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さようならロン。また会う日まで。  作者: 湖灯


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修学旅行⑨

 江角君は私が話すまで黙って見ていてくれた。


「みんなは?」


「先に行った」


「どうして、私たちだけここにいるの」


 江角君は少し戸惑ったあと、少しだけムキになるように言った。


「それは……鮎沢のせいだろ」(すみません今さらながらですが千春の苗字は鮎沢です)


「私の!?……なんで?」


「立木が、そうしてあげろって」(すみません今さらながらですが里沙の苗字は立木です)


『やっぱり、思った通り里沙ちゃんが何か企んでいた』


「里沙が、なんて言ったの?」


「えっ、ああ、まあ……なんだ、その……」

 じれったいな。と思いながら、あの江角君のたどたどしい受け応えが可笑しいし、いつもグズグズな私が結構はっきり聞いているのも妙に可笑しかった。


 江角君の話では、里沙ちゃんが来て、鮎沢さん(私)に悲しいことがあってしばらく一人静かにさせてあげたいから先に帰ると言うから承諾したところ、女子だけ先に帰るのかと思ったら男子も全員連れて帰ってしまったらしい。


「それで私たちだけ残されたの」


「そうみたいだね」


 なんとなく里沙ちゃんの気持ちが分かる。


 大部分は私のせい。

 里沙ちゃんたちと楽しい修学旅行なのに、いつまでもロンと離れ離れになった悲しみを引きずって楽しさを分かち合わない私のせいなのだ。


 そこに里沙ちゃんの小悪魔的要素が加わって江角君は、とばっちりを受けたのだ。


「帰りましょ」


「ああ」


 ふたりでタクシーに乗り込んだ。


 ふたりっきりなのに江角君は班長席(助手席)里沙ちゃんが考えているほど江角君は私のことなんて別に好きじゃないんだ。


 そう思うとちょっぴり……ほんのちょっぴりだけ寂しいかもって思った。


「鮎沢」


 進行方向に顔を向けたままの江角君が、ぶっきらぼうに私の名前を呼んだので私は慌てて「はい!」と先生から問題を当てられた生徒のように返事をする。


 江角君の見えない後ろ顔がすこし笑った気がした。


「悲しい事って……なんだ」


「……」


 私は応えることができなかった。


 江角君も、それ以上なにも聞いてこなかった。

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