11♡圭吾の看病(episode有桜)
昨日約束した通りに圭吾は朝から甲斐甲斐しく有桜の看病をしてくれた。有桜は流産の影響や今までの仕事の疲れが出て体がだるくて仕方なかった。使用人からマッサージの仕方を聞いた圭吾が全身マッサージをしてくれる。
また、有桜の好きなカモミールティーも入れてくれた。
「疲れてる時は蜂蜜をいれるといいよ。」と言ってた蜂蜜入の物を目の前に出してくれた。
「ありがとうございます。圭吾さん」笑顔で答えて一口飲む。カモミールのいい香りと蜂蜜の甘さで、心がほっこりする。
「とってもおいしい」自然と笑顔になる。
「それなら良かった」ニコッと笑う圭吾は本当にカッコイイというか美しい。独り占めしてるような気分になる。
「俺は仕事をするよ。有桜は何する?本でも持ってこようか?テレビでも見るか?」
「本が読みたいかな。」
「わかった。誰か有桜に本を持ってきてくれ」
使用人が私の好きな恋愛小説を持ってきてくれる
パソコンのキーを叩く音と本をめくる音、たまに飲み物をすする音のみが部屋に静かに響く。
この沈黙がなぜか心地よい音楽のようだった。
お互いに没頭していたためお昼の時間になっていた。
江原さんが部屋をノックして入ってきた。
「まぁ旦那様。私共の仕事を奪ったのですから奥様のお世話をちゃんとして頂かないと!」江原は腰に手を当てプンプンした顔で圭吾様に言っている。
「すまなかった。仕事に没頭していた。」
「奥様の飲み物が終わっておられますよ!これだから男性は気が利かないと言われるんですよ。奥様のお世話をしたい者は何も旦那様だけではないんですよ!」
「わかった。わかった。有桜ごめんね。」こちらを見ている顔は助けを求めているようだった。
「江原さん。圭吾さんは凄くよくしてくれてますよ。マッサージもだし、このカモミールティーもいれてくれたんですよ。」江原さんに笑顔で言う私を見て江原さんは「もう奥様は旦那様に甘すぎです。」と呆れたように言う。
「まぁまぁ江原さん。坊っちゃまは仕事ばっかりで女性のお世話になれてないんですよ。」と高屋さんが言う。
「高屋さん。もう坊っちゃまは辞めてくれ」慌てて圭吾は言う。
「これは失礼しました。旦那様。奥様も失礼しました。旦那様がまだ子供の頃からお世話をしていたのでつい昔の癖が出てしまいまきた。」4人で笑う。
温かい昼食を食べる。昼からは義母が来てくれて色々お喋りする。
夕食も念の為、部屋で食べてからお風呂に入る。
圭吾も一緒に入ってくる。
「圭吾さん自分で入れますから」慌てて私が言う
「そんなに慌てなくても何もしないよ。洗ってあげるだけ」そう言って洗ってくれる。彼が言った通り本当に洗うだけだった。何か拍子抜けしてしまう。
【触るぐらいならいいのに……何言ってるの有桜!圭吾さんは私のお世話をしてくれてるだけなのに何考えてるの!!】邪念を払うように水をかける。
「どうした?触って欲しかった?」クスッと笑って彼が言う。
「そっそんなことないよー!!」真っ赤になってしまう。
「本当かな?」意地悪な顔で圭吾がのぞいてくる。
その時彼が私を横抱きにし一緒に浴槽に入った。
「へっ?!」変な声が出てしまう。
「一緒に浸かろう。二人で入った方が温かそうじゃない?」そうかな?って思ったけど気にしないようにした。
私は彼の膝の上に横抱きに抱かれたままの姿勢で座っていた。彼も私もタオルを巻いてるが彼の鍛えられた胸板に顔をつけるとドクドクと彼の鼓動が聞こえてくる。
「有桜。寒くない?大丈夫か?」と彼が聞いてくれる。
「うん。大丈夫です。」と答える。
彼の鎖骨に目をやり思わずそこにキスマークをつけた。本当に無意識にキスをしていたのだ。
「そこじゃなくてここにしなよ。」と圭吾は自分の口に指をさす。
「ご、ごめんなさい。わざとじゃなくて。なんでだろ?何か突然」と恥ずかしくて俯く。突然彼に引かれてないか心配になってきた。ほっぺたを両手でつままれる。
思わず上をむくと食べるように彼にキスをされる。
舌をいれられ甘いキスをされる。
「こら。有桜ちゃん。俺はものすごく我慢してるんだからね。」
「ごめんなさい」
「1ヶ月はエッチ出来ないからね。今はこれで我慢してあげる。わかった?1ヶ月後には我慢しないけどね」イタズラっぽく笑う。
実は契約書にふれあい項目で報酬を払うとあった。行為を行う度に圭吾は有桜から聞いた指定の通帳に振り込んでいたが有桜は契約後に返すつもりで1円も使ってなかった。好きな人と出来る行為を対価の為と思いたくなかったからだ。圭吾にとってはそうかもしれないが有桜はそんな風に思いたくなかったから……
「分かりました。1ヶ月後にはお礼にサービスします。」
「何かな?楽しみにしとく。そろそろ上がろう」また有桜を横抱きに脱衣所へ向かう。
お互いに着替えて寝室のベットへ向かう。
圭吾はまだ仕事が残っているとのWeb会議をするとの事で書斎へ向かう。
有桜は美海へ電話をかける。
「もしもし。美海ちゃん。実は流産したの。」
「えぇ?!本当に体は大丈夫なの?」
「うん。家庭医の林先生に診てもらったけど、ちゃんと療養して1ヶ月後にちゃんと排卵していたら大丈夫みたい。」
「それなら良かった。お世話しにいかなくて大丈夫?」
「うん。お義母さんもきてくれて、今日から圭吾さんが1ヶ月お休み取ってくれたの」
「まじ?!あの有坂社長が?実は有桜ちゃんの事好きなんじゃない?」
「そんな事ないよ!契約結婚なんだもん。きっと圭吾さんは真面目だから責任を果たそうとしてるんだよ。」
「そうかな?違うと思うけど」
「美海ちゃんの勘違いだよ。」
「有桜ちゃんがそういうなら分かったよ。じゃあまた私も来週お見舞いに行ってもいい?」
「うん。ありがとう」美海と電話を切ってから手術予定だった病院の予約ページから予約取り消しをする。
真っ平らのお腹をさすらながらもういない我が子に向けて言う。
「ごめんね。でも本当はママ、君がここに来てくれて嬉しかったんだ。きっといつかママのお腹に戻ってきてね。待ってるよ」灯りを消し眠りに落ちる。




