38◇解放(episode佳子)
私は百瀬佳子、24歳。エステサロンでエステティシャンとして働いています。お客様が美しくなるのを見るのが大好きです。趣味は推し(男)のコスプレをする事です。
後は相川遊真くんを化粧するのもすきです。遊真くんは28歳。歯科医師として働いてます。
遊真くんは顔が中性的でかわいい顔をしている。私が20歳の時にイベントで知り合ってタイプだったからもうアピールしたけど、見た目に反してクールな彼にはなかなか響かなかった。ある日酔った勢いで体の関係になった。今でも体の関係はあるけど、それだけ。
前にイベント仲間が私の事を彼女?って聞いたときに彼は違うと答えてた。
でも私は好きだから一緒にいる。家も半ば強引に遊真くん家に居候してる。
付き合ってないから同棲とは違うもんね。
今日は高校時代からの仲良しの美海ちゃんと有桜ちゃんに会う約束してた。
2人は子供の時からの好きな人と付き合って、有桜ちゃんは結婚してる。
2人の話を聞いてて凄く羨ましかった。
私も好きな人と恋人になりたい。
2人は私と遊真くんが付き合ってると思ってるから見栄をはって迎えに来れないか聞いてみたらOKしてくれて迎えに来てくれた。
美海ちゃんを送って家に帰って、お風呂入る前に明日の朝ごはんの準備をする。
遊真くんは忙しいから私がご飯を作っている。明日のお弁当のおかずも一緒に作っておく。
一応、遊真くんにも明日お弁当いるか聞くと明日はいらないと返事がある。
部屋はお互いのプライベート空間だから入った事はない。
エッチするのも私の部屋でする事が多い。
彼から求められる事もあるけど、ほとんどが私から誘っている。
出勤したけど、少し体調が悪くて帰ろうと思ってバス停に向かっていると、少し離れた所に遊真くんが見えた。
声かけようと思ったけど、仕事場の人もいたので辞めておいた。
「相川先生って彼女居るのかな?」と女の子が話していた。
「よくお弁当持ってきているし、いるんじゃないの?」
「でも前に聞いた時いないって言ってたよ」
「じゃあ、私、頑張っちゃお!!」
かわいいなぁと思った。私と違ってふわふわ綿菓子みたいな女の子だった。あの子が遊真くんの隣にいるとよく似合うなぁと思った。
家に帰ってからしんどくなったけど、薬を飲んでおかずを作ってタッパーにいれておく。
遊真くんには体調が悪いのとうつしたらダメだから当分実家には帰ることを伝える。
【わかった】とだけ、返ってきた。
1週間後、私は美海ちゃんと有桜ちゃんと美海ちゃんの婚約者の小川潤也先輩のお店に来ていた。
2人が本当に幸せそうで私も嬉しかった。有桜ちゃんからもうれしい報告もあった。
御手洗へ行った帰りに遊真くんがいるのが見えた。メンバーはイベントの時の仲間達だった。
そこにふわふわ綿菓子女子達が近づいて遊真くんに言った。
「遊真~彼女と…………どう思ってるの?」途中聞き取れなかったけど、遊真くんは「しんどいよ。」と返事をしていた。
何の事を言ってるのかなと思って近づいて聞いてたら仲間の1人が
「遊真、佳子ちゃんの事しんどかったんだな」
「そりゃァそうだろう?」と言っているのが聞こえた。
遊真くんの表情は分からなかったけど、「あぁ」って言っていたのが聞こえた。
私は無我夢中で個室に戻ってきた。
有桜ちゃんが私の表情を見て心配して言う。
「佳子ちゃんどうしたの?」
美海ちゃんと小川先輩、有桜ちゃんの旦那さんの有坂先輩も来ていた。
私は泣いていた。
「ごめん。本当は彼とは付き合ってなかったの。皆が羨ましくて…嘘ついてごめん」
「そんなのいいよ!どうしたの?」
みんな私の話をゆっくり聞いてくれた。
有坂先輩が
「で?どうする?このまま一緒には住めないよね?」
「はい。」私が答える。
「有坂ホールディングスは不動産もしてるから紹介しよか?」
「いいんですか?」
「良かったね。佳子ちゃん」
久しぶりに遊真くんから電話がきた。
「もしもし。体調はもう大丈夫なの?」
遊真くんが心配してくれる。嬉しい気持ちになったが、あのしんどいって言葉が頭の中でこだました。
「もう大丈夫だよ。あのね。遊真くんのお家に今まで住まわして貰ってありがとう。実はいい物件があってそこに今月末に引っ越そうと思うの。今まで甘えててごめんね。荷物も来週中には片付けるね。」
遊真くんは黙ったまま何も喋らなかった。
いつもなら私が提案した事は二つ返事でOKしてくれるのに返答がなかったからもしかして聞こえてなかったのかな?と思い遊真くんの名前を呼んでみる。
「遊真くん?」
「何でいきなり引っ越すの?」
「え?」
「ていうか、体調悪くて実家に帰ってただけなのになんでそういう話しになるの?しかも俺に一言も相談なし?」はぁ……っと遊真くんが大きなため息をつく。しかも意味わかんないと言ってる声も聞こえてきた。どうしよう。凄く怒ってる。そりゃあそうだよね。ただでさえしんどい存在のセフレ相手に疲れちゃったんだろなと思った。
「ごめんなさい。いつも勝手で迷惑かけてたよね?」声が震える。
「別に迷惑かけられてないけど、今、迷惑とかの話してないよね?何で突然引っ越すのか聞いてるんだけど?」
遊真くんの声がさらに鋭さを増していく。
「それは…いい物件が見つかったから……」
「じゃあ俺の家は佳子にとっていい物件じゃなかったって事?」
「遊真くんの家はいい物件だよ。立地もいいし、綺麗だし…2年間凄く住みやすかったよ」
私は何とか遊真くんの怒りを抑えようと必死だった。
「じゃあ。引っ越す必要ないよね?」
「え?」
思わず変な声が出てしまう。
「その物件断ってきて。」
「でも…」
私は遊真くんに迷惑かけてるからって言おうと思ったんだけど、言う前遊真くんが言う。
「わかった?」凄い圧を感じる話し方だった。いつも優しい口調の遊真くんが今違う人に見えた気がした。何て返したらいいんだろって悩んで私が黙っていると遊真くんが言った。
「わかった?佳子?ちゃんと断っておくんだよ。後、明日の仕事終わったら家に戻っておいでよ。前に頼んでたお取り寄せ届くし俺も早く終われるから夕ご飯作って待ってるから。」
「え?わかった」
「じゃあ。また明日ね、ゆっくり寝て。おやすみ」
どういう事だろう?私の頭はパニックになってしまった。遊真くんはいつも私の押しが強いからか私の言うことに大体肯定してるのに今回は凄く否定してきた。
「ピーチさん。俺の車で一緒に送っていくよ。」有坂先輩こと彫刻先輩が話しかけてきた。
「彫刻先輩、さっき彼に言ったら物件を断るように言われたんです。なのでさっきの話、少し保留でもいいですか?」
「構わないよ。君は有桜の大事な親友だからいつでも俺でできる事なら相談のるよ。」
「ありがとうございます。てか彫刻先輩ってそんなに優しい顔出来たんですね。」
「君が有桜の親友だからだ。」
「有桜ちゃんに感謝しないといけませんね。」
送って貰って会社の寮に着く。彼には実家に帰ると言ったが両親は田舎の祖父母の家に帰ってもう実家はなくなっていたのだ。寮についてすぐに電話がなった。
遊真くんだった。
「今どこ?」なぜかまた怒ってる気がした。
「家に着いたよ。」明るく答えた。
「明日って言ってたけど、今から会えない?」
遊真くんから珍しいなぁって思った。それにさっきより口調も優しくなってる。
「わかった。今から行くね」と答えすぐに準備をして遊真くんの家に向かった。
家に着くとすぐに遊真くんからキスされる。
思考がふわふわしてしまう。だめだめ!!離れるって決めたんでしょ?!と自分に言い聞かせて
「やっぱり引越そうと思うの」と言うと遊真くんの口から私が想像してない言葉が次々と出てくる。
「別れるつもり?こんなに俺は好きなのに」とか言う。
ええ?どういう事?私達セフレじゃないの?でも遊真くんは付き合ってるって言ってくれた。
嬉しすぎて頭がパニックになる。
しかも結婚しようとまで言ってくれた。
夢じゃないよね?
すっごく幸せ。
仲直りエッチの時も愛してるとか可愛いとかずっと一緒にいて、この1週間寂しかった。離れないでと言われる。もうなんなの?これ以上好きになったら私がパンクしちゃうよ!
久しぶりのエッチは本当に気持ちよかった。気持ちが入ってるのと入ってないのでは幸せ度も違うって事がわかった。
私はこの際に気になることを全部聞いてみた。
「何で職場の人には彼女いないって言ってたの?」
「仕事場の人達には詮索されるのが嫌で彼女はいないって言ってたんだ。佳子の写メ見せてとか言われるし佳子の可愛い顔を見せたく無かったし…」嬉しいのを必死に堪える。
「そっかぁ。でもイベント仲間にしんどいって言ってたのは?」
「だって、体調悪くて実家に帰るって言っても正直1週間も会えないなんて思わなかったんだよ……次の日には会えると思ってたし、しかもLINEも電話もなかったから本当に寂しくてしんどかったんだ…」
「でも!!遊真くんからもなかったじゃない?」
遊真くんは困った顔をして言う。
「だって……体調悪いって言ってるのに俺から送れないじゃん。待ってたんだよ。佳子が体調よくなるの。でもあんなに連絡ないなんて思わなかったんだ。本当に寂しくてどうにかなりそうだったんだ。しかも佳子が他の男と喋ってるし……あんなに可愛い顔して……佳子の可愛い顔を見るのは俺だけだろ?もう絶対に他の男の前であんなに可愛い顔しないで!!わかった?次見たら俺嫉妬で狂っちゃうよ。」
もう可愛すぎて笑顔になってしまう。
「分かった。でも遊真くんも患者さんはいいけど他の女の子には笑顔禁止ね!!私だけ甘やかしてね」
「分かったよ。」ちゅちゅとキスしてくれる。
お互いに抱きしめあって眠った。
とっても幸せな夜だった。




