第九十五話:進化する聖域! ダンジョン攻略の衝撃と、解放される新たな召喚枠!
敗北した不良三人組は勇者の元へ、復讐を誓うが、勇者はめんどくさがった。
一方、聖域では動物たちのダンジョン攻略により、驚異的な進化が訪れていた!
新たな召喚枠と、歌姫たちの同居希望。奏多の決断は!?
その日の夜、山岳地帯に位置するドワーフの王国・ガルドランディアにある冒険者ギルドは、外の冷気とは対照的に、憤怒と喧騒の熱気に包まれていた。
カウンターの向こうで、腕に無数の古傷を持つ屈強なドワーフのギルドマスターが、先ほど命からがら戻ったばかりの三人組――武田、小林、大野――の胸ぐらを掴まんとばかりに怒鳴りつけていた。
「ったく、だから言ったろ!? 勇者の仲間なんだか知らねーが、そうやって調子に乗るから痛い目を見るんだよ! 警告したはずだぞ!? あそこは世界一危険な森『デンジャラスフォレスト』だってな! お前ら、勇者の威光を笠に着て、忠告を無視して突っ込んだんだろ!? ギルドからの依頼をクリアしたことは認めてやる。だが、お前らみたいな態度の冒険者、この国じゃ嫌われるぞ! 二度と来るな、とまでは言わんが、次は顔を出す前にそのなめた態度を改めろ! いいな!?」
ギルドマスターの怒声に、三人は萎縮して肩をすくめる。「は、はい……」と力なく答えるしかない。マスターは鼻を鳴らし、ぶっきらぼうに告げる。
「お疲れさん。テメーらの依頼の通りの武器と防具は、鍛冶場から引き揚げておいた。あまりにも数が多すぎるんでな! 俺からの慈悲として、明日、港の倉庫の箱に全部ぶち込んでおくから、明日に来る船に詰め込んで、さっさと次の目的地へ消えな!」
三人は青ざめながら「すいませんでした」と深く頭を下げ、宿へと逃げ込んだ。彼らは懐から取り出した見たこともない魔道具を起動し、遠く離れた王国の佐藤蓮へと報告を始めた。
「……ってことがあってよぉ、マジであの森いかれてるわ! あの化け物ゴーレムと、この世界にいるはずのない『ただの動物』が連携してきやがって……!」
「アンタ勇者だろ? 蓮、なんとかガツンと決めてくださいよ!」
魔道具の向こうから、蓮の不機嫌な声が響く。
「いや、そんな僻地まで行くわけねーだろ。めんどくせーし! それよりお前ら、無事に帰ってきて良かったよ。急な頼みでそっちに行ってもらって悪かったな!」
「おうよ! 待ってろ! 明日、全員で迎えにいくからな!」
「わかったよ。凛とイチャイチャしてたとこだったんだ、邪魔すんなよな。それと全員分の武器も防具もあるんだろ? 俺と凛以外のクラスメイト達のためにな! 俺らが最強になっても意味がないから、しっかり強化しねーとな!」
「ねぇ蓮? いつまで話しているの? 早くイチャイチャの続きしようよ!」と、魔道具越しに凛の甘い声も聞こえてくる。
蓮は「ったく、甘え上手だな! じゃあ切るぞ!」と、あっさりと通話を切った。
一方、その頃。俺は館の書斎で、ポポ率いるハトの群れが持ち帰ったカメラ型魔道具を確認していた。
そこに映し出されていたのは、彼らが攻略した高難易度ダンジョン『奈落の祭壇』の様子だった。
ボスとして待ち構えていたのは、三頭の魔獣。
全身が毒の泡を纏う巨大な猪――『毒沼の主・ヴェノムボア』。
影を操り空間を切り裂く骸骨の騎士――『影縛りの死騎士・シャドウナイト』。
マグマを吸い込み高熱を放つ巨竜――『溶岩の心臓・フレイムワイバーン』。
しかし、記録映像の中の動物たちは違った。キングの怪力でワイバーンの首を絞め上げ、グリズがシャドウナイトの剣を素手で受け止め、最後はレオやミケの連携でヴェノムボアを制圧する。まさに「蹂躙」だった。
その戦果として持ち帰られた報酬の中には、虹色の鞘に納められた伝説の魔剣『終末の黄昏・ラグナロク』が含まれていた。
「はぁ……それで急にレベルが跳ね上がったわけか」
俺のステータスを確認すると、レベルは一気に60に到達していた。
それにより召喚枠が計10枠に拡大され、さらに新しい系統『マウンテン&フローズンアニマル』が解放されていた。
「フローズンってことはシロクマやペンギン、トナカイ……マウンテンはパンダ、キンシコウ、ニホンザルにライチョウか。……まぁ、戦略の幅は広がりそうだな」
ヴィオラが記録映像を食い入るように見て、顔を真っ青にする。
「あり得ないわ……噂には聞いていたけど、そのダンジョン、並の冒険者は挑む前に逃げ出す高難易度よ!? それを、ただの動物たちが?」
エリスも言葉を失っている。「……普通なら挑む前に命を落とす場所だ。あぁ、なんてことだ」
その時、森の気配が変わった。
『帰ってきたぞ。安全に絶景も見れた。実に美しかった』
マーリドが先導し、シルヴィアとルミナが戻ってきた。彼女たちは俺に、光で映し出した絶景を差し出す。エリスもヴィオラも、その美しさに息を呑んだ。
しかし、二人の歌姫リリアとエルーラが、跪くようにして俺に頭を下げた。
「奏多さん、お願いがあります!」
「ここを……この聖域の温かさを、すっかり気に入ってしまいました。どうか……」
二人同時に顔を上げ、潤んだ瞳で俺を見つめる。
「私達も今日から、ここに住んでいいでしょうか?」
「えっ!?」
森の騒がしさと、新たなる仲間。俺の聖域は、また一段と賑やかになろうとしていた。
第九十五話、いかがでしたでしょうか。
不良たちの小物っぷりと、聖域の圧倒的強さの対比が際立ちました。そして歌姫二人の電撃的な同居希望! 果たして奏多は受け入れるのでしょうか?
次回:
「新たな生活の始まり! 歌姫たちとの同居と、聖域の朝!」
お楽しみに!




