表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
さようならロン。また会う日まで。  作者: 湖灯
*****中学校編(ロンとオーボエのはじまり)*****

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

57/846

真夏のクリスマス⑧

「いや、俺の店じゃなくて、親父の店なんだ」


 そう言えば、さっき実家だと言っていたことを思い出してカウンターのほうを見ると目の前の茂山さんよりだいぶスリムな中年の男性がこっちを見ていて、目が合うと会釈をされたので慌てて頭を下げた。


「ほらほら、こんなところにお客さんを立たせてないで早くお通ししないと!」


 横からかけられた声に振り向くと、背は高くないけれど頑丈そうな体つきの小母さんがいた。


 私が挨拶すると小母さんはニッコリ微笑み「あなたたちが噂のカップルね。会えてうれしいわ」と言いながらロンの頭を優しく撫でてくれた。


 親しみやすい感じの女性は、誰から見ても茂山さんのお母さんに違いなかった。


 窓際のテラス席に通された。

 テラスの下には芝生の敷き詰められたドッグランになっていて、そこで飼い主がゆったりとコーヒーを飲みながらくつろいでいる間、犬は自由きままに過ごしたりもできるようになっている。


 ちょうど今は小学校4・5年くらいの女の子がシェルティーと遊んでいた。


 メニューは人間用とペット用があり、里沙ちゃんと私はケーキセットをたのんで、ロンは何がいいかメニューを見せながら様子を確認すると。


 ペット用ケーキセットの写真を見せたときに、私と目を合わせたので、それにすることにした。


 すぐに茂山さんがオーダーを取りに来た。


 里沙ちゃんが「私と千春はケーキセットで……」と言いかけて、「三人ともケーキセットです」と言い直して私のほうに振り向いて「これでいいよね!」と笑った。


 私は里沙ちゃんの気遣いがうれしくて涙が出そうになるのを堪えながら満面の笑みで「うん。ありがとう!」と答えた。


 里沙ちゃんは茂山さんにオーダーを伝えるときに、私たちの二人の分とロンのペット用を分けて言いかけた。


 それはごく当たり前のことだと思う。

 でも、もし私(千春)だったら普通に「三人前」って言うんだろうと気がついてくれて言い直してくれた。


 確かに他人から見れば、人間と犬だけど、私から見るとロンは家族同然じゃなくて「家族」なのだ。


 そのことを気遣ってくれた里沙ちゃんの気持ちがうれしかった。


 私たち三人が少しだけおしゃべりしながらドッグランで遊んでいる子供たちを見ている間に、茂山さんが三人分のケーキセットを持ってきてくれた。


 なかでもロンの分は台が付いていて食べやすいように工夫されていた。


 茂山さんのお母さんに頼んで食べる前に茂山さんを含めた4人で写真を撮ってもらった。


 美樹さんに送るための写真だけど、茂山さんのお店に私とロンが行ったなんて、きっとびっくりするに違いなくって今からわくわくする。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小説家になろうSNSシェアツール
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ