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第七十六話:伝説の龍の安息地! ハル、最高の寝床にご満悦!

ハルのために最高の寝床を作ることになった奏多。

すると、森の仲間たちが続々と集まり、大掛かりな建設作業に発展!?

グリズやゴングたちの協力で、最高の「ドラゴンの巣」が完成する!

拡張された聖域の敷地は、いまや一つの小さな王国のような広がりを見せていた。俺は朝の清々しい空気の中を歩き、仲間たちの様子を巡回して回る。

一部には、この前作成したばかりの動物用プールと人間用プールがある。特に動物用プールでは、セラたちドクターフィッシュが相変わらず優雅に泳ぎ回り、その横でカワウソのコツメとアシカのケータが、まるで古くからの親友のようにぴったりと寄り添って日向ぼっこをしていた。馬のクロ、ヤギのゴロ、そしてウサギのラビは、広場に生い茂る柔らかな雑草を競うようにして食み、のどかな時間を楽しんでいる。

一方、トラのキング、ワニのクロコ、オウギワシのオウギといった森の強者たちは、案の定、獲物を求めて森の奥深くへと狩りに出かけていた。彼らなりに野生の本能を刺激する冒険を楽しんでいるのだろう。

そんな中、俺は敷地内でも特に魔力の脈動が強く、周囲を一望できる高台を選び出した。こここそが、ハルが安らぐべき場所だと直感した。

『……ここならば風の通りも良く、大地から湧き上がる魔力の循環も極めて良好だ。ハルも気に入るであろう』

マーリドが宙を漂いながら、冷徹かつ的確な視点で頷く。

「……寝床の構造、全方位からの魔力供給を確認。この場所であれば、伝説の龍の成長を促す完璧な安息地になります」

アイギスの無機質な声には、珍しく微かな熱意が込められていた。

「よし、やるか!」

俺が意気揚々と作業を開始しようとした、その時だった。

空からバサバサと風を切る鋭い音がして、猛烈な勢いでハルが降下してきた。彼はどこから集めてきたのか、強靭な大木の枝、太陽の光を吸い込んで輝く磨き上げられた岩石、そして不思議な脈動を放つ鉱石を大量に抱えて帰ってきたのだ。自分の寝床を自ら構築しようというのか、その瞳は期待に満ち溢れていた。

「ハル……お前、自分で材料を運んできたのか? 気が早いな!」

俺が驚いて声を上げると、今度は地面からガサゴソと湿った土の音が響いた。

ゴングたちゴリラの群れが力強い足取りで現れ、森の王者であるクマのグリズも重量級の巨体を揺らしてやってきた。さらに、ちょこまかと足元を走り回るハムスターのハム、静かに糸を垂らすクモのスパイ、ゆっくりと進むカタツムリのカタ、そして水のバリアを纏って陸上を闊歩するタコのオクトまでが、列をなして集まってきた。

最後には、土を掘り起こしてモグラのモグがひょっこりと顔を出す。彼らは皆、俺の顔と、ハルが運んできた資材を交互に見つめ、力強く頷いた。

「お前たち……手伝ってくれるのか?」

俺の問いかけに応じるように、グリズが力強く咆哮し、ゴングたちが胸を叩いて答えた。まるで「仲間の一大事に、力を貸さないわけがないだろう」と言っているかのようだ。

作業は一気に活気づいた。

グリズとゴングたちは、アイギスの指示のもとで巨大な岩石を運び、寝床の土台を築き上げる。その正確かつ豪快な積み上げ方は、熟練の職人顔負けの連携だ。ハムは小回りを活かし、岩の隙間に柔らかな苔や、どこからか拾ってきた羽毛を敷き詰めて極上のクッションを作る。クモのスパイが放つ強靭な糸は、寝床の屋根となる太い枝をしっかりと固定するための天然の補強材となった。

驚いたのはタコのオクトだ。彼は水のバリアを器用に操り、泥を固めてレンガのように仕上げていく。カタツムリのカタが残す特殊な粘液は、岩同士を化学的に接合する強力な接着剤の役割を果たし、構造物を強固なものにしていった。

「すごい……まるで意志を持った職人集団だな」

俺とマーリドは、ただ圧倒されるしかなかった。ハルを中心に、多種多様な生き物たちが、それぞれの個性を持ち寄ってひとつの「城」を造り上げている。それは単なる物理的な労働ではない。ここに住まう者たちの、種族を超えた絆が形を成していく過程だった。

数時間後。

そこには、伝説の龍の寝床と呼ぶに相応しい、雄大で温かな巣が完成していた。

高台からの景観を楽しみつつ、風は穏やかに通り抜け、中央にはハルが心ゆくまで休めるように、仲間たちが選び抜いた極上の素材が敷き詰められている。

ハルは完成した寝床にゆっくりと降り立つと、その感触を確かめるように何度も身をくねらせた。そして、大きく翼を広げ、満足げに喉を鳴らして俺の肩に頭を擦り付ける。

「ガオォォ……!」

その瞳は、これまでで一番穏やかで、満ち足りた光を湛えていた。

彼は寝床の中心にどっしりと座り込むと、まるで王のような風格で、自分の巣と、そこを囲む仲間たちを見渡した。

「ああ、気に入ってくれたみたいだな」

俺は空を見上げ、この聖域が持つ不思議な磁力に思いを馳せた。帝国という脅威は常に潜んでいるが、こうして種族の垣根を超えて家族のように支え合う絆がある限り、俺たちはどんな嵐も乗り越えられる。そんな確信に近い希望を、ハルの安らかな寝顔から受け取ったのだった。

第七十六話、いかがでしたでしょうか。

みんなで協力してハルのために巣を作るシーン、心温まりますよね。個性を活かした作業風景、頭の中で想像するととても賑やかで楽しいですね!

次回、平和な聖域に、思わぬ客人が訪れる!?

次回:

「予期せぬ訪問者! 聖域の門を叩く、謎の旅商人」

お楽しみに!

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