34♪勘違い(episode志帆、潤也)
営業課に同級生が勤めている。その子に聞く。
「圭吾ってまだ仕事?」
「社長なら……エレベーターに乗って降りたよ」
「わかった!ありがとう」
圭吾の退社時間に合わせて電話する。同級生で小川潤也くんのお店でご飯をたべてた。
「もしもし」
「圭吾、皆で小川くんのお店でご飯食べてるからおいでよー。小川くんもいるよー」圭吾と小川くんは親友だから絶対くると思ったのに……
「有桜と一緒に食べるから行かない。」また有桜!あんな契約妻なんてほっとけばいいじゃない!
「志帆!圭吾なんて?」隼人が聞いてくる。私はスピーカーにして喋る。
こっちは喋るのに圭吾からの返答がない。
電話切れてる?と確認しようとおもってスマホをのぞいた次の瞬間凄い声が響く。
女の甘い声。
「うん、はぁん、気持ちいい、けいごくぅん。」
「やっばぁ、喘ぎ声じゃん。」
「めっちゃAVより色っぽい」
「これって圭吾の奥さん?」
「声かわいい」
一緒にいた男達が口々に言う。いつもビッチと有桜をバカにしていた隼人でさえ興奮してるのがわかった。
私は手を握りしめて白くなってきた。
圭吾の声が聞こえてきた。その言葉に私は驚愕する。
「有桜、俺が水川と喋ってて妬いちゃった?」
水川?別れてからも圭吾は私の事は志帆って呼んでたのに……
「俺が好きなのは有桜だから水川の事嫉妬しなくていい。」
ぇ?圭吾は私の事が好きなんじゃなかったの?
「嬉しい。ありがとう。圭吾くん。キスして」
「わかった。かわいい俺の奥さん」
ちゅっちゅっという音が響く。
ブチっと通話が切れる。
目の前に小川くんが怖い顔をして立ってる。
「人の情事を盗み聞きなんて……恥をしれ!」
「向こうが始めただけで、私は」
涙をためて上目遣いで言う。
「始まった時点で切ったらいいだろ?デリカシーなさ過ぎて吐き気がする」
冷たいまるで汚物を見るような目で私を見る。
「潤也、志帆も突然でびっくりしただけだろ?そんなに怒るなよ」隼人が助け舟をだす。
「だから何だ?自分のアレの始末してから言えよ。後、お前らもまさか圭吾の奥さんを夜のオカズにしないよな?」
「そんな事するわけねーだろ!」隼人が慌てて言うから寧ろ怪しく感じる。
今まで散々ビッチとか言ってたくせに!
私が勘違いしたのも隼人が煽ってたのもあるから悔しくなってつい言ってしまった。
「隼人!圭吾は私の事好きって言ってたじゃない!!あれは嘘だったの?」
涙目の私を見て隼人が慌てふためいている。
小川くんが冷めた声で言う。
「何を勘違いしてるんだ?圭吾と君はもうだいぶ前に別れてるだろ?しかも圭吾は既婚者だ。既婚者を誘惑してたのか?水川、お前の方が有桜ちゃんよりビッチだろ?お前達、気持ち悪いからもう俺の店にはこないでくれ。店が穢れる」
私のせいなの?
圭吾は別れてからも優しかったわ。勘違いしちゃうでしょ?
でも待って?有桜って圭吾を体で籠絡して契約妻になったのよね?今は圭吾も有桜の体に夢中だから好きだと思ってるんじゃない?
あぁ~なるほど。
体の気持ちよさを好きと勘違いしてるんだわ。
なら……私は圭吾が飽きるまで待ったあげよ。
圭吾みたいな好物件を逃すなんて無理だもん!
はぁ圭吾早く私の所に帰ってきて。
志帆の顔を見てこいつ……絶対勘違いしてそうだなと潤也は思っていた。
圭吾は本気で有桜ちゃんに恋をしてる、それはこの間の有桜ちゃんの幼なじみ達に向けていた圭吾の目つきで分かる。
あの後圭吾から嫉妬しすぎてかなりのお仕置をしたと聞いている。それ位好きなのだ。
もし有桜ちゃんと別れることがあったとしても(多分ないと思うが……)このあざと女の元に戻る事なんて二度とないだろう。
どこからこの自信がくるのか?
ある意味おめでたい頭だなと思っていた。
圭吾にLINEを送る。
【有桜ちゃんの喘ぎ声とお前の告白、水川に聞かれてたぞ。】
【あまりにも勘違いしてるから思い知らせてやったんだ。俺の唯一無二の女は有桜だってな】
【まぁそれでも水川はまだ圭吾は自分のこと好きだと思ってるぞ】
【はぁ?勘弁してくれよ。まぁ歓迎会でサプライズあるからそれで気づくだろう】
【それより、有桜ちゃんの声、隼人達も聞いてたぞ!今夜のオカズにされてるな。】
【ぁぁ?絶対殺す】
【まぁ頑張れ】
あれはかなり怒ってるから多分隼人達は死んだな。
圭吾と有桜のらぶらぶ度を見させられて不意に潤也は美海に会いたくなった。思わず電話をかける。
「もしもし?潤くんどうしたの?」
「どうしてるかなって思って。」
「うん?元気だよ~」
「そっか……美海ちゃんに会いたい。」
「え?今から?」
「うん。忙しい?」
「後30分後でもいい?」
「OK!なら俺の店で待ってる」
やったぁ!まさか会えるなんて!ウキウキで待っていたらちょうど30分後に美海が来た。
俺は個室に案内する。
「何か食べる?ぱぱっと作って来よっか?」
「うん。でも、潤くんはココにいて欲しいかな?」
「分かった。」
俺はインカムで部下に何か作って持ってきて貰うように言う。
美海ちゃんは俯いて頬が少しピンク色になっていた。
「美海ちゃ」
「潤くんて今彼女いるの?」
「いや、いないけど……」
「じゃあ好きな人は?」
「いるよ。」
これはどういう事かな?前にも聞かれた事あったけど、その時は友達が俺を好きで~みたいな流れだった。
あまりに期待して落とされたらキツイなぁと思ってると美海ちゃんが俺に抱きついてきた。
「えぇ?!美海ちゃん??」俺はパニックになっていた。
「潤くんは私の事どう思ってる?私は昔から潤くんが大好きなの…私の夢はずっと変わらない……潤のお嫁さんにして欲しい。だめ?」
え?!ちょっと追い付いていけない。美海ちゃんが俺のお嫁さん。やばっ嬉しすぎて涙出そう。
「俺も美海ちゃんすぎだよ。結婚前提で付き合う?」
「うん」涙を流しながら美海ちゃんがキスしてきた。
「大好き。潤くん。ずっと一緒にいて」
「分かった」
俺は笑顔で答えた。どうしていきなり告白になったのか聞いたら、俺がお見合いをすると両親から聞いたらしい。それで告白してくれたらしい。実際には俺の弟が見合いするのだが。結果的に美海ちゃんと付き合えたからいっか!美海ちゃんを送って行った。
離したくないと言って美海ちゃんからキスをしてきた。明日も仕事だから今度泊まりにきてねと可愛くいわれた。さぁ!残りの仕事がんばろ!今日は最高の日だな。




