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生命の行方・第一部  作者: 杉谷ゆぬの(果樹)
第5章・知らなかった現実、芽生える友情
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自転車とウィンストンの過去

「これがチャリ、ですか……」

マサヤは俺の乗ったチャリを興味深そうに見ている。

「ん?どうした」

「あ……いえ。なんでもないです」

なんでもないと言ってる割にはすごく気にしてるし。……もしかして、チャリを見たことなかったとか?

「乗る?」

「……!!む、無理です!」

マサヤはぶんぶんいいそうなくらい首を横に振る。

「ふーん。ま、いいや。さあ、帰ろうぜ」


マサヤはチャリを見続けている。やっぱり気になってんじゃねえか。

「先生、何で倒れないんですか?」

「ん?バランスがとれてるからな」

「バランス……。バランスは先生がとってるんですか?」

「当たり前だろ?。……どうだ?乗ってみるか?」

もう一度聞くと、またマサヤは首を横に振った。

「乗れれば便利だぞ」

「いいんです!怖いですから!」

怖い……。そうか。

「…後で特訓するか」

「えぇっ!?いいですよ!」

「そう言わずにさ。ニコルもきっと喜んで協力してくれると思うぞ」

俺の逆襲だ。マサヤにスパルタチャリ特訓してやる。


話しながら歩いてるうちに病院に着いた。

「先生、じゃあまた明日ですね」

「ああ、明日は出かけるつもりないんだな」

まあ、マサヤのことだし物わかりはいいはずだ。でも一応念を押しておく。

「出かけませんよ。本も借りてきましたから、じっくり読んで調べます」

「ならいいや。じゃあまた明日」

「はい、さよなら」

俺は、マサヤがちゃんと病院に戻るのを確認してから家に帰った。




(……チャリか。何であんなのが普通に立ってまっすぐ走ってるんだろ……?)

階段を上がりながら考える。

「あ、スギサキくんお帰り。早かったね」

自分の病室は3階にある。3階に到着して一番始めにロナさんにあった。

「あ、ロナさん」

「あれ?本借りてこられたんだね。スギサキくん、この町に住んでるわけじゃないけど……面倒じゃなかった?」

ああ……、先生に出会ってしまったときの恐怖が思い出される……。

「じ、実は……ウィン先生が借りてくれたんですけど……」

「あらら、出くわしちゃったのね。すっごい怒られたでしょ?」

「こ……、怖かった、です……」

すごく黒いオーラが出ていたのが印象に強い。

「ここだけの話なんだけど……」

ロナさんはそう言って辺りを見回す。人の有無を確認しているらしい。人がいないことを確認すると、ロナさんはひそひそと話し始めた。

「ウィンストンって、実は元ヤンなのよ。……って言ってる私もそうなんだけど……」

「ええっ!?元っ……」

驚いて大声で喋ってしまい、ロナさんに制された。

「しーっ……。まあ、普段は自制してるからね。怒ると本性が出ちゃうのよ」

なるほど……。ウィン先生とロナさんは怒らせちゃいけないわけだな。……覚えとこう。

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