男の子の話②
「だって千春、副部長でしょ」
「それと好き嫌いは関係ないと思うけど」
「そうかなぁ……」
「そ・そうよ」
「でもね、美緒(この子は吹奏楽部の同級生。ちなみに里沙はソフトボール部なのだ)から聞いたんだけどE君、部長になって大分変ったって言っていたよ」
なぁ~んだ、そんなことか。
部長副部長の男女の関係って直ぐに恋話にされちゃうんだよなと思って「部長になって意識が高くなったんじゃない?」と言うと
「私も最初はそう言ったんだよ美緒たちに」
ん?
”美緒たち”っていうことは噂の出所が一人じゃないってことね。
「それに部長になった経緯も問題があると思うの」
「?」
「だって、千春が副部長になる事が決まってからE君が部長になる事が決まったんでしょ」
そういえば部長を決めるとき凄く難航していて、それなら先に副部長を決めることになり、そこで私が副部長になる事が決まると、部長もあっけなく決まったような気がした。
「それに、E君ってもともと人の世話ができる子じゃなかったでしょ。それが今では部長として人の世話も頑張っているし」
「だから、それは部長になった意識の違いじゃ……」
堂々巡りの話に気を遣ってくれたのか茂山さんがイチゴを持ってきてくれた。
「あれ!そういえば茂山さん就職は?」
「大学院。お兄さんみたいに引く手あまたじゃなかったからね」
兄は四月から就職して今は家を出ている。
一般企業に勤めると思っていたのに何故だか環境省を受けて採用され今は官舎に泊まり込み。
研修が終わったら通勤にすると言って家を空けている。
茂山さんが話に加わってから兄の話になり、美樹さんのはなしになって里沙はチョット気に入らないみたい。
でも私には、男の子の話はロンの話で十分だから、おかわりはいりません。





