修学旅行⑧(おいてけぼり)
大きく目を見開いて涙が零れるのを我慢しながら夕日を見ていたけど、とうとう一滴の涙が頬を伝って落ちていく『あーダメダメしっかりしなくちゃ!』上を見上げて二滴目が零れないようにしながら心の中でそう言った。
気が付くと隣にいたはずの里沙ちゃんがいなかった。
それに同じ班の女の子たちも。
『男子は?』辺りを見回すと男子もいないばかりか、うちの中学の生徒もいない。
『置いてけぼり!?』それとも『迷子!?』慌てて走り出した途端、人とぶつかって転びそうになった。
転ばなかったのは、私がぶつかった人が支えてくれたから。
「すっ・すみません!!」
謝りながら顔を見上げて驚いて「きゃっ!」と小さく悲鳴を上げた。
「阿呆か、お前は!」
そう言う酷いことを平気な顔をして言ってきたのは江角君だった。
「みんなは……?」
江角君の顔を覗き込むように言うと「重いんだけど」と私がたずねた内容の答えになっていない言葉にポケッとしていた。
すると江角君はもう一度、今度は困った顔で言った。
「重いんだけど……その・・離れてくれるかな」と。
言われて初めて気が付いて、顔が真っ赤になるのが自分でも分かった。
私は、江角君にぶつかってバランスを崩して転びそうになり、それを江角君に支えられているまま。
つまり、抱きかかえている状態。
「ご・ごめんなさい!」
「まあ、構わないけど」
普通『大丈夫?』とか『どうしたの?』とか優しい言葉のひとつくらいかけてくれても良いんじゃない?
それなのに江角君は何にも言わずに黙ってしまい、気まずい雰囲気が漂う。
「「あの」」
少し経ったとき江角君と私が同時に同じ言葉を相手にかけた。
「「な・なに?」」
返す言葉もまた重なった。
「「ごめん」」
慌てて言った言葉まで……。
急におかしくなって笑いそうになると
「なにが、おかしいんだよ」
と江角君がふくれっ面をして、更におかしくなって笑ってしまった。





