39♦愛しい人(episode遊真)
相川遊真、28歳、歯科医師として働いている。一緒に暮らしている彼女の百瀬佳子とは付き合って2年目になる。
イベントで4年前に知り合って、初めはだだ、可愛い子だな位にしか思わなかったけど、佳子からグイグイ来ててそれが凄く新鮮だった。
俺はどちらかと言うと中性的な女の子みたいな顔をしていると言われている。
その顔がコンプレックスだったけど、佳子はそれがいいらしい。
イベント仲間の間では佳子は有名でよく連絡先などを聞かれたりしていたが佳子はいつも「遊真くんが好きだから」と言っていた。
佳子は見た目が派手だがとても家庭的な子で美味しいご飯も作ってくれるし、仕事が忙しいのに料理以外の家事もほとんどしてくれる。毎日俺の弁当も作ってくれて同僚の先生達にいつも羨ましがられていた。
実は付き合ってから2年目に入ったし、俺も主任に昇進したからサプライズでプロポーズをしようと思っていた。いつもは医局で佳子の作ってくれたお弁当を食べていたが既婚者の先生にプロポーズのアドバイスが欲しくてその日は佳子のお弁当を断って一緒に昼飯を食べながら聞いていた。
「相川先生って彼女いたんですね。」みんな驚いていた。詮索されるのが嫌で彼女なしと言っていたからみんな俺がフリーだと思っていたからだ。
「実はもう2年になるんですよ、付き合ってすぐに同棲もしてて」
色々アドバイスを貰って次の休みの日にプロポーズしようとオシャレなレストランを色々リサーチしていたら佳子から体調が悪いから当分実家に帰ると連絡が入る。
体調は大丈夫かなと心配になったが実家に戻るなら安心だなと思った。
家に帰って真っ暗な家を見て寂しくなる。いつもは佳子が美味しいものを作って待っていてくれるから。テーブルの上におかず入ってるからとメモがあった。
冷蔵庫開けると俺の好きなおかずが入っていた。
電子レンジで温める。やっぱり美味い。
そして早く会いたくて仕方なかった。
どうしても寂しくて佳子が使ってる部屋で寝た。佳子のあの甘い匂いで満たされていた。
始めは次の日には帰ってくると思っていたが、帰って来ることなく1週間がすぎても佳子からはLINEも電話連絡もなかった。佳子が体調よくなるまで待っていたので俺からは送ってなかった。
でも流石にもう体調も治ってるだろう?と思い、電話した。
久しぶりに佳子の声が聞けて俺はすごく…いや、顔がにやける位、嬉しくて仕方なかった。早く会いたい。会って抱きしめて甘くて深いキスがしたいと思った。早く戻ってきて欲しい。いつ戻ってくるのか聞きたかった。聞きたかったのに……佳子からは違う言葉が返ってきた。
引っ越そうと思う?しかも今月末?いい物件が見つかったからと言っていた。今の家が気に入らなかったのかと聞いたが違うと言っている。じゃあどうして?
しかも来週には荷物を整理するって言っている。
体調不良で実家に帰ってただけだったのにどうして引越しの話が出て来るんだ?
俺の頭はパニック状態だった。大好きな佳子の要望は彼氏として叶えてあげたいって思ってる……思ってるがこの要望は絶対に聞けなかった。
どうしても引越しを阻止したかった。
この離れていた1週間だけでも寂しくて胸が張り裂けそうだったのに……ずっと、佳子と離れて暮らすなんて耐えられなかった。
だから佳子に物件の断りをいれるように言った。
佳子は「でも……」とか言っていたが、そんなの何がでも……だよ。俺は本当に寂しいんだよ。分かってくれよ……何とか色々言ってようやく佳子から「分かった」という言葉を聞けた。
しかも明日会えることになった。
実はお取り寄せしてた食材が届くことになっている後、一緒に楽しい時間を過ごせば佳子も引越しなんて今後言わないだろうと思ったんだ。
俺は明日会えるのが嬉しすぎてにやけながら廊下を歩いて個室に戻ろうとした。
ふと遠くを見ると佳子が知らない男と話してるのを見かけた。初めは知らない人かと思ったが、知り合いみたいで佳子は俺が大好きなあの可愛い笑顔をその男に向けていた。
その瞬間、俺の中で何かが弾けた。
俺は佳子に会いたくて会いたくて仕方なかったのに、寂しくてどうしようもなかったのに……
佳子は笑顔であの男の相手をしている。
俺の大好きなあの可愛い笑顔で……
しかも、男の車に乗って帰っていった。
引越すのは家が嫌なんじゃなくて、俺に飽きたから?
もう好きじゃないってことか?
そんなの許せる訳ない。
佳子は俺の彼女だ。絶対他の男になんてくれてやるもんか!!
明日まで待てなかった。電話をかけて今日家に来るように言った。
30分後佳子が来た。
1週間ぶりの佳子だ。嬉しくて嬉しくて仕方なかった。
抱きしめてキスをする。
かわいい顔が驚いてる。
もう無理だった。我慢してたから爆発してしまった
。
俺は佳子が呼吸ができない位キスをする。
「う……ふぅん……ふぅ」と佳子からとっても甘い吐息が漏れる。もうたまらない……このまま家に泊まって
アレして……って思いを巡らしていた。
佳子の顔もトロンとなってきた。
佳子が俺を求めてる時の顔だ。俺は嬉しくて仕方なかった。なのに……またその可愛い口で俺が嫌なあの事を言う。
「やっぱり、引越そうと思う。」と……
もう耐えられなかった。どうして?なんで?そんなに俺と離れたいの?佳子は平気なの?俺は泣きそうになって言う
「佳子はもう俺の事好きじゃないの?」
「好きだよ。でも……」言いにくそうに言う。でも……ってなに?何なんだよ。もう耐えられなかった。
「俺と別れたいって事?」涙がこぼれ落ちる。
「わか……え?遊真くん、泣かないでよ。」
「俺と別れたいから引越すって言ってるんだろ?俺は佳子の事大好きなのに捨てるんだ……」ボロボロ言葉が出てくる。
驚いた顔して佳子が言う。
「私の事大好き……なの?」
何?今更、分かりきった事言ってるの?って俺は思った。
「大好きだよ!この1週間会えなくて凄く寂しかった。お願い…俺の事捨てないでよ。悪いところ直すから」
俺は佳子を強く抱きしめて言った。
「……」
佳子がフリーズしてる。なんで?別れないって言ってくれないの?
心の中で思った言葉が口から出てきた。
「別れないよね?なんで別れないって言ってくれないの?」俺は無我夢中で佳子にキスをする。
「嫌がらないって事は佳子も俺の事好きだって思っていい?」俺が言うと佳子も答える。
「別れない……私も大好きだから。これからも一緒にいたい」佳子も泣いてる。佳子からやっと別れないと聞けて俺は心の中でガッツポーズした。
「よかった。今度から俺から離れようとしないで……分かった?」
「うん。分かった……ごめんね?」
「ううん。いいよ!じゃあ、今日からうちに帰ってくるよね?ずっと一緒だよ。」
「うん。大好き、遊真くん」
「俺も好き。あー佳子の匂いだぁ。ずっと寂しくて佳子の部屋で寝てたんだ。勝手に入ってごめん」
「それはいいよ。でも、私も遊真くんの部屋で寝たかった。」
「ごめん。部屋少し散らかってたから恥ずかしかったんだ。そうだ!これからは2人の寝室作ろう。結婚したら必要だし!」
「えっ!結婚?!」
「なんで?ずっと一緒って事は結婚するって事じゃないの?」
「ううん。結婚する。遊真くんのお嫁さんになりたい。」
この日は嬉しいのと結婚するからって思ってたから生で中に出してしまった。
1ヶ月後妊娠してる事がわかって、すぐに入籍した。
佳子の友達の有桜さんの旦那さんの提携してるホテルで結婚式と披露宴をさせてもらった。
俺があの時見た男は有桜さんの旦那さんだった。
あの時、佳子に戻ってきてと言って本当に良かった。
今、俺たちはマイホームを建てて娘と3人で暮らしている。佳子は2人目を妊娠中だ。
俺はこれからも佳子と子供達を幸せにしていきたい。
俺が佳子から幸せを貰っていた分以上に返していきたい。




