再会した二人
「ねえ、ユキちゃん」
「はい?」
わたしはロナさんという看護師さんに話し相手になってもらっていた。
昨日、お兄ちゃんがウィン先生というお医者さんに連れて行かれた後、わたしもリディナ先生というお医者さんにどこかに連れて行かれた。
何をされるかわからなくて怖かったけど、ただお話をしただけだった。
リディナ先生はわたしが怪我をしていると思ったらしい。でも、わたしの手に着いている血はお兄ちゃんの血だ。お兄ちゃんは違うって言ってるけど絶対にそうだ。
「今日はここで休むといいよ。疲れただろう?」
リディナ先生はわたしを病院に泊めてくれた。
寝たらとっても元気になった。でも暇だったのでロナさんにお話相手になってもらってるんだ。
「ユキちゃんとスギサキくんは双子なんだよね。でも、あんまり似てないね」
「えーっと、それはニランセーソーセージ?だからです」
「そっか、二卵生なんだ」
おっきいお兄ちゃんは本当にお兄ちゃんだった。
でも、ぜんぜんお話しないうちにお兄ちゃんはウィン先生に連れて行かれちゃった。
わたしが覚えているのは小さいお兄ちゃんだ。
その間の記憶はわたしにはない。たぶん、わたしはあの人たちに捕まってしまったときから心の中の成長が止まっちゃったんだ。
「ユキちゃんは記憶が一時期だけすっぽり抜けちゃってるみたいだけど、どう?覚えてる頃のスギサキくんとは変わったかな?」
「……はじめ見たときは誰だかわかんなかったけど、ただ大きくなってるだけで変わってないよ」
「昔からああいう子なんだね」
「前はわたしよりも背がちっちゃかったの。でも、今はおっきくなってて……声も低くて。でも、お兄ちゃんはお兄ちゃんだったよ」
わたしが言うとロナさんは優しく微笑んでいた。
「おーい。入るぞー」
ウィン先生だ。お兄ちゃんを連れていったお医者さんだけど、どうかしたのかな?
「ユキちゃん、マサヤがさっき起きたからさ、会いに行こう」
「ホント?お兄ちゃん大丈夫?」
「うん。マサヤは結構大丈夫だよ」
「じゃあ、私もいこうかなー」
「何でロナさんまで?」
「みんなでいこうよ」
「……そうだな。みんなでいこう」
ウィン先生は一瞬考えたみたいだったけど、すぐ頷いてくれた。
「あーにき♪」
ベッドの上でぼーっとしていると勝手にカイが部屋に入ってきた。
「ん。どした」
「元気そうですね。よかったッス。」
「まあな。それがどうかした?」
「兄貴冷たいですよー。俺、心配で来たんすからー。兄貴怪我したじゃないっすか。結構重傷だという話を聞いたんで、どうしてるかと思って俺が代表で様子を見に来たんです」
「そうだったんだ。ありがとう」
俺がお礼を言うとカイは照れた。
「そんな面と向かってありがとうって言われると照れちゃいます」
ふと、何となくだが気になったので聞いてみた。
「なあ、カイは俺の妹見た?」
「兄貴の妹さんっすか?あ、あの強くてかわいい女の子ッスね!なんか、見た目の割にはしゃべり方がちっさい子みたいでしたよ」
「やっぱそうか……」
先生が言ったとおり、由季はどこかで記憶が止まっている。
……じゃあ、俺は?記憶がきちんとあるのか?
「兄貴ぃ」
「ん、あ、何?」
「誰か来たみたいです」
ドアの方を見ると三人の人影がある。
「あ、ホントだ」
「マサヤー、入るぞー」
「どーぞ」
部屋の中に入ってきたのはウィン先生とロナさん、そして由季だった。




