真夏のクリスマス⑦
スキーで会った、兄の友達の……。
「茂山さん。おまたせぇ~」
そうそう!茂山さんだ。スキーのときに里沙ちゃんにベッタリだった。
んっ?
それにしても”おまたせ”って……何??
「やっぱりロンは賢いなぁ~チャンと俺のことまで覚えてくれていて有難よっ!」
ロンと茂山さんが遊んでいる間に里沙ちゃんに聞いた
「どういうこと?」
別に怒ってはいないけど、いったい何?
里沙ちゃんは照れたように笑って
「ゴメンね!驚かそうと思って。と言っても千春を驚かすつもりじゃなくてロンを驚かそうと思ったのよ」
「だったら、私には話してくれてもいいじゃない」
「ゴメン!本当にゴメン!でも千春に教えちゃうと、千春が話さなくてもロンは絶対に千春の雰囲気を察してバレちゃうから」
言われてみると確かに……さっきもこのお店に入るためにドアノブに手を掛けて押そうと思って躊躇っていたら、ロンも押してきたし。
お互い話し合うことはできないけれど通じ合っている実感は確かにある。
でも、だからって……。
「ごめんね千春ちゃん。実は俺が里沙ちゃんに黙っておくように頼んだんだよ」
茂山さんがそう言ってきた。
「でも、なんでですか?」
「だって、最初っから茂山の実家の店に遊びに行くなんて言ったら気が引けて行くのが面倒になるだろ」
「面倒だなんて、思いませんよちっとも……って、このお店茂山さんのお店なんですか~!!!!」





