もあの中ではかなり不安定な方。飴で気持ちを誤魔化しているみたい」


理科「それは…現実世界でも?」


星名「そうだと思う」


理科「…具体的に終わらせると言ってもどうするの? 何をすればいいの?」


星名「…それは…学校を原型が残らなくなるまで壊す」


理科「出来るの?」


星名「私達2人だと厳しい。恐らく壊している途中から、あいつらが湧いて出てくると思うから」


理科「あいつらってのは」


星名「あの大きなてんとう虫と、私達の姿をしたあの黒い奴ら」


理科「…あれ? 星名さんは黒いあいつらを知っているの?」


星名「朝倉が言っていた」


言った…かな? 言ったか。


理科「なんであいつら私達の姿をしているの?」


星名「奴らの侵食が私達の姿を出来るほど進行している証拠。あのままだとあいつらが勝手に暴れて、私達本体の身に覚えのない罪を被せられる可能性がある。それをやられると私達と全く同じ顔と体格をしているから簡単に逃れることも出来ない」


理科「…うん。でもここは仮想世界でしょ? 仮にそうなったとしても現実世界ではないんだから…そんなことになる」


星名「言ったでしょ、私達は催眠状態でここにいる。催眠状態だから、偽りの記憶を植えつけることも不可能ではない。もし偽りの記憶を植え付けられて催眠状態が解けたら、現実世界では一切の罪をしていないのにしたという記憶を植え付けられて何か未解決の事件の犯人として祭り上げられる可能性がある」


理科「…なるほど」


星名「…他には」


理科「原型がなくなるまで壊すっていうけど、出来るの? ここの学校も何かしらの方法でその組織から守られているんじゃないの?」


星名「侵食が進めば、この学校も建物自体は流用されて何かしらの野望の為に利用されるだろう。さっきも言ったけど、自分が作ったものを勝手に使われて利益を得られるのが本当にムカつくの、気に入らないの、くたばってほしいの」


理科「…2人じゃ厳しいから、あの10人も協力してほしいけど…10人には話せないんだよね?」


星名「そう、10人に詳しいことは出来る限り伏せて学校を壊すように誘導してほしい」


理科「無茶すぎる、受験生6人からしたら、今学校が破壊されたら決めた進路を壊すことになるじゃない。絶対困ると思うんだけど」


星名「そこをなんとかお願いしているの」


星名が頭を下げる。


星名「ここは仮想世界、彼女たちは気付いていないけど、ここで決めた進路は意味のないもの。だって本当の彼女たちは中学生ではないから」


理科「…それが本当だとしても道徳的にも倫理的にも…」


星名「このまま放置していたら、今私が言った以上の外道で冷酷なことをしてくる奴らに好き勝手されるって言っている。私達の意識は残したまま身体を動けなくさせて、凌辱することだって何も難しいことじゃないの。しかもここは仮想世界だから法で罰になることもない。なんの制限もなく己の欲望をすべて吐き出すことが出来る。吐き出す側からしたら楽園だけど、吐き出される側からしたら大迷惑」


理科「…」


星名「極端な例で言うなら、R18の作品の中に自分も入り込んで、好き勝手キャラクターとあれこれすることが出来るの。ここでいうキャラクターは私達12人に当たる。もしそれが出来ると知ったら、ほとんどの人間は大金を出しても入りたいと思う。そしたら私が作った12人の少女はもうなくなって、やつらの勝手な野望を消化するゲームへと変わってしまう。それを避けたいって言っているの」


想像しただけで気持ち悪くなり身体が震える。


理科「…しかし、どうやって10人を説得すれば…」


星名「それを一緒に考えてほしい、やるのは朝倉」


理科「…なんで私?」


星名「他の10人…厳密に言うと、明坂・茅野・瀬奈・椿・奈那子・楓・宮永の7人は朝倉に何かがあると思っている。今まで伊藤・清水・私・緋色の順で番号が繰り上がっていて、その時のことを覚えていないとしても、いつのまにか席が変わっていることには気づいていた」


理科「それは…まぁ」


確かに彼女たちから見たら、理科だけが席を動かしていない。それだけで注目になるだろう。


理科「そういえば、奇数回と偶数回で能力が異なるのはなんで? どうせなら全て共通にすればよかったのに」


星名「私の予想もしない使い方で状況を打破できる人が出てこないかと思って追加したのと、やつらの目くらましにするため」


理科「目くらまし?」


星名「情報を増やして侵食の足止めをしているの」


理科「なるほど…」


星名「というか思ったよりもすんなり聞いてくれるね」


理科「なんか時々変なことがあったからさ。身に覚えのない記憶とか、どこかであったようなとか…なんかそれらがすっきりしたような感じがするから」


星名「聞いてくれるのは素直にありがたい」


理科「あとは…」


星名「待って、誰か来た…」


星名が赤目じゃなくなる。〈沈黙〉を解いたようだ。


耳を澄ませば、確かに保健室の外から誰かがこっちに来ているようだ。足音が1つ聞こえる。


星名「…」


理科「…」


星名は緊張した顔で入り口を見ている。そこに誰かが現れた。


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