美樹さんの秘密②
私がパクパク料理を食べてくれるロンに見とれているうちに美樹さんはもう台所に戻って洗い物を始めた。
慌てて戻った私に「洗い物少しだけだから大丈夫だから、その分ロンの世話をお願いするわ」と言われた。
「ロンの世話?」ロンが食べ終わって、それでお終いだと思っていたら、ロンはまるで小さい子供の様に口の周り中に食べかすを付けて、床にもいっぱい散らかしていた。
床をペロペロ舐めようとするので、それをさせないように「マテ」を言い雑巾で床を拭く。
その間にいつの間にか口の周りに着いたほうは自分で舐めとったのか綺麗になっていた。
美樹さんは洗い終えたボールに今度は溶かしバターと小麦粉に砂糖を入れた
「クッキー!?」
「ご名答!」
二人でおしゃべりしながら作っていて、ふと後ろを振り向くとロンがキチンとお座りをして私たちを見上げていた。
屹度また僕の御馳走を作ってくれていると思っているのに違いなくて、期待感に満ちた目が痛い。
オーブンで焼いている間に美樹さんは直ぐにボールを洗うと「しょうのない子ね」と言って、レシピを書いたノートを見て、ロン用のクッキーを作ってくれた。
(ロン用のクッキーはバターの代わりにサラダ油を使って砂糖は入れない)
「一回1粒、一日3粒までよ!」
と、これは私に対しての注意事項。
「おやつとかあげると喜ぶけれど、与えすぎると結局ロンの健康に良くないから」
「了解しました!」
私は軍隊の人みたいに美樹さんに敬礼して返し、ふたりで人間用のクッキーを食べながら笑った。
ロンは、いつ僕の分をくれるのか期待に満ちた目で私たちを見ている。
結局私たちが食べ終わってからロンの分をあげた。
丁度、その頃に兄が帰って来て美樹さんを送って行くと言ったので、私は一緒に晩御飯食べて帰ればいいじゃない。とゴネた。
「今日は、こんな格好だからゴメンね!」と言って美樹さんは兄の車に乗って行ってしまった。
ロンと二人でその後姿をいつまでも見送っていた。





