第七十二話:撃墜の連鎖! 帝国軍の崩壊と、ハルの咆哮!
限界を超え、成長を遂げたバハムート「ハル」。
その圧倒的な姿に、帝国軍は戦慄する!
空では激しい爆撃が続き、地上では騎士団が防衛線を固める。
聖域の存亡をかけた戦いは、ついにクライマックスへ!
上空では、召喚された相棒たちが帝国軍を圧倒していた。しかし、最新鋭の魔導戦闘機を駆る隊長も、ただ座して死を待つような無能ではなかった。彼は激しい旋回でハルの追撃を振り切ろうと強引に機体を操作し、その眼下に広がる聖域の館へと照準を定めた。
シルヴィアは空を見上げ、扇子を広げて優雅に笑った。
「私達も負けてはいられないわね。まさか私が、あの賢者の末裔だと知る日が来るとは思わなかったけれど……魔法の研鑽なら、誰にも負けないわ!」
ルミナもまた、杖を高く掲げて瞳に青い炎を宿す。
「はい! 私も微力ながら加勢します。あの子たちが敵の反撃で傷つくのだけは避けなければ……! 障壁展開、行きますよ、シルヴィアさん!」
「ええ、タイミングを合わせて……行くわよ!」
二人の放つ広範囲魔法の障壁が、館の上空を巨大な青白いドーム状に包み込み、空からの爆撃をことごとく弾き飛ばした。
その時、聖域の入り口に、重厚な金属音が響き渡った。
「任せてすまない! 王国騎士団、到着したぞ!!」
先頭に立つのは、王国が誇る騎士団長ガルスだった。しかし、彼は聖域の空を見上げ、その圧倒的な光景に言葉を失い、思わず足を止めた。
「……いや、我々の出番などあるのか? 敵は空だぞ? それを……奏多殿の呼び出した『ドウブツ』とやらが、一方的に戦っているではないか……」
「は、はい! ですが、どれもこれも見たことがない鳥型魔獣に、巨大化した虫型魔物……私の魔物図鑑には一つも載っておりません!」
ガルスは苦笑しつつも、抜いた剣を空へとかざした。
「まぁいい……我が部下エリスからの緊急要請だ。まずはここを守るぞ! 万が一敵が機体を損壊して墜落してきても、ここを通すな!」
その背後では、レオ、ミケ、ゴロ、そして愛馬のクロまでが門の前に集合し、牙を剥いて威嚇の声を上げている。彼らの闘志は、空で戦う仲間たちに負けてはいない。
その時だった。空に異変が起きた。
帝国軍のモニターに映るハルの姿が、激しく発光し始めたのだ。
「報告します! あの幼体と思われるドラゴン、様子がおかしいです! 魔力値が……急上昇しています!」
「今だ! 今しかない! 捕まえろ!!」
隊長の叫び声が響く中、ハルの体から「ムキムキッ!」と筋肉が膨れ上がるような、不気味かつ力強い音が響いた。
俺は地下のコンソールルームから【魔獣監視の目】を通じてその光景を食い入るように見つめていた。
「何が起きてるんだ……? ハル……ま、まさか、また脱皮を!?」
ハルは空中でその身を大きく反らし、聖域を揺るがすほどの雄叫びを上げた。
「ガオオオォォォォォッ!!!!」
その瞬間、ハルの幼い姿が激しく変貌した。霧のような魔力の膜が剥がれ落ちるたびに、その身体は大きく、鋭く、禍々しいほどの威厳を放つ龍へと進化していく。頭部には、バハムートの証である、幾重にも分かれた木の枝のような巨大なツノが、黄金の光を放って生え揃っていた。
「隊長! 奴が……成長しやがった!? バハムートの特徴であるあのツノ……間違いない、伝説の龍だ!」
「な、何だと!? だが、奴はまだ幼体から成長したばかりの若い個体だ! 伝説の『バハムート』の力には遠く及ばんはずだ!!」
モニターの中の隊長は激昂したが、次の瞬間、絶望に顔を染めた。
「隊長! 奴が……我々全員を、ロックオンしました!!」
「な、何!?」
ハルの黄金色の眼差しが、編隊を組んでいた帝国軍の全機を捉えていた。以前のただ破壊を楽しむような炎とは違う。それは「敵を完全に排除する」という、歴戦の猛者の如き冷徹な殺気だった。
ハルが大きく息を吸い込む。その肺の中に、周囲の大気をすべて吸い込むかのような猛烈な渦が生じる。次の瞬間、先ほどとは比較にならないほど巨大で、かつ極限まで圧縮された「極光の炎」が、帝国軍の編隊を飲み込んだ。
空で爆発の連鎖が起きる。帝国軍の最新鋭機が、まるで紙屑のように空中で霧散していく。
炎に包まれた残骸が雨のように降り注ぐ中、隊長は震える手で撤退命令を出した。
「全機! 撤退だ! この聖域は……化物たちの巣窟だ!!」
聖域の空から敵影が消え、静寂が戻る。激戦の末に訪れたのは、何よりも尊い「勝利」の光だった。
第七十二話、いかがでしたでしょうか。
ハルの進化した姿、かっこよかったですね! 「バハムート」への進化の兆し、物語はますます熱を帯びていきます。帝国軍を退けた奏多たちに、束の間の平和が訪れます。
次回、激闘の後の静かな日常と、新たな絆。
次回:
「嵐の後の安らぎ! 守護者たちの休息と平和への誓い!」
お楽しみに!




