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第六十八話:賢者の足跡! 奏多が継承するべき真の管理者とは!

謎の部屋で発見された、日本語で書かれた一冊の手記。

それは伝説の賢者エルドラドが残した、この世界の真実か?

シルヴィアの口から語られる「転生者」の存在。

それは奏多の過去と深く関わっていた!

「さて、そうと決まれば腰を据えて作業開始ね。ボチボチと、時間をかけて紐解いていきましょうか!」

シルヴィアの言葉は、何百年もの停滞にピリオドを打つ合図のようだった。彼女は手慣れた手つきで書棚から一冊の古びた羊皮紙を抜き取り、魔力でホコリを丁寧に払う。

ルミナは並んでいる書物の背表紙を一つ一つ確認しながら、神妙な面持ちで溜息を吐いた。

「……どの書物も、私が今まで見たことがないものばかりです。聖域の図書室にある魔導書とは、明らかに体系が違いますね。これは……もっと古く、もっと根源的な魔術の記録のようです」

エリスもまた、壁に掛けられた古地図の断片を見つめながら、その精密さに目を細める。

「あぁ、我が国が誇る王立図書館にも、これらに類する文献は存在しない……。歴史そのものが、この部屋だけで完結しているような錯覚を覚えます」

そんな中、ヴィオラの興奮はすでに最高潮に達していた。彼女は手元の一冊を開き、声を震わせている。

「見て、これ! すごいわ……! この本に載っている魔獣たち、どれも太古に絶滅したとされていた幻の魔獣たちよ! ほら、このページ……あのハルの種族に関する記録があるわ! 『伝説の虹色のドラゴン・バハムート』……! 成長後の姿に関する詳細な記述も……!」

俺はヴィオラが指し示したページを覗き込んだ。そこに描かれていたのは、幼いハルの面影を残しながらも、身体は虹色の鱗に覆われ、頭部には立派な髭を蓄えた、圧倒的な威厳を放つ龍の姿だった。

「大人になると、こんな姿になるのか……」

感嘆の声を漏らしたその時、俺の視線はある一冊の本に釘付けになった。書棚の最も深い場所、まるで誰かに見つけられるのを待っていたかのように、そこだけが微かな金色の光を放っていた。

「……ん? これは?」

俺はその本をそっと取り出した。表紙にはタイトルもなく、古びた革で包まれている。恐る恐る開いたその中身に、俺は全身が強張るのを感じた。そこに記されていたのは、古代文字でも、この世界の共通言語でもなかった。

間違いなく俺がかつて使っていた、紛れもない「日本語」だったからだ。

「シルヴィア、お前……これは読めるか?」

俺は震える手でそのページを彼女に見せた。シルヴィアは目を凝らし、しばらく沈黙したのち、困惑したように首を振った。

「……ごめんなさい、奏多。見たことがない文字ね。曲線と直線の組み合わせが独特で、どこかの民族の暗号かしら? 私の知識でも、こればかりは解読できないわ」

「そっか……そうだよな」

俺は落胆を隠せなかった。だが、シルヴィアは何かを思い出したように、少しだけ眉をひそめた。

「ただ……この文字を読み解ける人間なら、心当たりがあるわ。かつて大陸の辺境で目撃された、『転生者』を名乗る集団……彼らもまた、同じ言語を使い、この世界の文明とは全く異なる知恵を持っていたと記録されている」

「転生者……だと?」

俺の心臓が大きく跳ねた。「転生者」という響きを聞いて、真っ先に脳裏をよぎったのは、あの忌々しい修学旅行の事故だった。あの暗闇の中で、俺を置き去りにして光の中へと消えていったクラスメイトたち。佐藤蓮、高橋凛……そして、俺を蔑み、利用しようとした彼らの顔が、鮮明に思い出される。

もしかして、あの連中もこの世界で生き延びているのか? そして、この手記の秘密に近づいているのか?

「奏多、どうしたの? 顔色が悪いわよ」

シルヴィアが心配そうに俺の顔を覗き込む。俺は言葉を濁しながら、日本語で書かれた賢者の手記を強く握りしめた。これがもし本当に「転生者」と関わりがあるものだとしたら、この館の隠された歴史は、俺が思っていたよりも遥かに残酷で、個人的な因縁に満ちたものになるかもしれない。

賢者エルドラド。彼は一体、何者だったんだ? そしてなぜ、俺と同じ言語で手記を残した?

館の静寂が、以前よりも重く、冷たく感じられた。この部屋に隠された秘密を暴くことは、同時に、俺がこの世界で避けて通れない「過去」との対峙を意味しているのかもしれない。俺は決意を胸に、改めて日本語のページを見つめ直した。

第六十八話、いかがでしたでしょうか。

ついに物語が大きく動き出しましたね! 日本語の手記、そしてクラスメイトたちの影。奏多の管理者としての運命が、静かに、しかし確実に動き始めています。

次回、手記に記された「真実」が明らかになる……!

【次回予告:書物に書かれた真実】

『…我は警告する。管理者よ、この館に眠る知識は希望ではない。それは、世界を創り変えるための「楔」である。かつて我もまた、異界より流れ着きし者。汝が手に持つその言語を知る者が現れし時、館の真なる封印が解かれる。その時、管理者よ、汝は「守護者」となるか、「支配者」となるか――その選択の時が来る。すべてを失う覚悟なき者に、管理者の資格なし』

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