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生命の行方・第一部  作者: 杉谷ゆぬの(果樹)
第5章・知らなかった現実、芽生える友情
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準備万端、変装して出発

出かけるときになってニコル先生は言った。

「変装した方がいいと思うぞ。もしお前を狙ってるやつらとかにバレたら大変だし」

「変装ですか?」

変装するにしても俺は服だって持ってないのに、どう変装すればいいんだ?

「でも俺、なんにも持ってませんよ」

「いいもん貸してやるよ。ちょっと待ってろ?」

ニコル先生はそう言ってどこかに行ってしまった。


時間は12時45分。まだ平気だろう。

「やば、痛み止め忘れるとこだった」

俺は薬を飲みながら、ニコル先生が戻るのを待つ。

それにしても危なかった……。薬飲み忘れたらせっかくの外出許可が水の泡だ。

「……苦い」

毎回思うのだが、なんで薬ってこんなに苦いんだろ。良薬口に苦しって言うけど。


「お待たせ。変装グッズの到着だ」

ニコル先生は帽子と眼鏡と、なんだか俺には似合わなそうな服を持ってきた。

「この服……誰のですか」

こんなパンクファッション、この人は着ない。

「この前バイクで事故って運ばれてきた兄ちゃんのやつだ。お前、絶対こんなカッコしないだろ?ギャップあっておもしろいかなと思って」

「着ません。断固拒否します」

「そう言うと思ってた。これはお前いじりのネタだよ。ちゃんと別のもん用意しといたから」

今度はきちんとした物をニコル先生は持ってきてくれた。

「うんうん、どこから見てもガリ勉高校生にしか見えないぞ。」

俺は、学生が着ているワイシャツとスラックスの格好だ。眼鏡をかけ、帽子をかぶって髪を適当に束ねてみた。

「ガリ勉って……。その呼び方やめてくださいよ……俺勉強できないし……」

なんか、そうはっきり言われると……嫌だな。

「そうなのか?ま、気にすんな。よーし、じゃあ行ってこーい。あ、チャリ貸してやろうか」

「チャリ?」

「ん?その反応は……お前、もしかしてチャリ知らないのか?」

「はい。チャリってなんですか?」

ニコル先生のこの反応を見ると意外とポピュラーなものみたいだ。

「まあ……簡単に言うと乗り物だな。でも、練習しないと乗れないからまた後でだ」

なんだろう。気になるな。でもいいや。

俺は徒歩で図書館に向かった。



「ん……?」

時計を見ると午後1時を過ぎていた。でも今日は休みだ。気にしない。

でも、少し気になることもある。

諦めないと言ったマサヤが昨日はなにも仕掛けてこなかった。アイツはいったいどんな手に出るつもりなんだ?

「わかんねえな……電話して聞いてみるか?」

……なんかアイツに負けた気がして嫌だ。


あ。


「そうだ。俺もアイツの民族について調べてみればいいんだ。よし、そうしよ」

図書館か……。行くのなんて受験シーズン以来かもしんない。

てことは、もう十年近くあそこ行ってないんじゃね?

「貸し出しカード、残ってるといいけどな……」

ここからだと歩きはきついよな。でも車じゃ短距離すぎだし。チャリで行くか。

ていうか俺……、まだチャリ乗れんのかな……?

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