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さようならロン。また会う日まで。  作者: 湖灯


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男の子の話①(憂鬱に感じてしまった修学旅行)

 中学三年になった私にとって憂鬱なことが一つある。

 それは五月に行く予定の修学旅行。


 今日は里沙に誘われて茂山さんのお店に来ています。(中三になる前に里沙ちゃんから急に「ちゃん」を取るようにお願いされて、まだ抵抗があるけど「里沙」って呼んでいます)


「どうして修学旅行行きたくないって言うの!」


 里沙ちゃ……里沙に怒られたのは、私が担任の先生に修学旅行を休めるかどうか聞いたことがバレたから。


 先生からは行けない理由があるのなら仕方がないけれど、ただ個人的に行きたくないというのなら先生に理由を話してほしいと、結局たいした理由も無しに休むことができないらしい。


 いっそのこと当日風邪で休んでしまえばよかった。


「もしかして、ロンのためだって言うんじゃないでしょうね」

 ズバリ正解。


 でもなんだか正直に言えなくてコクリと首だけ縦に振った。


「やっぱりね。君たちはいつまで新婚夫婦気どりなんだ?」


 机の下でご飯を食べているロンに向かって里沙が言う。


「ううん。ロンは関係ないの。私がロンと離れるのが嫌なだけなの」


「でも、たった三日よ」


 しかしロンがうちに来て一日もロンに会えなかった日なんてなかった。


 去勢で入院した日だって一晩会えなかっただけだし、その一晩の寂しかった気持ちは今でも忘れられない。


「話変えるけど千春は好きな男子っていないの?」


 うっ~、番苦手な話題を振られてしまった。


 だって、もし気になる男子がいたとしても家を出るのも家族がいないとどうしようもない生活をしているロンの手前、私だけが自由奔放にアバンチュールを楽しむなんてできないでしょ?

 でも 中学三年の私たちにとって、やはり話題の最たるものは恋愛。


 誰と誰は付き合っているとか誰が誰を好きかとか、男子であの子がカッコいいとか面白いとか。

 里沙はそういう話が好きで色々情報を知っている。


 女子の間で人気の男子はサッカー部のA君とB君、それに野球部のエースで4番のC君、バスケ部のD君に吹奏楽部のE君。


 体育会系のA~D君はともに運動神経のいい部活の中心人物で、みな陽気なキャラクター。

 吹奏楽部のE君だけは学年トップクラスの学力と超イケメンの容姿がポイントが高い。


「でもE君って結構人に対して冷たいよ」


 E君は私と同じ吹奏楽部だからよく知っているけれど、練習のとき誰かが間違うたび、あからさまに嫌な顔をしたりする。


 1年のときなんかクラリネットの同級生の女子が全体練習中に間違えて先生が一旦曲を止めたときに自分の担当するトロンボーンでわざと間抜けな音を出してクラリネットの子を泣かせてしまった。


 さすがに、そのとき先生に叱られてからそのようなことはしなくなったけど、部長になった今では鬼のような目つきで下級生を監視している。


 嫌なことはわざと表情に出すタイプなので見ていてハラハラする。


 里沙が「どんな男子?」と聞くので、そのようなことを答えると「見ていてハラハラするタイプかあ……」となぜか私の喋った最後のところだけ復唱して言った。


「ほとんどの子にE君のこと聞くと、イケメンだけど性格が悪いって答えが返ってくるんだけど」と、私の目をのぞきこむような目をして言う。


 何を言われているのか全く気がつかない私は「そっか」としか答えられない。


「E君のことって、どう思う?」


「う~ん。トロンボーンが上手だよ」


「そうじゃなくて性格的にみて」


「知らないわよ。小学校違うし、同じクラスになったこともないし」


「でも、見ていてハラハラするんでしょ」


「まあ、子供みたいにわがままそうだからね」


「そうそう!そこっ!」


 体を乗り出してきた里沙ちゃんの”そこっ!”の意味が分からないでいると。


「そこのところを、他の人は”性格が悪い”って表現するよ」


 言っている意味が分からないでポケッとしていると、里沙ちゃんはじれったそうに「E君ってきっと、千春のこと好きだよ」


「えっ!?」


 私がビックリするとロンも驚いたのか、お座りして顔を乗り出してきた。


 え~~~っ!!!!

 なんで、急にそんな話になるのよ~!

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