2020 9/2(5)
今後もよろしくお願いします
昼休みなると、すぐに伊藤が保健室にやってきた。伊藤の手には小さなバックを持っている。
理科「そのバックは?」
伊藤「お弁当を入れるためのバックだ。剝き出しでもよかったけど、こっちにした方がいいかと思って」
理科「へー」
伊藤「星名はどこで食べるの?」
机の上に置いてあった教科書をカバンに入れている星名に声をかけるも
星名「いい。2人で仲良く食べて」
そう言いながらお弁当を机の上に置いて、1人で食べ始めた。
伊藤「そう。じゃあ2人で食べるか」
伊藤は余っている椅子を取って理科の机の傍に寄せて持ってきたお弁当の包みを解いている。
伊藤「食べないの?」
理科がお弁当を取り出さないのを見て不思議そうにしている。
理科「やっぱり、星名さんも誘った方が…」
伊藤「本人が良いって言っているんだから問題ないでしょ。それに無理に連れ込んでも、星名は落ち着いてご飯を食べられないと思う」
理科「そうなのかな…」
理科のスマホに1つのチャットが来る。星名からだ。
星名『私のことは気にせず食べて』
星名を見ると、食べながらスマホを弄っている。理科は星名を誘うのをやめて伊藤と2人で食べ始めることにした。
伊藤「朝倉の弁当うまそうだな。ミートボールくれ」
理科「じゃあ、その唐揚げ頂戴」
伊藤「いいだろう」
お弁当を理科の方に寄せて取りやすくしてくれた。唐揚げを箸で掴み口の中に頬る。
理科「おいしい」
伊藤「私にもくれ」
理科「はい」
理科は自分の弁当箱を伊藤の方によせるが、伊藤は取ろうとしなかった。
理科「…?」
伊藤「あれやってみたい」
理科「あれ?」
伊藤「あ~ん。あれってどんな感じなのかやってみたい」
理科「え?なんで?」
伊藤「やってみたいから。それにほら、これなら仲の良い友達みたいだろ?」
理科(…友達?)
伊藤の言った友達という言葉に引っ掛かりを覚えた。
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「……そう××ね。 ××ってな××××ね」
「××××によると、×××付き合っている人 だって」
~~~
理科(なんだ?今の?)
何かの会話が頭の中に流れたが、覚えがない。
伊藤「…くら。朝倉」
理科「…っえ?ごめん聞いていなかった」
伊藤「聞いていなかったのか」
むすぅーと頬を膨らませて、ジト目で理科を見てくる。
理科「ごめんなさい」
伊藤「朝倉って人と話すのが苦手と言っていたけど、私と緋色と清水にはしっかりと話せるのはなんでという話」
理科「わからない、なんでかな…。気が付いたら話せていたという感じだし」
伊藤「私と緋色は似たような話し方だし、なんとなく分からなくもないけど…なんで清水と話せるのか…」
理科「社巫女さんは良い人だよ!とってもかわいいし、こう守りたくなるというか…。笑顔が素敵でね!弱っている姿を見ると、何が何でも私が守らなきゃいけないと思っていてね、守り終わった後に向けてくれる顔がもう可愛くてさ~」
理科が清水のことを話していると、伊藤は更に不機嫌そうになってしまった。
伊藤「…」
理科「伊藤?」
伊藤「ずいぶんとなかがいいですね~」
棒読みで箸を口に運ぶ。伊藤は無言で弁当の中身を食べ終えた後にチュッパチャプスを取り出して舐め始めた。彼女が飴を舐めているところを見るとまた頭の中に何かが流れてきた。
~~~
「×××はそこまで××ってわけでもない。ただ××××好きなの」
~~~
まただ。また変な会話が脳裏に掠めた。どこかで聞いたことがあるような会話だが、いつ、どこだったかが分からない。何の記憶か分からず少し気味が悪くなる。
伊藤「顔色悪くない?」
理科「そんなことないよ。私が見ている限りでもかなり飴を舐めているけど、虫歯になるんじゃないの?」
伊藤「これ舐めていると落ち着くんだよ悪い?」
理科「悪くないですよ別に」
伊藤「ねぇ、放課後一緒に帰らないか?」
理科「分かった」
伊藤「2人きりで」
理科「え?他の人は?」
伊藤「泊っている場所は変わらないだろうし、平気だろ」
理科「私は1度家に帰ってみるつもりだけど」
伊藤「じゃあ、途中まで一緒に帰ろうよ」
理科「それならいいけど…伊藤は自分の家に帰らなくていいの?」
伊藤「私?私は良いよ」
理科「なんで?両親心配しているんじゃないの」
伊藤「…そうだな、分かった。でも途中まで一緒に帰ろう」
理科「家の方向違うでしょ?」
伊藤「……。そうかもしれないな。じゃあ明日の放課後2人きりで一緒に帰ろう」
理科「それならいいよ、約束する」
伊藤「約束な。破ったら怒るから」
理科「はいはい」
伊藤の機嫌が直ったみたいで、少し嬉しそうにしている。
理科「そういえば聞き込みはどうするの?」
伊藤「奈那子に任せよう。動けないやつが無理に動くより、動ける人に任せよう」
理科「それでいいのかな…」
伊藤「次の機会で頑張ればいいんだよ」
理科「…そうだね。分かった」
理科もお弁当の中身を食べきり、カバンの中にしまう。星名の席を見るといつの間にかいなくなっていた。
理科「あれ?星名さんは?」
伊藤「さっき保健室から出て行ったところを見たよ。理科は気付いていなかったの?
」
理科「うん…。いつの間に…」
伊藤「トイレじゃない?」
理科「そうかもね」
こうして午後の授業が始まるまでに伊藤と話してキリの言い所で教室に戻ろうと保健室を出ようとすると同時に星名が戻ってきた。入れ違いに星名が伊藤の耳元に口を寄せて何かを話していたようだが、理科の耳には聞こえなかった。
2人のことは気にせず、席に戻り机に教科書とノートを広げる。午後の自習の始まりだ。
評価・ブクマよろしくお願いします。やる気が出ます。




