29♤嫉妬の嵐(episode圭吾)
「じゃあ行ってくる。」玄関に有桜がパタパタと走ってくる。
「圭吾くん。待って、これお弁当!よかったらお昼に食べて」
「ありがとう」
「気をつけて行ってきてね。」首に手をまわしてキスしてくる。いつもは恥ずかしがってる有桜が珍しいなぁとおもっていた。
「今日は母さんと買い物行くんだよね?楽しんできてね」
「うん。ありがとう」少し長めにキスされる。
ちゅぱっと唇が離れる。
「行ってらっしゃい~」笑顔で手をふったので俺も振り返して出勤する。
行ってきますとおやすみのキスをしたいとおねだりされてしまった。
可愛いからするんだけど……
初めは恥ずかしがってたけど今は大丈夫みたい。
いつもは一緒に出勤するため同じ位の時間で玄関を出る。門まで距離があるから使用人以外誰も見てない。
使用人達も有桜が恥ずかしがると思ってその時間は外に出てこない。時間で言うと1分くらいキスをしてくれる。始まりは有桜からスタートだ。俺からではダメらしい。
とにかく有桜がしたいキスをひたすらする。もっと激しくしたくなるけど、ガマンだ!まぁエッチの時は俺の好きな様にしているからおあいこだ。
今日はどうしても買い物したいとの事で有給を使って休んでいる。
それでお弁当を作ってくれた。早くお昼にならないかな。楽しみで仕方ない。
昼休憩になった。
いつも一緒にご飯を食べる営業課の部長に誘われる
「社長、お昼いきましょ!」
「ごめん。今日は弁当なんだ。」
「了解です!」
俺が弁当と聞いて営業課と秘書課はざわついていた。
「社長、いつも社食なのに今日はお弁当らしい。」
「えっ!?手作り?」
「高級弁当買ったとか?」
「明らか手作りだったよ。」
「社長の彼女かな?」
「え!どんな人なんだろう?社長の射止めるなんて絶世の美女でしょ」
「もしかしてこの間来てた水川さんかな?」
外のざわつきなんて俺は知る由もなく、有桜が作ってくれたお弁当をあける。
カリカリ梅が入ってるおにぎりと昆布としらすのおにぎりが1つずつに、ネギ入り卵焼き、唐揚げ、きんぴらごぼう、ブロッコリーのサラダ、タコさんウィンナー、かぼちゃの煮物が入っていた。
スープジャーの中には豚汁が入っていた。
健康的な弁当で全部美味しそうだ。
秘書課は近藤部長含めて皆お昼はお弁当だった。当然、有桜もお弁当を作っていた。
おかずを5日分作り置きして、それを毎朝詰めていた。
実は料理長にたのんでこっそり夜食に食べた事があるがお世辞抜きでとても美味しかった。
江原さんから有桜はお母さんと二人で暮らしていたのでご飯をずっと作っていたそうだ。
今回のお弁当のおかずは全て俺のリクエストだ。というか前、有桜が作っていたのを盗み食いした中で1番美味しかったラインナップだ。
さぁ食べよう!うっっまぁ!何これ。胃袋掴まれる。
有桜ちゃん結婚してくれ!ってしてたわ!
ずっと笑顔だった。
近藤部長が入ってきた。
「社長。今日は佐藤さんの愛妻弁当ですか?」
「あぁ、そうなんだ。今日は休みだから俺の分を作ってくれたんだ」
「良かったですね」
「そうだなぁ」
有桜の弁当のお陰で午後からの仕事は順調だった。あのLINEを見るまでは……
3時過ぎ近藤部長が社長室にきた。
「社長。佐藤さんからLINEが来まして。夕飯は苑様と大奥様と召し上がるそうです。」
「分かった。」俺の頭の中は?がいっぱいだ。
なぜ俺じゃなく近藤部長に?
内線して近藤部長にきてもらう。
「佐藤さんから来たLINEを見せてくれないか?」
「え?はい。承知しました。」
見た瞬間、体中の血液が逆流するようだった。
何だ?この可愛い絵文字の文面……
それに、母さん達と撮った可愛い笑顔の写メ……
最後にお仕事がんばっねの横にハートマーク。
噴火する1歩手前だった。ここが家ならもう噴火してるだろう。
「社長と間違えて送ってきたんだと思います。私とはいつもこの様なメールじゃないので。」
フォローをしてくれるが、間違えたんだと思う。もちろん思うが、逆に間違えてなかった方が問題だろ!
文面はまぁ百歩譲っていいとして、いや良くないが……
俺だけしか見ることなかったはずのあの笑顔の写メを他の男が見たかと思うと……嫉妬が止まらない。
あのかわいい笑顔は俺だけの物だろ?
有桜に電話をかける。
母との話に夢中なのか出ない。
普段ならそれで終わるのに今日は止まらない。俗に言う鬼電をかけてしまう。
繋がって間違えたっていわれたのにまだおさまらず切ってしまった。
後から冷静になって、LINEを送ったけど未読で既読にならない。
まさか?ブロックされた?いやいや。有桜に限ってそんな事ないだろと思い。何回か送るも全て未読。
どうしよう……怒らせてしまった。
慌てて電話をかけるが電源が入っていませんという無機質なアナウンス。
冷静になったら電源切ってるって分かるのに焦ってしまって何も考えられなかった。
時間は刻刻過ぎていき。会議の時間になった。
返事がない事がきになって内容がよく分からなかった。
後日、もう、1度練り直す様にと統括部長が言ったので、何とかなった。
考え無いように一心不乱に仕事を終わらせる。
終わってからも連絡ない。
駐車場から車に乗って退社する。
頭の中は不安でいっぱいだった。
留守電に謝罪のメッセージをいれる。
電話がかかってきた。
0.5コールでとった。今から15分以内に駅まで迎え?!
とにかく急いだ。
車じゃなく、走っていった。
ギリギリ15分に着いた。
向こうから笑顔の有桜が近づいて来た、俺は有桜を抱き上げ「大好きだよ」と言うとキスしてくれた。
二人だけの甘い時間。
ひとりで走ってきた道をふたりで手を繋ぎながら帰る。
「圭吾くん。ありがとう」
「うん?俺こそ許してくれてありがとう」
「帰ったらいっぱいギューしてもいい?」
「いいよ。」
「ふふ。今日は離したあげない」
「奥様の仰せのままに」
気持ちのよい夜風にあたりながら家路につく。
明日はもっと楽しい日になりますように。
そしてもっと有桜が俺を、好きになりますように。




