表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
94/121

第九十四話:壊れた傲慢! 敗北した者たちが持ち帰る、聖域の恐怖!

聖域を侮った不良三人組に、怒りの報復!

動物たちの連携プレイが炸裂し、森には悲鳴が木霊する。

傲慢な侵入者たちに思い知らせる、本当の「野生」とは?

アイギスの無慈悲な追撃から、失神してから1分経過して起き上がって、命からがら森の闇へと転がり込んだ武田、小林、大野の三人は、息を絶え絶えにしながらも、その心には歪んだ復讐心と敗北の屈辱が渦巻いていた。

「クソッ!!……あんな鉄クズの化け物に、殺されるくらいなら逃げるぞ!!」

小林が泥にまみれた顔で叫ぶ。

「誰がそこに住んでいるのか知らねーが、覚えてろよ!! 所詮はゴーレムだろうが! 俺たちの神聖なクエストの邪魔をしやがって、次こそは勇者の蓮に泣きついて、この森ごと焼き払ってやる!!」

大野が悔しげに壊れかけた剣の柄を握りしめ、地面を激しく叩きつけた。

「せっかく手に入れたレア素材を、ここで台無しにされてたまるか!!」

武田が怒りに震え、後ろを振り返りもしない。彼らにとって、この森はただの「狩場」であり、あの荘厳な館は「宝物庫」にしか見えていなかった。

しかし、彼らの不運は、まだ終わっていなかった。

森の木々がガサガサと激しく揺れ、先ほどまでアイギスに圧倒された恐怖が蘇る――かと思った瞬間、彼らの行く手を阻むように現れたのは、さらに理不尽な光景だった。

「ガルルルッ!!!」

低い、地鳴りのような唸り声。振り返った先には、現世の知識で見た「トラ」そのものが、獲物を狙う鋭い瞳で彼らを睨みつけていた。

「ハァ?……トラ、だと?」

武田が呆然と呟く。

「いや、おかしいだろ! この世界、馬や犬すらろくに見かけない僻地だぞ!……アレか? 動物に擬態した高等魔物ってやつか!」

小林は恐怖を隠すように叫ぶが、その声はひどく震えている。

「まぁ、あのゴーレムに痛い目は見たが、たかがトラ一匹なら、俺たちの剣さえあれば……!」

その慢心が、彼らの破滅を決定づけた。

「グウゥオオォォッ!!!」

森の木々をなぎ倒す勢いで現れたのは、巨大なクマ、グリズ。

「カァッ!!! カァッ!!!」

空を埋め尽くすようにしてレイ率いるカラスの群れが急降下し、彼らの視界を容赦なく遮る。

三人は、それが「ただの動物」だと信じていた。それゆえの油断。

しかし、彼らが対峙しているのは、聖域の主・奏多が召喚し、過酷な森を生き抜くために進化した「異能の猛獣たち」だ。

――聖域の動物たちによる、理不尽な蹂躙ショーが始まった。

まず、カラスの群れが三人の装備品を器用に奪い去った。剣を、盾を、ポーションを。そして、地面から突如としてモグラのモグが飛び出し、彼らの足をすくい上げて泥の中に転倒させる。

「うわあああ!? な、なんだ地面が!?」

大野が叫ぶ暇もなく、オウギワシのオウギが上空から強風の羽ばたきを浴びせ、三人を吹き飛ばす。そこに、水のバリアに包まれて空を浮遊するセラ率いるドクターフィッシュの群れが殺到。彼らの鎧の隙間に張り付き、魔力を吸い取り、激しい痛みを伴う「吸血・咀嚼」を開始した。

「い、痛いッ!! 何だこいつら、噛まれると魔力が削られていく……!!」

さらに、地面からは無数のミツバチたちが針の雨を降らせ、ヘラクレスオオカブトが鋼鉄をも貫く角で武田の鎧を紙切れのように引き裂く。ヘラクレスはそのまま大野を空高く放り投げた。

水辺からはワニのクロコが這い出し、その強靭な顎で逃げ道を塞ぐ。さらに、クモのスパイが放った特殊な粘着糸が三人を縛り上げ、カタツムリのカタが出す粘液が彼らの靴と地面を一体化させ、身動きを完全に封じた。

まさに、現世の生物の殻を被った「殺戮兵器」たちの連携。

ボロボロになり、鎧も服もズタズタに引き裂かれた三人は、泥に這いつくばりながら泣き叫んだ。

「クッソーーーッ!!! 覚えてろよ!!! 勇者の蓮にチクってやるからなぁ!!!」

「俺たちのクラス全体の絆ってヤツで、必ずリベンジしてやるからなぁ!!!」

「魔力を持ってるただの動物のくせに生意気なんだよクソが!!!」

三人は捨て台詞を吐き捨て、這う這うの体で森の奥へと逃げ去っていった。

騒動が落ち着いた頃、館に戻ってきたレオやクロ、ゴングたちが、いつもの日常に戻ったように庭へ帰還した。

「騒がしいわね。何があったのかしら?」

ヴィオラが不審そうに窓の外を見る。

「さぁな。……何かあったのか?」

俺がとぼけると、そこへレオがワンと吠え、ミケが満足げにニャッ!と鳴き、ゴングがドラミングで無事を告げた。

「お前ら、みんな帰ってきたのか。……はぁ、はいはい、お疲れさん! どうせまたダンジョンにいる魔物達とボスをお前ら全員で蹂躙してきたんだろ? ったく……報告くらいちゃんとしろよな」

俺は苦笑いしながらも、彼らの頭を一頭ずつ撫でた。

ヴィオラは残念そうにノートを閉じる。

「あーあ。今の蹂躙ショー、絶対に最高に貴重な資料になったのに。記録したかったわ……」

彼女たちの知らないところで、聖域の「絆」は、侵入者の傲慢をいとも簡単に打ち砕いた。

外の世界で誰が「勇者」と呼ばれようと関係ない。ここには、俺と、俺の家族たちだけの平和があるのだから。

第九十四話、いかがでしたでしょうか。

不良たちへの「動物たちによる蹂躙ショー」が爽快な回でした。彼らの持ち帰った「恐怖」が、クラスメイトたちにどう広がるのか……そしてダンジョンを攻略した動物たちの実力とは?

次回:

「進化する聖域! ダンジョン攻略の衝撃と、解放される新たな召喚枠!」

お楽しみに!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ