第八十話:鋼鉄の翼を塗り替えろ! 帝国戦闘機の改造とルカの挑戦!
一週間にわたる大改造計画が終了!
アヴァロンとエリュシオンの国境を超えた協力により、ついに輸送機が完成する。
ルカの故郷へ、希望の翼が飛び立つ時が来た!
それから一週間、聖域から繋がる王国連合の背後では、国家の枠を超えた巨大なプロジェクトが進行していた。
エリュシオン王国の王立科学ギルドの工房内は、溶接の火花と魔導回路の熱気で満ち溢れていた。そこには、数週間前まで聖域を恐怖に陥れていた帝国の最新鋭戦闘機の姿があった。
「やっと完成したぞ……! あの憎き帝国の紋章さえ剥がしてしまえば、もうこっちのもんだぜ!」
技術師が汗を拭いながら高らかに笑う。
「まさか、アヴァロン王国の科学ギルドの精鋭までもが、この極秘プロジェクトのために現地派遣されてくるとはな……」
「いえいえ、帝国の魔導推進機関の解析は、我々にとっても未知の領域でした。お互い、本当にいい勉強になりましたよ」
両国の技術者たちは互いに敬意を表し、帝国の冷酷な技術を「平和を運ぶ翼」へと転換させる作業に没頭した。
一方、エリュシオン王国の冒険者ギルドは、かつてない活況を呈していた。
「帰ってきたぞ! 指定素材の回収完了だ!」
アレンがギルドの扉を蹴り開ける。その後ろには、任務を完遂した冒険者たちが疲弊しながらも誇らしげに続いている。
「では、提出物を確認します。……はい、完璧です!」
受付嬢がスタンプを押すと、総責任者であるギルドマスターのバルトが即座に指示を飛ばした。
「全部あるんだな!? よし! ぐずぐずするな、急いでこの素材を科学ギルドへ直行させろ! これがなければ輸送機は空を飛べんのだ!」
その動きは軍隊のように迅速だった。同時に、エリュシオン王国の商人ギルドでも、ゼノが中心となり奔走していた。
「ゼノ殿、今回の交易品とは別に、空輸に必要な高純度魔力結晶はこれで十分かな?」
「えぇ、今回の取引分に加え……我々商人ギルドがコネを総動員してかき集めたこの希少素材も全て、科学ギルドへ回してください」
「うむ、承知した。直ちに搬送させる!」
国家の全勢力が、一人のエンジェル族の願いのために動いていた。
その頃、聖域の庭では、ルカが少し困惑した表情で立ち尽くしていた。
彼はこの一週間、聖域の住人たちとの交流を深めていたが、どうやら「鳥の仲間」として認識されてしまったらしい。
オウギワシのオウギがその巨大な翼でルカを羽ばたきで包み込み、レイ率いるカラスの群れが頭上で輪を描く。さらに、ポポ率いるハトの集団が肩に乗り、ペリカンのペリが巨大なクチバシを突き出し、インコのピーが「ルカ! ルカ!」と騒ぎ立てる。
「……何!? ちょ、ちょっと待て……俺は鳥じゃない! エンジェル族だぞ! おい、離れろってば!」
翼をバタバタとさせながら、ルカは羽の間に詰め寄るハトたちを優しく追い払っていた。その姿を見て、エリスが笑いを堪えながら近づいてくる。
「ハハハ、ルカ。どうやら彼らにとっては、立派な翼を持つお前は『憧れの先輩』みたいだな」
「勘弁してくれ……この一週間、毎日がこれだぞ!」
そこへ、俺が足早に駆け寄ってきた。通信魔道具を片手に、俺の表情は晴れやかだった。
「ルカ! よかったな、ついに完成したぞ!」
ルカは動きを止め、驚きに目を見開いた。
「……何!? 完成したのか!?」
「たった今、王国側からの連絡が届いた! 帝国の翼が、セレスティアへ食料を届けるための輸送機として生まれ変わったんだ!」
ルカの瞳に、熱いものがこみ上げてくる。
「……本当か……。俺たちの同胞が、飢えから救われる……! 奏多、エリス……本当にありがとう……!」
空を見上げると、遠くの雲間から、以前とは明らかに違うエンジン音を響かせた機体が、編隊を組んでこちらへ向かってくるのが見えた。帝国の禍々しい紋章は消え、エリュシオン王国の誇り高き紋章が、逆光の中で光り輝いている。
それは、空を支配していた帝国の悪夢が、希望を運ぶ光の翼へと塗り替えられた瞬間だった。ルカはその姿を目に焼き付けるように、拳を強く握りしめた。
第八十話、いかがでしたでしょうか。
各国の技術や資源が結集し、平和のための兵器へと姿を変える……胸が熱くなる展開でしたね。ルカの鳥に好かれるキャラクター性も垣間見え、聖域に活気が戻ってきました。次回、いよいよセレスティアへの初飛行!
次回:
「空の救済作戦! ルカと共に、雲の上のセレスティアへ!」
お楽しみに!




