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《新入生競技大会》実施要項

※本文は、第七十六話で作中の学生たちに配布された《新入生競技大会》の実施要項です。


大会の細かな規則を確認したい方向けの補足資料となります。


本話を読まなくても、以降の本編を読むうえで問題はありません。

第一学年前期総合評価:《新入生競技大会》実施要項


学生配布版・最終規則


発行:帝都中央魔法学院 教務評議会・競技運営委員会


第 1 章 目的および大会構成


本大会は、入学試験のみでは測定しきれない集団行動、役割分担、状況判断、応用力、準備能力および未知状況への対応力を総合的に評価することを目的とする。


個人の戦闘能力のみを競う大会ではなく、第一学年前期の総合評価の一部として実施する。


大会は予選・準決勝・決勝の三段階とし、各段階で競技形式を変更する。


・段階 予選

・参加班 20 班同時

・競技形式 《広域課題戦》

・進出・勝利 総得点上位 9 班が準決勝進出


・段階 準決勝

・参加班 3 班×3 組

・競技形式 《継承核争奪戦》

・進出・勝利 各組 1 班のみ決勝進出


・段階 決勝

・参加班 3 班

・競技形式 《六核制圧戦》

・進出・勝利 《完全制圧》、他 2 班全員の致命判定、または時間終了時の得点で優勝


第 2 章 班編成・専科助っ人


• 基本班は、総合科第一学年の学生 5 名で構成する。班編成は原則として同一クラス内で行う。


• 各クラスで 5 名単位の班を編成した結果、5 名に満たない学生が生じる場合は、人数調整に必要な範囲でクラスをまたいだ班編成を行う。


• 各班は、専科第一学年から最大 2 名まで協働登録学生(以下「専科助っ人」という)を登録できる。最大出場人数は 7 名とする。


• 専科助っ人は、戦闘、救護、探索、分析、防衛、搬送等へ参加できる。ただし、競技上の最終認証および核の支配認証は総合科登録学生のみが行える。


• 専科助っ人 1 名につき、得点制競技では最終得点から 1 点を控除する。2 名登録した場合の控除は合計 2 点とする。


• 戦術魔導具の持ち込みおよび使用は禁止する。


第 3 章 共通戦闘・安全規定


• 全選手は学院指定の《安全核》を装着する。重大な傷害につながる攻撃が成立すると、安全核が作動して攻撃を遮断し、発光・鳴動して「致命判定」を示す。


• 致命判定を受けた選手は、当該競技には復帰できない。致命判定は当該競技にのみ適用され、次の競技開始時には解除される。予選で致命判定を受けた選手も、所属班が準決勝へ進出した場合は準決勝へ出場でき、準決勝で致命判定を受けた選手も、所属班が決勝へ進出した場合は決勝へ出場できる。


• 本要項における「競技継続可能」とは、安全核が鳴動しておらず、致命判定を受けていない状態をいう。


• 安全核が作動しない範囲での負傷、疲労、魔力消耗はあり得る。ただし、本要項上の競技継続可否は安全核の鳴動の有無によって判定する。


• 敵選手を致命判定にしても、それ自体による得点は発生しない。戦闘は課題遂行、進路確保、防衛、妨害、目的物奪取等の手段として扱う。


• 一班の出場選手全員が致命判定を受けた場合、その班は当該競技から離脱する。


• 予選で全員が致命判定を受けた班は、その時点までに獲得した得点を確定して競技を終了する。進出判定には確定得点も含める。


• 準決勝・決勝では、自班以外の参加班すべての選手が致命判定を受けた場合、残存班をその競技の即時勝者とする。


• 精神干渉、身体内部へ直接作用する攻撃、生命維持機能の直接停止を目的とする術式、安全核への干渉は禁止する。


• 競技場の地形は魔法により変化し得る。運営が安全上必要と判断しない限り、競技中に生じた壁、崩落、冠水、凍結等は当該競技中そのまま残置する。


• 外部通信および観客席からの情報提供は禁止する。


• 競技中に使用できる遠隔通信手段は、学院指定の班内簡易通信魔法のみとする。この術式は大会前に全参加者へ共通術式として教授され、同一班の登録選手へ短い音声を伝達する機能のみを持つ。他の通信魔法、通信魔導具その他の遠隔通信手段は使用できない。


第 4 章 予選《広域課題戦》


4-1 競技概要


総合科 20 班すべてが同一の広域演習場へ同時に入場し、90 分間で課題を達成して得点を競う。


予選競技場の有効競技範囲は、概ね 600 メートル四方とする。


競技場には五つの課題区を設け、各課題区に 4 件、計 20 件の独立課題を配置する。


五つの課題区は競技場全体を五分割するものではなく、広域演習場内の離れた地点にそれぞれ点在する。課題区と課題区の間には、森林、草地、水路、起伏その他の非課題区域が存在し、各班は移動経路そのものを選択しながら課題区を巡る。


競技終了時の総得点上位 9 班が準決勝へ進出する。


4-2 課題区


各課題区は概ね 100~150 メートル四方とし、区内の異なる地点に 4 件の課題装置を配置する。各課題の《課題範囲》は、課題装置を中心とする半径 15 メートル以内とする。


同一課題区の 4 件は共通する専門領域を持つが、具体的な条件・難度・必要手順はそれぞれ異なる。


課題区の位置と主領域は事前公開し、各課題の具体的内容は競技開始後、現地の課題装置で開示する。


・課題区 破砕区

・主な評価対象 火力・精度・被害管理

・例 指定障壁の破壊、保護対象を残した限定破砕


・課題区 制御区

・主な評価対象 魔力制御・同時処理

・例 複数反応の同時安定化、出力の段階調整


・課題区 解析区

・主な評価対象 術式理解・応用

・例 異常箇所の特定、欠損術式の正常化


・課題区 救護区

・主な評価対象 診断・初期処置・搬送

・例 模擬負傷者の優先順位判定、安全搬送


・課題区 踏査区

・主な評価対象 探索・地形判断・経路選択

・例 指定標の発見、安全経路の選択、現地情報の照合


4-3 課題の挑戦・終了


• 各課題は一度達成された時点で終了し、当該予選中は再開放しない。


• 最初に課題装置へ個人登録を完了した選手の所属班が、その課題の挑戦権を得る。個人登録は総合科登録学生だけでなく、専科助っ人も行うことができる。


• 挑戦中、他班は同一課題装置を操作できないが、通常の戦闘・妨害は行える。課題装置そのものへの攻撃・破壊・改竄は禁止する。


• 挑戦班が棄権するか、個人登録を行った選手が致命判定を受けた場合、または当該選手が課題範囲から 10 秒間離れた場合、その課題は未達成状態で再開放する。


• 一班が複数の課題を達成することを妨げない。同一区内の別課題へ連続して挑戦することもできる。


4-4 得点


・項目 独立課題の達成

・得点 1 件につき 2 点

・備考 全 20 件。最初に達成した 1 班のみ得点


・項目 総合科残存ボーナス

・得点 5 名残存:2 点/4 名残存:1 点/3 名以下:0 点

・備考 専科助っ人は対象外


・項目 専科助っ人補正

・得点 1 名につき-1 点

・備考 競技終了後に控除。最大-2 点


・項目 敵選手の致命判定

・得点 0 点

・備考 得点ではなく盤面上の利益のみ


ここでいう「総合科残存学生」とは、競技終了時点で致命判定を受けていない総合科登録学生をいう。


順位は総得点で決定する。


同点の場合は、次の順で比較する。


1. 達成課題数

2. 最後の課題達成時刻の早さ

3. 総合科残存学生数


第 5 章 準決勝《継承核争奪戦》


5-1 組分け・競技時間


予選通過 9 班を 3 班ずつ 3 組に分ける。


予選 1~3 位を各組の第一シードとし、4~6 位、7~9 位から各 1 班を抽選で配置する。


競技時間は 60 分とし、各組 1 班のみ決勝へ進出する。


準決勝競技場の有効競技範囲は、概ね 300 メートル四方とする。


5-2 勝利条件


競技場中央に一つの《継承核》を配置する。《継承核》は片手で携帯できる小型の魔導具であり、選手が保持して移動できる。


継承核を確保し、自班のスタート位置にある《認証装置》まで搬送したうえで、総合科登録学生本人が認証装置に手を触れ、直接魔力を 10 秒間連続して流した場合、最終認証が成立する。


最終認証を完了した班を即時勝者とする。


• 最終認証中に認証装置から手が離れた場合、認証時間は 0 秒へ戻る。


• 遠隔魔力供給、他者を介した魔力供給その他、総合科登録学生本人が認証装置に手を触れない方法で最終認証を成立させることはできない。


• 継承核は何度でも奪取できる。保持者が致命判定を受けた場合は、その場へ落下する。


• 専科助っ人も継承核を搬送できるが、認証装置での最終認証は総合科登録学生のみが行える。


• 継承核の飛行・投擲等による搬送は禁止し、徒歩または身体強化を伴う直接携行を基本とする。


• 自班以外の二班の全選手が致命判定を受けた場合、その時点で残存班の勝利とする。


5-3 時間切れ


60 分以内に即時勝利が成立しなかった場合、競技終了時点における継承核の位置から、三班それぞれの認証装置までの距離を比較する。継承核が最も近い認証装置を持つ班を勝者とする。


複数班の認証装置までの距離が運営計測上ほぼ同一と判定された場合は、当該班のうち継承核の累積保有時間が最も長い班を勝者とする。


なお、累積保有時間も同一の場合は、競技終了時の総合科残存学生数で決定する。


第 6 章 決勝《六核制圧戦》


6-1 六つの核


決勝は準決勝各組の勝者 3 班で行い、競技時間は 90 分とする。


決勝競技場の有効競技範囲は、概ね 400 メートル四方とする。


競技場には、各班の開始地点に 1 基ずつの《主陣核》を配置し、さらに 3 基の中立《中継核》を配置する。


合計 6 基を総称して《六核》とする。主陣核・中継核はいずれも高さ約 1 メートルの柱状の魔導具である。


• 三つの主陣核は競技開始時、それぞれ対応する班の支配下にある。


• 三つの中継核は競技開始時、中立状態にある。


• 各核の状態は、「〇〇班支配中」「争奪中」「中立」のいずれかとする。


• 六核はすべて競技場内の所定位置に固定され、競技中に移動させることはできない。


• 主陣核も中継核も、競技開始後は同一の支配認証規則で奪取・再奪取できる。


• 主陣核を失っても班そのものは脱落せず、再奪取できる。


6-2 支配認証


核を自班の支配下に置くには、次の手順で支配認証を行う。


1. 総合科登録学生本人が、対象となる核の《認証部》に手を触れる。

2. 認証部に手を触れたまま、直接魔力を 10 秒間連続して流す。

3. 10 秒間の認証が完了した時点で、その核の支配権が認証を行った学生の所属班へ移る。


支配認証については、以下の規則を適用する。


• 支配認証を開始した時点で、その核は「争奪中」となる。


• 争奪中の核は、定時得点および完全制圧判定の対象外とする。


• 認証中に認証部から手が離れた場合、認証は失敗し、経過時間は 0 秒へ戻る。


• 認証が失敗した場合、核は認証開始前の支配状態へ戻る。認証開始前が中立であった場合は中立状態へ戻る。


• 遠隔からの魔力供給、他者を介した魔力供給その他、認証を行う学生本人が認証部に手を触れない方法では支配認証できない。


• 支配認証を行えるのは総合科登録学生のみとする。専科助っ人は防衛、妨害、援護を行える。


例 1:中立の核で A 班の総合科学生が認証を開始すると、その核は「争奪中」となる。認証部に手を触れたまま 10 秒間直接魔力を流し切れば、「A 班支配中」へ変わる。


例 2:A 班支配中の核で B 班の総合科学生が認証を開始すると、その核は「争奪中」となる。10 秒間の認証を完了すれば「B 班支配中」へ変わるが、完了前に認証部から手が離れた場合は「A 班支配中」へ戻る。


6-3 定時得点


競技開始後 10 分ごとに定時判定を行う。


判定時点で支配している核 1 基につき 1 点を加算する。


争奪中の核および中立の核は得点しない。


90 分終了時の最終判定を含む。


専科助っ人補正は、最終得点から 1 名につき 1 点を控除する。


6-4 完全制圧


一つの班が六核すべてを同時に支配し、かつ一基も争奪中でない状態を 10 秒間連続して維持した場合、《完全制圧》として得点に関係なく即時勝利とする。


完全制圧の計測中に一基でも争奪状態となった場合、計測は 0 秒へ戻る。


6-5 その他の勝利・順位条件


• 自班以外の二班の全選手が致命判定を受けた場合、残存班を即時勝者とする。


• 完全制圧および他班全員の致命判定による即時勝利が成立しなかった場合、90 分終了時の総得点で優勝班を決定する。


• 同点の場合は、①終了時支配核数、②競技全体の六核総支配時間、③総合科残存学生数の順で比較する。


第 7 章 競技場・情報公開


各競技場は森林、草地、水路、石造建築、丘陵、採石地形等を組み合わせて構成する。


主要地形と競技規則は事前公開するが、開始位置の細部、当日の障害物、課題の具体条件等は競技開始時または現地到達時に開示する。


規格外の魔法出力を持つ学生については、出力そのものを一律に制限せず、安全核の防護強度、監督教員配置および演習場外への影響防止によって安全を確保する。


演習場外へ影響する規模の魔法、基礎安全設備への攻撃は失格対象とする。


第 8 章 規約照会・教育評価


規約解釈に疑義がある場合、班代表者は競技運営委員会へ書面で照会できる。


組分けおよび最終規約確定後の変更は、安全上の緊急措置を除き原則として行わない。


大会の勝敗とは別に、教員は安全配慮、役割遂行、班内連携、判断の妥当性、準備および状況適応を評価する。


競技上の勝者が、教育評価において必ずしも最高評価となるものではない。


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