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さようならロン。また会う日まで。  作者: 湖灯


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【那須で女子会③】

 社会人として、お金が必要となることは私もわかる。


 大学生のときはバイトでの所得が一定基準を超えない限り免除となるし、健康保険料も親の扶養に入っているので自己負担もない。


 けれども大学を卒業して社会人となれば、色々な公的ものの支払い義務が発生する。

 それに今までは自動車を運転することはなかったので入っていなかったけれど、車を購入すれば車検代や重量税だけでなく自賠責保険に任意保険、それに自分自身用に生命保険なども必要になってくる。


 凛香さんが言うように、オーボエを続けるには演奏すればするほど必要となるリードも買わなければならない。


 ……オーボエ。


 そう思ったとき私はオーボエのケースを開けた。


 サマーコンサートが終わったとき、コバがファゴットを大切そうにケースにしまっているのを見た。

 コバはこれでファゴットをやめる。


 でもそれは本人の希望ではない。

 ファゴットはとても高価な楽器で、国内メーカーの新品価格は、どれも300万円を超える。


 吹奏楽やオーケストラに欠かせない楽器で、個人で用意するのは難しいのでほとんどの場合は学校が備品として持っているから今まで続けられた。


 しかし大学を卒業して社会人となり、趣味で続けていくためにこのような高価な楽器を個人で持つ人はそうそういない。


 私は楽器を始めるときにオーボエの音色が気に入って、子供だったから価格のことも全然知らなくて両親にオーボエをやりたいと何も考えずに言ってしまい親が買ってくれたけど、値段を知っていればオーボエは選ばなかっただろう。


 私の入った中学にはそもそもオーボエは備品にはなく、何も知らない私がオーボエを持ってきたことがきっかけで持田先生が吹奏楽部の編成にオーボエも入れてくれた。


 この持田先生の配慮がなければ、私は中学の三年間他の楽器を演奏することになっただろう。


 これから社会人になったとき、どれだけこのオーボエを演奏することができるのか考えて不安になった。


 社会人になってしまえば、演奏を楽しむのは週に多くても2回だけ。

 そう思うともっともっと学生時代に演奏していればよかったと後悔して、オーボエを演奏しない未来が考えられなくなり部屋で泣いてしまいロンを心配させた。

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