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第九話:反撃の狼煙!レオたちのダンジョン攻略と、ルミナの秘められた魔法

館の平穏を脅かす帝国の影に備え、奏多はレオたちを森のダンジョンへと派遣することを決意する。

ルミナの手厚い看病により回復したハルと共に、館の留守はルミナと小型の相棒たちに託された。

レオたちがダンジョンで死闘を繰り広げる裏で、ルミナから魔女の血筋に伝わる高度な魔導技術を伝授される奏多。二人の絆が深まる中、相棒たちが持ち帰った経験値が、奏多の魔力に革命をもたらす!

館の修繕と防衛強化、そして差し迫る帝国の影。俺、風間奏多の日常は、ここから急速に「戦い」の色を帯び始めた。

「ルミナ、まずはハルの世話を頼めるか?」

俺はルミナに、虹色の鱗を持つ小さなドラゴン――ハルの世話を託した。彼女自身、魔女の血を引く者として魔力に対する感性は驚くほど鋭い。ハルが発する微かな魔力波長を理解し、その繊細な体調を管理できるのは、今のところルミナだけだ。

「はい、お任せください。ハルさん……とても繊細で、澄み切った優しい魔力をお持ちですね」

ルミナが優しく微笑み、ハルの額に手を当てる。ハルもまた、彼女の温かな魔力に安心したように、心地よさげに喉を鳴らした。これで館の守りはひとまず固まる。次は、俺自身のレベルアップと戦力拡充だ。

俺は広間に全員を招集した。十体の相棒たちが、期待に満ちた瞳で俺を見つめている。

「これから、俺たちはこの世界の『力』を手に入れる。……ダンジョン攻略だ」

マーリドとルミナの情報によれば、この館から半日ほどの距離にある森の奥深くに、『忘れられた廃坑道』というダンジョンが存在するらしい。かつて賢者が遺した魔力が漏れ出し、魔物たちが集まってしまった小規模な領域だ。今の俺たちの戦力なら、十分攻略可能だろう。

探索チームの編成を決める。俺が館を離れることはできない。故に、ここからの「遠征」は相棒たちに託すことになる。

「探索に行くのは――レオ、ミケ、モグ、そしてゴロだ。お前たちは身体能力が高い。レオとミケが索敵と護衛を、モグが侵入路の確保を、そしてゴロが前衛として突破口を切り開いてくれ」

「……ワンッ!」

レオが短く、しかし力強く吠えた。他の三体も気合十分だ。

一方で、館の修繕と防衛には、ハムたちとインコのピー、クモのスパイ、そしてミツバチのビーたちを残した。彼らは細やかな作業と、館に張り巡らせる防御陣の構築に長けている。

「マーリド、こいつらの指揮と経験値の回収を頼む」

『心得た。お前の魔獣たちは、もはやただの使い魔ではない。私の導きがあれば、効率的に経験を積み、その牙を研ぎ澄ますことができるだろう』

探索チームが森の影へと消えていく姿を見送り、俺は拳を握りしめた。

帝国の脅威は、まだ先の話だ。だが、その「先」に備える時間は無限ではない。今日の一歩が、数年後の俺たちの命運を分けることになる。

彼らを見送った後、俺はルミナに声をかけた。

「ルミナ、お前は魔法を教えてくれないか。俺は転生者で、この世界の魔力操作については素人なんだ」

ルミナは一瞬驚いた顔をしたが、すぐに真剣な表情へと変わった。

「……はい、喜んで。私の故郷、アルカディア王国の魔導教本に基づいた基礎を、奏多様にお教えします」

それからの数日間、館は静かな修練の場と化した。

ルミナの教える魔法は、俺が独学で試していたものとは次元が違った。魔力の「循環」と「圧縮」。彼女の手の動き一つで、空気中の魔力が意思を持ったかのように整列する。

「奏多様、魔力を外に放出するのではなく、自分の中で渦を巻かせるイメージです。魔女の血は、ただ魔力を垂れ流すのではなく、支配するためにあるのです」

俺は彼女の教えを、スポンジが水を吸うように吸収していった。今まで「なんとなく」で発動していた召喚魔法が、より鮮明に、より強力なものへと書き換わっていく。

一方で、森のダンジョンへ向かったレオたちの戦果は、驚くべきものだった。

俺の脳裏に、レオたちが倒した魔物のデータが、経験値の奔流となって次々と流れ込んでくる。

(スライム……撃破。経験値取得……。オークの残党……撃破。経験値取得……)

ダンジョン攻略の成果は、リアルタイムで俺の魔力容量を押し広げている。

今まで「ここまでしか出せない」と思っていた魔力の限界壁が、バリバリと音を立てて崩れていく感覚。召喚魔法の質が変わり、レオたちがより強く、より賢く進化していくのを肌で感じる。

数日後、レオたちが廃坑道から帰還した。

彼らの纏う気配は、出発前とは別物だった。傷こそ負っているが、その瞳には歴戦の猛者のような鋭い光が宿っている。

俺は駆け寄り、レオの頭を力強く撫でた。

「よくやった。……お前たちの努力は、確実に俺の力になったぞ」

レオは俺の手をぺろりと舐め、誇らしげに胸を張る。

館の結界が一段と厚みを増し、かつての廃墟だった屋敷が、まるで巨大な生き物のように深く呼吸を始めた。

「ルミナ、みんなのおかげで、この館は少しずつ『要塞』になってきている」

俺の言葉に、ルミナは少しだけ悲しげな、しかし芯の通った瞳で窓の外を見つめた。

「……帝国が近づいている気配がします。彼らの兵器は、私の魔力の波長を執拗に追跡してくるはずです」

「来いよ。迎撃してやる」

俺は決意を新たにする。レオたちの戦いで得た経験値と、ルミナから学んだ魔導技術。これらを組み合わせれば、俺はただの管理者では終わらない。

館を守り、ルミナを守り、俺の大切な場所を守る。

反撃の狼煙は、今、ここから確実に上がったのだ。

第九話、いかがでしたでしょうか。

ついにダンジョン攻略が始まりました!「相棒が稼いだ経験値が召喚主に還元される」という特性が、物語の鍵として機能し始めましたね。

そしてルミナ先生による特別授業。二人の距離感も少しずつ縮まっています。

次回:

「帝国の先遣隊、現る? 強化された結界と、芽生える反撃の牙」

お楽しみに!

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