ロンと雪遊び④
ペンションでスキーウェアーに着替えると、宿のオーナーさんのバスでスキー場に連れて行ってもらった。
ロンを宿に一人ボッチにするのが心配で、私は残ると言ったのだけど。
犬はシモヤケにならないからと兄に言われて一緒に連れて行くことになった。
兄が滑っているときは美樹さんと私で、私が滑っているときは兄がロンの世話をすることに決めたら、里沙ちゃんが「私もお世話する」と言って、それならと兄の友達も世話をすると言い出して結局みんなが交代交代でロンを見てくれることになった。
先ず一番目のお世話係は美樹さんと私。
二人の美人に挟まれて、さぞやロンはご満悦だろうと思ったら、私たちのことなんて眼中にないように雪の上を歩き回ったり、引っくり返って背中を雪で擦ったり。
う~ん。そういえば二人とも生足出していないから興味がないのかな……。
目の前を兄が滑って行く。
すごいスピードで雪けむりを巻き上げてターンする姿はオリンピック選手みたいにカッコイイ。
頭もいいし、背も高いし、イケメンだし、スポーツ万能だし、それに彼女も美人だし……。
横目で美樹さんの顔を見る。
それに比べて、兄のどの才能にも全然追いつけない私は……。
横目でロンを見る。
するとこの時、雪に夢中だったロンがなぜか私のほうを振り返って目が合った。
『もう。馬鹿!なんでこっち向くのよ!』
急に顔を赤くした私を、今度は美樹さんが不思議そうに見ていた。





