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早瀬湊の日常  作者: 彩心
運動会

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18/20

本番 中編

 午後イチの応援合戦に向けて、俺達は昼ご飯を早く食べ終えた。


 空き教室で俺達応援団は、衣装の学ランにみんなで着替える。


 「おぉー、かっけぇー」


 初めて着た応援団の衣装に、俺はテンションが上がった。


 長ランには副団長の刺繍も入っている。


 白のタスキをかけて、腕章も付ける。


 最後に白い手袋をつけると、気持ちがビシッと引き締まった。


 「なんか……応援団って感じ」


 「応援団だろ」


 俺の感動に要がツッコンでくる。


 「うるさ……は?」


 要の方を向くと、爆イケ男がそこに居た。


 「お前……それはズルいだろ……」


 「何がだよ」


 要は少し長めの自分の髪を、ハーフアップに適当に縛っていた。


 それが応援団の服と合いすぎて、爆イケ男が誕生していた。


 「お前……突然腹が痛くなったりしない?」


 「しねーよ。湊、何なんだよさっきから」


 「いや……お前かっこよすぎない?」


 要は一瞬俺を見て、呆れた目を向けてきた。


 「……何を今さら言ってんだよ。俺はいつでもかっこいいんだよ」


 そう言って、トンっと俺の胸を軽く殴ってきた。


 「いつもなら腹立つのに、今日は……くそっ、悔しい」


 「ハハッ、ごめんな。俺がかっこよすぎて」


 やっぱり、ムカつく。


 これじゃ俺、確実に空気じゃん!


 奈帆ちゃんも、絶対要の方見ちゃうじゃん!


 ……待てよ。


 要でこれって事は……。


 俺は慌てて朝陽の方を見る。


 「あれ? 朝陽は?」


 「ん? アイツどこ行った?」


 その時、ガラッと教室のドアが開いた。


 着替え終わった朝陽がそこに立っていた。


 「なんだよお前。もう着替え終わってたのかよ」


 「あぁ、髪の毛セットしてきた」


 な、なんだよ……なんだよ、なんだよ!


 ビジュが天才すぎるだろ!


 髪なんかハネさせちゃってさ……。


 いつもの適当朝陽はどこへ行った!


 「朝陽! なんでそんなやる気満々なんだよ!」


 「え? だって、午後から本気だすって言ったじゃん」


 「言ったけどさ……」


 「それに、田中君だっけ? その子のためにも頑張らないとな」


 朝陽は珍しく、フワッと柔らかく笑った。


 「そうなんだけど……、そうなんだけど!」


 田中君の事情を聞いて、文句も言わずに二つ返事で頷いてくれた事はありがたい。


 でも、ここまで本気を出さなくても……。


 感謝の気持ちと嫉妬心が、俺の感情をぐちゃぐちゃにする。


 「あー……」


 「要、今の湊使いものにならないから、フォーメーションだけ確認させて」


 「そうだな。練習中に撮った動画あるから送る」


 「助かる。ありがとな」


 2人はスマホを見ながら、真剣な顔をして何かを話し合っている。


 「はぁー……かっこいいな」


 外見はもちろんだけど、田中君や応援団のために真剣になってさ。


 俺は自分が目立たないって、ねて……。


 かっこ悪い……俺、めちゃくちゃダセェ。


 「はぁー……」


 俺は大きなため息を吐いた後、頭をガシガシきむしった。


 今回はもう、モテとか気にしない!


 こいつらと張り合おうなんて無理だ。


 俺は朝陽達を見た。


 俺も伝説を刻む側になる!


 朝陽と要の元へ行き、俺も振りの最終確認をした。


 ──やってやる!


 


 


 


 


 

 

 




 

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